古川勝久氏が登壇、立命館土曜講座公開講演会「朝鮮半島をめぐる国際関係と日本」を開催

2018.08.01 TOPICS

古川勝久氏が登壇、立命館土曜講座公開講演会「朝鮮半島をめぐる国際関係と日本」を開催

 衣笠総合研究機構、国際地域研究所、国際関係学部は7月28日、立命館土曜講座公開講演会『朝鮮半島をめぐる国際関係と日本』を開催しました。
 立命館土曜講座は、故末川博名誉総長が、「学問や科学は国民大衆の利益や人権を守るためにあること、学問を通して人間をつくるのが大学であり、大衆とともに歩く、大衆とともに考える、大衆とともに学ぶことが重要」であると提唱し、大学の講義を市民に広く開放し、大学と地域社会との結びつきを強めることを目ざして設けられました。戦後の激動のさなかの1946年3月31日に、第1回の末川名誉総長の講座が開催されて以降、「開かれたアカデミズム」を展開しています。今回の講演会は土曜講座の一環として、規模を拡大して開催しました。
 本講演会では、これからの地域安全保障や朝鮮半島問題をどう考えるべきか、日本はどのような役割を果たすことができるかなどをテーマに、2003年から2007年に行われた六者協議で日本代表を務めた藪中三十二・元外務事務次官(国際関係学部客員教授)が講演を行ったほか、専門家の立場としてテレビや新聞などで広く活躍している国連安全保障理事会・北朝鮮制裁委員会専門家パネル元委員の古川勝久氏、中戸祐夫・国際関係学部教授からテーマに関する報告、三者によるパネル・ディスカッションが行われました。古川氏の立命館土曜講座への登壇は、今回の特別講演会を企画した本名純・国際地域研究所長(国際関係学部教授)が、政策研究大学院大学にて教鞭を取ったときに講義を受講した古川氏と懇親になり、実現に至りました。講演会は定員370人の会場がほぼ満席となりました。

会場の様子
会場の様子
挨拶を行う君島東彦・国際関係学部長
挨拶を行う君島東彦・国際関係学部長

 藪中教授はトランプ大統領の姿勢や性格などを分析しつつ、先の米朝首脳会談でCVID(完全かつ検証可能、不可逆的な非核化)に触れられなかったことについて言及しました。アメリカ国内の専門家やメディアの間では非核化に向けては批判的な意見が大勢を占めるなか、国民の55%以上が大統領を支持していると指摘しました。北朝鮮はもちろん、アメリカ、韓国、中国、ロシア、そして日本など関係各国が、それぞれの国の利益のために、いろいろな考え方で動いており、意見をまとめていく難しさについて、自らの経験を踏まえながら話しました。
 古川氏は、朝鮮半島の非核化、核兵器廃絶・不拡散に向けたプロセスを、過去にIAEAが実施したリビア方式、南アフリカ方式を紹介しつつ、その難しさ・スパンの長さについて解説。保有量が格段に多い北朝鮮の場合についての詳しい説明があったのに続き、北朝鮮の現状について資料を元に報告しました。北朝鮮への経済制裁が課されるなか、その網の目を抜け、いろいろな手段を使って、スーパーや百貨店には各国の品々が所せましと並び、現政権以降、経済発展が進んでいる実態を明らかにしました。経済関係のみならず科学、軍事技術なども同様で、「世界にはいろいろな考え方があります。北朝鮮への制裁を真剣に考えているのはアメリカと日本が中心で、北朝鮮は決して閉ざされていません」と制裁の実効性の乏しさ、規制・取り締まりの困難さについて話しました。
 続いて中戸教授が、北朝鮮の核開発を進める並進路線から経済建設路線重視への戦略転換について解説。北朝鮮の内的論理として、「核保有国としてアメリカと軍縮交渉を行っています」と話しました。
 パネル・ディスカッション後には、参加者から多くの質問が飛ぶなど、この問題に対する意識、関心の高さがうかがわれました。

古川勝久氏
古川勝久氏
藪中三十二教授
藪中三十二教授
中戸祐夫教授
中戸祐夫教授
本名純教授
本名純教授

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