2024.05.23 NEWS

金子健太郎教授/RARAフェローが「第23回船井学術賞」 受賞

5月18日に行われた授賞式の様子 金子健太郎教授(写真右)
5月18日に行われた授賞式の様子 金子健太郎教授(写真右)

立命館大学総合科学技術研究機構の金子健太郎教授/RARAフェローが 第23回(2023年度)船井学術賞を受賞しました。受賞テーマは「新しい酸化物半導体の開拓とパワー半導体応用」です。2009年から始まった船井学術賞の受賞は、立命館大学で初めてとなります。

本賞は、情報科学、情報技術分野を中心に広く理工系分野において、顕著な研究業績のあった若手研究者に褒賞を授与し、わが国の科学技術に関する研究の向上、発展に寄与することを目的としています。

金子健太郎教授/RARAフェローのコメント

これまでの研究活動が評価された事を大変嬉しく思います。合成が困難であった酸化イリジウムの薄膜成長を何とか達成し、そのp型伝導を測定器によって確認した時は0時を過ぎた真夜中で、飛び上がるほど嬉しかった事を覚えています。そして、研究室PIとして初めて取り組んだテーマである二酸化ゲルマニウムの合成は、酸化イリジウムよりも困難をきわめましたが、当時の学生たちが諦めずによくついてきてくれました。特に二酸化ゲルマニウムは、当時の研究室予算のほとんどを投入して合成実験を行いました。この2つの新材料は私の研究者人生の中でどん底にいる時に取り組んだもので特に思い入れが深いです。今後も研究者としてこのような新材料の研究に取り組んで参ります。

【当該テーマの概要】

ハイブリッド車やデータセンター等、膨大な電気エネルギーを消費する機器での省エネ化は重要であり、そのキーとなるのがパワー半導体と呼ばれる電力変換用素子です。これまで素子の材料としてシリコンなどが用いられてきましたが、炭化珪素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などの新しい高性能材料が搭載されはじめ社会実装されています。このSiC、GaNよりも高性能な素子として酸化物のパワー半導体が着目されており、次世代の素材として大きな期待が寄せられています。

しかしながら、ほとんどの酸化物は、半導体における重要な物理的性質である正孔伝導型(p型)の実現が困難であり、大きな物理的課題でした。金子教授は、酸化物パワー半導体で最も困難なこの課題の解決に長年取り組んできました。p型伝導が困難である酸化ガリウムにおいて、酸化イリジウムおよび酸化イリジウムガリウムという新しいp型半導体の提言とその薄膜合成、およびp型伝導機構解明に関する基礎的な研究を行ってきました。一方で、このようなヘテロ接合構造よりも、同じ材料でのpnホモ接合型の実現が社会実装において重要であると考えました。そこでp型とn型の両伝導制御が理論的に予測されていたルチル構造二酸化ゲルマニウムに着目し、困難であった薄膜の合成を行い、さらに同じルチル構造をもつ二酸化スズ、二酸化シリコンによる新しい半導体混晶の提言を行いました。これらの成果は酸化物パワー半導体のp型伝導という新しい産業エレクトロニクス分野の開拓にも大きく貢献しました。

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