学生生活セミナー

マルチ商法
マルチ商法から身を守れ
護身術
いざという時のために護身術を学ぶ

 立命館大学では、学生が安心・安全に正課、正課外活動に取り組むためのサポートとして、各種セミナーを開催しています。ここでは、2017年から本格的に始まった「学生生活セミナー」について紹介します。学生を様々なトラブルから守るための取り組みとして始まった学生生活セミナー。開催に至る経緯および背景、これまでに衣笠キャンパスで実施されたセミナーの概要、学生の反応、今後の展開などについて学生部副部長でもある文学部の加國尚志教授、衣笠学生オフィスの山本貴之さんにお話を伺いました。

高まる関心 国公立大学では学生生活の安心・安全をテーマとした正課授業も

お酒
お酒との正しい付き合い方を学ぶ
バイト
ブラックバイト対策

 近年、学生生活の安心・安全・健康を正課授業として取り扱う国公立大学が増加傾向にあるなど、学生のトラブル回避に関する関心が高まっています。本学では、従来、主に新入生向けのガイダンスとして学生の危機管理をうながしてきました。各キャンパスの学生オフィスが取り扱う事件・事故相談件数は、年々減少傾向にはあるものの、巧妙化する悪徳商法やカルト集団関連事案、SNSに関するトラブル、セクハラ・ストーカー・痴漢被害が後を絶たないなどの課題がありました。
 「これまでのガイダンスでは、悪質な勧誘、SNSの不適切な利用による弊害など学生生活に関する注意点をまとめて紹介するもので、個々の事例についての予防や対応の観点が十分ではなく、教育的効果が低いという問題点がありました」と加國教授。そこで相談件数も多く、特に重要と考えるテーマに絞り実施したのが今回の学生生活セミナーです。「カルト集団の問題にしても、現在の学生は、かつて世間を震撼させた事件を知らない世代でもあり、巻き込まれるケースも発生しています。もし被害にあったとしても、それが軽微なものであれば、今後への経験として生かすことができますが、中には学生生活、人生に重大な問題をもたらす事案もあり、そうした被害を未然に防ぐためにテーマを厳選し専門家を講師に迎えたセミナーを行いました」と山本さんは話します。

【2017年度「学生生活セミナー」(衣笠キャンパス)と主な参加者(学生)の声】
◎お酒との正しい付き合い方
「アルコールを体内で分解するために要する時間が思ったより長かったので驚いた(知ってよかった)」
◎ブラックバイト対策
「契約書を双方で交わすことの重要さやアルバイトでも有給休暇が生じること、最低賃金を知ることができた」
◎SNSから人権を考える
「SNSの使い方を誤ると、自分が簡単に加害者、被害者になりうることを深く認識した」
◎悪徳商法から身を守る方法
「マルチ商法やネズミ講などは昔の話だと思っていたので、最近の事例を出してくださってよかった」
◎カルト集団対策
「身近にも意外と多くのカルト集団が存在しているということが知れてよかった」
◎女性のための防犯教室
「被害を避けるために普段どんな姿勢(服装含む)が必要なのか、夜道やエレベーターの中でどのような注意をすべきかよく分かった」

基本的な法律の知識と人権意識を高める

ピア・サポートを活用し学びの輪を広げる
SNS
SNSから人権を考える
先生
加國教授(左)と山本さん

 大学主催でこうしたセミナーを開催するにあたりポイントとなるのが、いかに学生自身が問題意識を持ち、主体的に学び、今後につなげていくかという点です。「いかに他人事ではなく自分のこととして意識してもらえるか。本学は下宿生が多いのも特徴であり、親元にいれば防げるようなことでも、独り暮らしのために起こる問題もあります。また、自宅通いの場合でも、SNSのように親世代が経験してこなかった新しい事案なども増えてきており、そうした様々なケースを想定し、知識を与えていくことは大学のたいせつな役割でもあります。その基本にあるのが正しい法律的知識と人権意識です。こうした基本的な知識を持つことで、加害者にならないことはもちろんですが、被害者になった場合の対応も変わってきます。大学として、こうした知識の徹底を図っていきたい」と加國教授は力を込めます。クラブ&サークルの幹部、上回生を中心としたアルコールに関するセミナーでも、アルコールやお酒の飲み方に対する基礎知識が乏しい学生も多く、「改めて注意しないといけない」という声が聞かれるなど、早急な周知徹底、対策が求められています。
 本学には学生同士が支え合い、学び合いながら成長する独自のシステムである「学びのコミュニティ」「ピア・サポート」があります。「大学側がセミナーの場を用意するのはもちろんのこと、本学独自のこうした仕組みを活用し、学生同士が学び合いながら危機管理に対応できるようになることが理想」と加國教授は話します。今後は、「自治会や学友会、生協などとも協力するなどしてチャネルを広げつつ学生の意識向上に努めていきたい」と山本さん。実際、法学部などでは上回生が新入生に法律の立場からSNSの使い方をレクチャーする機会を設けるなどの活動も行われおり、その輪は広がりつつあります。
 教学のみならずこうした学生生活の安心・安全・健康に関するリスクマネジメント、上回生から下回生への継承性が今後の課題でもあります。「このような学生間のサイクルが途切れることなくうまく機能するよう学生オフィスとしてもサポートしていきたい。今回のセミナーに対し、“有意義だった”と答えた学生が8割、“今後の学生生活に生かせる”と回答した学生が9割を超えており、これをステップに3キャンパスでの展開を含め多くの学生に参加してもらうための施策を展開していきたい」と山本さん。次年度以降、各種団体との協力やコラボレーション、セミナーの後半をケーススタディやグループディスカッション、実技体験にあて双方向形式でさらに学びを深めていくことなどを予定しています。

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