2017立命館びわこ講座 ~近江を学ぶ、草津を識る~第4回・第5回
『2017立命館びわこ講座』第4回と第5回が、それぞれ2017年11月11日(土)と11月18日(土)にびわこ・くさつキャンパスで開催されました。
第4回「琵琶湖を詠む」
篠原館長の専門分野は「人と自然の関係をめぐる民俗学的研究」ですが、同時に和歌や俳句にも造詣が深く、俳句・俳諧をテーマにしたさまざまな講演や関連著書の出版もされておられます。本講座でも草津ゆかりの山崎宗鑑の話に始まり、芭蕉が日本各地を旅して人生の終わりに過ごす場所として近江に落ち着き100以上の句を作ったことなど、滋賀に関係の深い俳人について近江の歴史・文化に触れながらユーモアを交えつつ解説されました。
文学的知見や歴史民俗学的知見など多様な面からの見識をもとに講義が進む一方で、滋賀について読まれた句を説明しながら近江八景から琵琶湖八珍に話が広がるなど、受講生にとっても笑いの絶えない楽しい講義となりました。
【受講された皆さんの声】
・講師の人間味溢れるお話に聞き入って、楽しく学ぶことができました。登山で比叡山・比良山系に行くことがありますが「近江八景」やスライドを交えて解説いただいたことで、景色の見方もより広く変わっていきそうです。
・県内の芭蕉関連の名所は訪れたことがあっても、断片的な知識ばかりで一貫性がなかったのが、本日の講義でより深い知見を得ることができた。改めて本を読んだり、名所を訪問してみたい。
・「灯台もと暗しで、滋賀には良いところ・おいしいものがいっぱいあることを忘れがちだ」という話に、なるほどと思いました。俳諧・俳句はぱっと見難しいですが、ちゃんと意味を理解すると当時の滋賀のこと・滋賀の良さなどを知ることができて面白いと思います。
・草津に引っ越して1年半たち、滋賀の人が琵琶湖をとても大切にしていることを日々感じています。普段、ふなずしやモロコを食べないのですが、この講座を機に食べてみたくなりました。家族が魚のことに関心があるので、博物館にも近々行きたいです。
第5回「日本仏教の原点―近江の風土・最澄と比叡山―」
本郷教授の専門分野は日本古代史・宗教史で、奈良・平安時代の律令国家・王権と宗教の関係を主たる研究テーマとしています。本講座では2015年度から講師を務め、「来年も続きの話が聞きたい」という要望を受講者からいただいており、3年目の講義となります。
今回は、律令国家仏教の特質に始まり、皇統の交替と国家仏教の新展開や古代の近江と渡来人の話を交えながら、仏教伝来における近江各地の様々な歴史と最澄の比叡山寺(延暦寺)創設までの解説でした。日本における宗教史の中で、仏教がそれまでの神社の役割に対し新しい役割として古代社会に定着したことや、それを民衆が受け入れた過程、当時の為政者が中国唐代の影響を受けたことなど、ぐいぐいと引き込まれる内容にあっという間に時間が過ぎました。
「日本史における関西の三都は京都・奈良・滋賀であるべきだ」との講師の言葉に、受講生の皆さんが誇らしげに聴講されている様子が伺えました。
【受講された皆さんの声】
・本日の講義は非常に奥深く、時代の流れの一部を知ることができました。歴史を勉強する一助にしたいですし、近江の社寺仏閣を巡って目に触れたいと考えています。
・天皇の系図との関わりから最澄への繋がりが見え、今まで知らなかった仏教の流れがわかりました。神仏習合のことや仏教の入りなど、点ではなく線となるよう教授いただきとても良かったです。
・古代神道と仏教の基本的な観念について理解でき、納得しました。また、渡来人の影響力の強さを再認識したり、最澄についてはすべてが新鮮なお話でした。
・今度は現代の仏教のありかたについて聞いてみたいと思いました。深い知識を持っている方のお話は本当に面白いです。
全5回を終え、受講者アンケートでは次のような声をいただいています。今後も地域の生涯学習に貢献できる講座内容を提供していきたいと思います。
【総括アンケートでの声】
・琵琶湖を中心とした滋賀県に関係する環境等、理系から文系にわたって企画してほしい。
・地域という軸足を置き、自然・文化・歴史・科学技術等さまざまな切り口で講座を提供してほしい。
・文化発信の都市として、市民が誇りのもてるこのような学習機会を継続してほしい。
・今の時代で話題になっていることをテーマにして年配者にも解り易く。
・講演の中でもっと深く知りたい場合の推薦図書を紹介してほしい。