総合科学技術研究機構 北 泰行 上席研究員が「篷庵社賞」を受賞しました。
令和6年7月8日、ヒルトン大阪において、公益財団法人篷庵社 設立70周年を記念した「篷庵社賞」の授賞式が行われ、本学から総合科学技術研究機構 北 泰行 上席研究員(大阪大学名誉教授・招聘教授)と、杉山 雄一 城西国際大学イノベーションベース 特別栄誉教授(東京大学名誉教授・理化学研究所名誉研究員)の2名が「篷庵社賞」を受賞しました。
北 上席研究員は長年大阪大学教授として、さらに立命館大学薬学部初代学部長、同大学総合科学技術研究機構副機構長・同創薬科学研究センター長、同大学招聘研究教授を務められ、門下生からは我が国の薬学を支える多くの人材が輩出しています。
研究面では、長年にわたり新規合成法・新規反応剤などの革新的な有機化学的手法の開発研究を行ってこられました。特に、超原子価ヨウ素反応剤を用いる合成研究で世界を牽引されました。例えば、同反応剤を用いて金属反応剤を使わないクロスカップリング反応を世界で初めて実現し、この分野に大きなインパクトを与えました。また、医薬品創製研究に資する反応開発で多くの成果をあげ、創薬研究の進展に寄与されました。独自の反応を活用した抗腫瘍活性天然物フレデリカマイシンAやディスコハブ ディンAの世界初の不斉全合成、創薬先導化合物の合成研究などにその例を見ることができます。北博士の研究成果は、Angew.Chem.Int.Ed. や J.Am.Chem.Soc.など化学系屈指の専門誌に掲載され、欧文誌約500報、被引用数20,000回以上、h-index 75等に表れています。
また、日本薬学会(理事、化学系薬学部会長、監事、有功会員)の他、多くの学協会、財団法人理事、評議員、賞選考委員長、シンポジウム組織委員長、国際誌編集委員などを歴任されました。現在、米国化学会(ACS)Emeritus Member、国際複素環化学会議 (ISHC)Senior Fellowに選出されています。
このように長年にわたり薬学領域に多大な貢献をされたことを評価され、受賞となりました。
受賞歴
- 1986年 日本薬学会奨励賞
- 1997年 日本薬学会学術貢献賞
- 2002年 日本薬学会賞
- 2005年 日本プロセス化学会優秀賞
- 2007年 ヨウ素学会賞(第1回)
- 2017年 The E.C.Taylor Senior Award(ISHC国際複素環化学会議)
篷庵社賞受賞記念講演のテーマ
「環境に優しい画期的新合成法の開発 ~超原子価ヨウ素によるカップリング反応~」
「篷庵社賞」について
公益財団法人篷庵社 設立70周年を記念して、日本薬学会会員で、薬学の領域において、これまでの研究の流れを変えるような、インパクトのある研究成果を上げて薬学研究に貢献された研究者2名(化学系・物理系1名、生物系・医学系1名)に対して褒章を贈呈するものです。
北 上席研究員のコメント
公益財団法人 篷庵社設立70周年を記念しての栄えある賞をいただき、身に余る光栄です。受賞の知らせを聞いた時は、信じられない思いでした。選考して下さった委員の先生方、並びに多くの素晴らしい共同研究者に恵まれたお陰と心から感謝の気持ちでいっぱいです。