生命科学部・前田大光教授が参画の共同研究にて陰イオン認識化学センサーの静水圧制御に成功
生命科学部 前田大光教授が参画する、東京工業大学 理学院 化学系の木下智和大学院生(博士前期課程2年)、福原学准教授らの研究グループは、化学センサーの積極的な制御を目指し、陰イオン認識化学センサー(フォルダマー ※1)の構造変化や発光特性、イオン認識能の動的制御が可能であることを見いだしました。
これまでのイオン認識化学センサーの一般的な制御法は、温度、溶媒和、光励起などを用いるものが一般的でしたが、今回、静水圧(※2)による包括的な制御に成功しました。静水圧を用いた分子認識の動的制御は、有用なセンサーとして機能するため、次世代スイッチングメモリーやドラッグデリバリーシステムなど、幅広い応用が期待されます。
本成果は2021年4月15日発行の英国Royal Society of Chemistry(王立化学会)の「Chemical Science(ケミカル サイエンス)」に掲載されました。
【用語説明】
※1 陰イオン認識化学センサー(フォルダマー):陰イオンを選択的に補足できる分子
※2 静水圧:液体・流体中に加わる圧力
【付記】
本研究は、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業 さきがけ 研究領域「光の極限制御・積極利用と新分野開拓」(研究総括:植田 憲一)における研究課題「光学出力を増幅できるアロステリック計測」(研究者:福原学(JPMJPR17PA))、科学研究費 基盤研究(B)(研究者:福原学(19H02746))を受けて行われました。
論文情報
- 発表雑誌:Chemical Science
- 論文タイトル:Ground- and excited-state dynamic control of an anion receptor by hydrostatic pressure
- 著者:Tomokazu Kinoshita, Yohei Haketa, Hiromitsu Maeda, Gaku Fukuhara
- 掲載URL:https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2021/sc/d1sc00664a#!divAbstra
- DOI:10.1039/D1SC00664A