画像:GLAが立命館慶祥高校、聖ザビエルカレッジと連携した新たな海外研修プログラムを実施

 グローバル教養学部(GLA)は、立命館慶祥高校、聖ザビエルカレッジ(ネパール)と連携した新たな海外研修プログラムを実施しました。

 リベラル・アーツを通じ、21世紀のグローバルリーダーの育成を目指すGLA。その教学では、グローバルリーダーに必要な「自ら問いをたて、調査、立案、実行する」探究力を重視しています。また、立命館慶祥高校でも、この探究力を育てるために以前から海外研修に力を入れていました。今回、附属校を擁する総合学園として、グローバルな一貫教育をさらに前進させ、早い段階から探究力を具えたグローバルリーダーを育成するためにGLAの授業「Special Lecture on Cosmopolitan Studies I」と立命館慶祥高校の海外研修を組み合わせた、新たなグローバル教育・一貫教育プログラムを開発しました。GLAの学生、立命館慶祥高校の生徒、そしてネパールの聖ザビエルカレッジの学生が、カトマンズなどでの研修を含め、約5カ月間の長期にわたり英語で協働学習を行いました。

 世界に46カ国ある後発開発途上国(LDC:Least Developed Country)の一つであるネパール。さまざまな国が支援を行っていますが、「支援する側」、「支援される側」として国際関係を考えてよいのか、そんな問いからプログラムはスタートしました。今回の連携先である聖ザビエルカレッジは、ネパールのエリート層だけでなく、さまざまな立場の学生が集まっています。そんな彼らと、「援助」「人権」「環境」「観光」の4つの視点から、「どのように協力できるのか」というテーマを軸に、文献調査やグループディスカッションを何度も重ねました。

画像:フェワ湖での清掃活動
フェワ湖での清掃活動
画像:リサイクルを呼びかけるチラシを配布
リサイクルを呼びかけるチラシを配布
画像:取り組みが注目され、主要メディア「カトマンズ・ポスト」 から取材を受けました
取り組みが注目され、主要メディア「カトマンズ・ポスト」 から取材を受けました

 そして、迎えたネパールでの研修。「支援する側」「支援される側」ではなく、ともに学ぶ仲間として、学術交流を行いました。また、ツーリストによって捨てられたゴミの現場、ペットボトルなどのゴミをリサイクルする工場、難民キャンプや孤児院などで視察を行い、事前にたてた問いへの答えを見つけていきました。さらに、ネパールのNGO「Himalayan Life Nepal」とも一緒に環境保全キャンペーンを実施。湖に廃棄されたゴミを拾い、周囲のまちの人々にリサイクルの大切さを呼びかけるチラシを作成し、配布しました。そして、現地ではPrakash Dahal氏(国家計画開発省、持続的発展・国際関係局局長)や、JICAが支援する小学校の先生方と、教育、貧困、児童婚などさまざまな問題について意見を交わしました。帰国後、これまで調査・研究したことや現地での研修を踏まえて政策を立案。Mukti Ram Rijal氏(ガインダコート市行政長官、本学国際関係研究科前期博士課程卒業生)とJICA南アジア部の日比野崇氏・齊藤学氏・河原理紗氏らを招いた政策提言会議で発表を行いました。

画像:ともに学んできた聖ザビエルカレッジの学生と初めての対面
ともに学んできた聖ザビエルカレッジの学生と初めての対面
画像:トレッキング中の村人との交流
トレッキング中の村人との交流


画像:ゴミ堆積場の視察
ゴミ堆積場の視察
画像:リサイクル工場の視察
リサイクル工場の視察

 プログラムに参加した生徒からは、「文献調査をして『途上国』であるネパールは、貧しい国だと考えていました。でも、聖ザビエルカレッジのみなさんと交流し、自分がいかに上から目線でネパールという国をとらえていたのかが分かりました」といった声もありました。

 「互いに学び合い、問いへの答えを協働で模索する。そして、グローバルな視点を持って、社会構造に組み込まれた問題から人々を『解放:Liberate』し、よりよい社会と未来を創造する知の『技法:Arts』を習得する」。そんなミッションを掲げてスタートしたプログラムは、学生・生徒一人ひとりの力を引き出し、それぞれが持つ将来のグローバルリーダー像やキャリアについても考える機会となりました。

 GLAでは、ネパールコースに加えて、オーストラリアで多文化共生を学ぶコースも展開しました。教学を通じて学生そして附属校生がともに世界で学び、未来を拓くグローバルリーダーとして成長できるよう、今後もさまざまなプログラムを展開してまいります。

画像:政策提言会議
政策提言会議
画像:5カ月間にわたりともに学んだ仲間との集合写真
5カ月間にわたりともに学んだ仲間との集合写真
廣野美和教授(グローバル教養学部)のコメント

 GLA生・慶祥生・聖ザビエルカレッジ生が、問題発見から政策提言に至る一連の研究過程を共に歩み、大学・大学院・社会に進んでも有用な考え方を現地での実践を通して学んでくれました。研修中の学生・生徒の成長や学びの深化は、まさに目を見張るものがありました。国際的な高大連携と海外研修が、学生・生徒を次世代リーダーにしていく起爆剤となることを実感できたことは、教員としても特別な経験でした。



高橋亮輔教諭(立命館慶祥高校)のコメント

 ネパール滞在中の生徒の表情から、このコースのタフさが分かります。生徒は、偶然的に生まれる出会いの瞬間を逃さずに、多くの人々と交流を深めてきました。オンラインでは得られない心揺さぶる出会いとなりました。一日中動き回り、身体は疲れ切っているけれど、心は温かい達成感に満ちている、そんな生徒の表情はなかなか見ることができません。“現地密着型海外研修”の魅力の一つと言えるでしょう。立命館での学びはまだまだ続きます。

画像:左:廣野美和教授 右:高橋亮輔教諭
左:廣野美和教授 右:高橋亮輔教諭
Lillie Goodinさん(GLA4回生(ANU入学後、2022年よりOICで履修))のコメント

 この科目では、多種多様な人々と交流しながら社会や援助の諸問題を議論するという素晴らしい経験ができました。渡航前は、問題の理論的側面を教室内で議論し、学問的な視点から検討しました。その上で、ネパール滞在中は、これらの問題の影響を受けている現地の方々と話し、その方々それぞれの困難を理解することにつながりました。皆さんに強くお勧めしたい科目です。



工藤凛さん(立命館慶祥高校2年生)のコメント

 一国の開発という答えのない問いに真剣に向き合い、現地の目線から国の発展を考えることができました。正直かなりチャレンジングな研修内容でしたが、ネパールでのリアルな経験を通して、多くのことを学んだと自信を持って言えます。GLAの学生や先生と交流できることもこのコースの大きな魅力だと思います。

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