ソフトマイクロアクチュエータを利用した管状構造マイクロマシンに蠕動運動様の動きを付加することに成功
理工学部の小西聡教授および理工学研究科大学院生の大宅 史恭さんは、ソフトマイクロアクチュエータを利用した管状構造マイクロマシンに蠕動運動様の動きを付加することに成功しました。
マイクロアクチュエータは、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)の中で非常に挑戦的な研究分野です。本研究分野において小西教授の研究グループでは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などのポリマーを構造材料に用いて、柔らかくて柔軟なさまざまな形態のソフトマイクロロボットの研究を進めてきました。
今回は、マイクロアクチュエータを利用した小さな人工筋肉を組込んで形態を変化させる管状構造マイクロマシンに関する研究成果です。
管状構造マイクロマシンでは平面構造と管状構造を自由に変化させることが可能です。平面構造において細胞を培養し管状構造に変化させて液を灌流すれば、平面培養では再現できない擬似生体状況を作り出すことができます。平面静置培養では不可能な液体の流れによる細胞への影響を観察することが可能となります。
本研究では、管状構造マイクロマシンにさらに蠕動運動様の動きを付加することに成功しました。例えば小腸の蠕動運動を加味した生物学的な実験が可能となります。一方で、マイクロアクチュエータの動作を組み合わせることにより複雑な動きを実現しうることが示され、ソフトマイクロアクチュエータの適用範囲を拡大したと考えられます。
圧力駆動のソフトマイクロアクチュエータは、その柔軟な特長により繊細さが求められる生物医学分野への応用が可能となります。
※本研究成果は、2019年10月9日(英国時間)に英国科学誌Scientific Reports(オンライン版)に掲載されました。