スポーツ健康科学部・清家理教授が日本老年医学会誌”GGI”の優秀論文賞を受賞
スポーツ健康科学部・清家理教授が、一般社団法人日本老年医学会誌の「第13回Geriatrics & Gerontology International優秀論文賞」を受賞し、2022年6月2日(木)に受賞式が行われました。
「日本老年医学会」は、老年医学に関する研究の振興及び知識の普及、会員相互及び内外の関連学会との連携協力を行うことにより、老年医学の進歩を図り、もって我が国における学術文化の発展に寄与し、社会に貢献することを目指しています。
日本老年医学会の公式英文誌である、Geriatrics & Gerontology International(GGI)は、老年医学、老年学に関する原著論文、症例報告、速報、総説、国際会議報告、論説のほか講演抄録などを掲載しています。
今回、清家教授が受賞された「優秀論文賞」は、GGIに掲載された論文の中から、優れた3編に贈られたものです。
【写真】
(中央) スポーツ健康科学部 清家理教授
(左側) 共著者:国立長寿医療研究センターもの忘れセンター長 武田章敬氏
(右側) 共著者:同・認知症看護専門看護師 竹内さやか氏
清家理教授 受賞コメント
本論文は、認知症の方を日々介護されている御家族の方との取り組みについて、厳密な方法(無作為割付試験:RCT)で効果検証をした結果を示したものです。この研究の背景と主な結果をご紹介します。
2019年に出された認知症施策推進大綱を軸に、全国各地で認知症の方の御家族に対する支援活動が実施されています。これまで、家族支援の活動に対して科学的な手法で効果が示された研究は、ほとんどが欧米圏のものでした。文化的背景が異なるため、欧米圏の支援活動をそのまま日本の実践に用いるには、再現性の点で限界がありました。
そこで私たちは、ご家族のご希望(ニーズ)や先行研究の理論に基づき、グループ型心理社会的教育支援プログラム(以下、家族教室プログラム)を設定しました。
このプログラムは、認知症の方をご自宅で介護されている方向けに、3か月間(90分/回×1回/2週間)にわたり、認知症に関する学習のみならず、自宅に持ち帰って即使える介護方法やストレス対処方法を提供する内容で構成されています。
RCTでは、家族の精神的状態、介護感情、介護への対処行動の変化を検証し、その効果をまとめたものが本論文でした。ケア領域におけるRCTの実施は、時間と労力を要し、非常に困難が伴います。その上で改めまして、日々認知症の方と共に喜怒哀楽を共にされている御家族の方々、現場の業務が大変な中一緒に取り組んでくださった医師、看護師、その他スタッフの方々のご協力に深く感謝申し上げたいと思います。
※効果検証を終えたプログラムのテキスト、動画は無料配信中です。ぜひ、ご活用下さい。
【テキスト】https://www.ncgg.go.jp/hospital/monowasure/family/documents/as_you_sunny_tomorrow.pdf
【動画】https://www.ncgg.go.jp/hospital/monowasure/family/
今回の研究中に、参加された御家族から「認知症の方と一緒に参加できるプログラムがあったらいいのに…」という声が数多く寄せられ、現在、認知症の方と御家族がペアで参加できる教室「Petit茶論(認知症のこと、健康づくりのこと、ストレスマネジメント方法を学ぶ教室)」と「Petit笑店(音楽や漫才などレクリエーションアプローチを中心とした認知症進行予防、ストレスマネジメントをおこなう教室)」を開催しており、今年度以降も実施予定です。
国立長寿医療研究センター、行政、企業と協力して、効果検証を進めています。本活動に興味関心がある方は、是非、プログラムへご参加下さい。また研究に興味関心がある方は見学も受け付けていますので、お声かけ下さい。