立命館大学には、知性を身に付け、境界を超え、ともに学ぶことを重要視し、専門的な素養とBorderを超えて主体的に学ぶ力を身に付けることを目指す「学びの立命館モデル」があります。その特徴的な学びを体現するA~E群からなる教養科目の中で、国際教養科目(以下、B群)は、グローバル社会において必要となる異文化の相互理解の基礎となる科目群です。英語や初修語で開講される少人数の演習科目が主となり、学生は自分の語学レベルや異文化経験に応じて科目を選択し、学部や回生、国籍の異なる学生と共に学ぶことができます。キャンパス内で多文化環境での学びあいを経験できる科目や、英語での発表やディスカッション、レポート執筆方法について学ぶ科目を通じて、国際的な感覚を涵養したり、留学先での学びに備えることができます。

 ここでは、英語でのプレゼンテーションやアカデミックライティングを体系的に学ぶ「Basic Academic Skills」の様子について、担当教員と学生の声を混ぜながら紹介します。

教員インタビュー

羽谷 沙織 准教授(国際教育推進機構)

授業で工夫していることを教えてください

 B群の授業は、異なる学部・回生、国籍の学生が受講しており、グループワークを通じて学生間の交流を深めることによって、学生がお互いに新たな気づきを得て、学び合えるようにしています。また、少人数制の授業のため、学生からの意見は積極的に授業に取り入れて学生との信頼関係を築いたり、それぞれの学生の特徴や言語力なども把握していて、どのようにすれば一人ひとりの学生が授業を通じて成長できるのかを考えていますね。また、授業の主言語は英語を使っていますが、完璧な英語を話すことは重要ではありません。たとえ間違ったとしても、学生が英語で自分の考えを伝えることができ、楽しくコミュニケーションが取れ、安心して発言できる雰囲気づくりが大切だと考えています。学生からは「間違った英語を話していたらどうしようという気持ちをB群の授業では感じることがない。みんなオープンマインドで話せる雰囲気が良い。」という声をよく聞きます。

授業を通しての学生の変化や成長について教えてください

 セメスター当初は、多文化環境に戸惑ったり、自信がなく発言が出来なくて葛藤する学生もいますが、このような経験も教育的に重要な要素と位置づけています。授業の回数を重ねるにつれて、学生達は一緒に考えお互いに協力し合いながら学ぶ大切さに気付き、クラスの結束力が高まっています。また、それぞれ自分自身の課題を見つけ、他の学生とコミュニケーションの取り方を学んだり、留学を控えている学生は留学に向けて必要な語学力や、準備の重要性を感じています。完璧な英語を話すことが、この授業の目的でもないし、英語を学習することがゴールでもありません。自分で見つけた課題に取り組み、その中での小さな成功体験を見つけ、その経験が積み重なることで、自信に繋がると確信しています。

今後の展望について教えてください

 留学生と日本人学生がともに学ぶB群の授業を取ることで、自ら気づき、自分の世界を広げていく手助けができればと思います。より多くの学生が受けられるように開講数も増やし、この授業が留学など次のステップに繋がるようにしたいと考えています。

学生インタビュー

松川ひかりさん(文学部2回生)

この授業を受講した理由を教えてください

 プレゼンテーションスキルを伸ばしたいと友人に相談したところ、この授業を紹介されて、受講しました。
 授業では、プレゼンテーションスキルを基本から学べることが良いと思いました。受講前は原稿を読むだけの発表になりがちでしたが、プレゼンテーションにおけるボディランゲージやコミュニケーションの重要性を学ぶことができました。その他にもエッセイの書き方など、これまで自分が正解だと思っていたことが間違いだと気づくことが多くありました。

この授業を通しての自身の成長について教えてください

 プレゼンテーションスキルが圧倒的に伸びたと思います。プレゼンテーションやエッセイについて、先生やクラスメイトからフィードバックがあるため、具体的に良い点と直すべき点を客観視できるようになりました。そして、自分に足りない部分が見えるようになりました。
 これまで私は、チームワークが苦手で、よく一人で準備してしまっていました。例えば、グループで行うプレゼンテーションの原稿は自分で作り、他のメンバーには読んでもらうだけでした。B群の最初のプレゼンテーションでもこのやり方で臨みましたが、先生から、「ただ読むだけなら、それはプレゼンテーションではない」と指摘を受け、プレゼンテーション能力の不足、そしてチームワークの重要性を認識しましたね。この反省を踏まえて、2回目以降は、チームで何度もミーティングを重ね、そこでの意見をもとに、プレゼンテーションの内容や構成を練り上げるようになりました。一人で作るより、多様な意見を反映することで、よりよいプレゼンテーションを完成させることができました。

この授業を通して、苦労したこと、感じていることなどを教えてください

 授業時間以外での準備が大変でした。グループで集まる時間を確保することが難しく、チームで意見が食い違うことも多かったですね。フードロスというテーマについて、私は一人一人の取り組みが重要であると考えるのに対し、チームメンバーは、飲食店などより大きな消費に目を向けた方がいいと考えていました。その際、なぜそう考えるのかお互いに根拠を話し合い、互いを理解し、個人も飲食店も利用できるフードロス削減のためのアプリを提案することができました。
 プレゼンテーションをする際も、聴衆を引き込めるように質問を投げかけるなど工夫しましたが、自分たちの考えを伝えることの難しさを感じましたね。また、英語で話すとなると、日本語のように頭で考えたことをそのまま伝えることができず、自分の英語力の低さを痛感しました。

この授業で学んだことを、これからにどう活かしていきたいですか

 文学部では国際コミュニケーション専攻のため、英語でプレゼンテーションをする機会がとても多いです。これからは、今回で学んだボディランゲージやコミュニケーションスキルを活かしていきたいと思います。将来、英語教員になるという目標があるため、今回で終わらずに、もう一つ上のレベルの授業も取りたいです。
 また、日本で教員をするだけではなく、世界の中で教育を受けられない子どもたちに貢献できる活動もしていきたいと思っています。

関連情報

NEXT

2020.02.19 TOPICS

地域の中学生向けに多文化共生ワークショップを実施

ページトップへ