NEDO「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/複雑なシステム連携時に安全性及び信頼性を確保する仕組みに関する研究開発」プロジェクトを始動

学校法人立命館は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/複雑なシステム連携時に安全性及び信頼性を確保する仕組みに関する研究開発」(実施期間2022年度~2024年度、総事業費5.4億円を予定、注1)に採択され、プロジェクトを始動いたしました。

本プロジェクトでは、ソフトバンク株式会社及び株式会社ネクスティ エレクトロニクスとともに、自律移動ロボット普及・イノベーション加速に向けた「人とロボット・AIの共存」を目指した「SoS時代 のシステムの安全性・信頼性とイノベーションの両立に向けたデジタルインフラ整備及びガバナンスのあり方に係わる研究開発」を進めてまいります(事業統括:徳田昭雄 研究担当副総長)。

具体的には、学生・教職員・地域住民が往来する立命館大学大阪いばらきキャンパス(OIC)をリビングラボとして活用し、自律移動ロボット関連のヒヤリハット等に対してリアルタイムに原因究明と再発防止を図りながら現状復旧するアジャイル・ガバナンスの効果検証及び課題抽出を進めることで、社会受容性の醸成、デジタルインフラ整備およびガバナンスのあり方を探究していきます。 



<実証実験イメージ>

実証実験イメージ

SoS:様々なシステムが複雑に相互接続して短期間で更新されていくシステム全体(System of systems)
アジャイル・ガバナンス:ガバナンスとは、「ステークホルダーに共有された一定のゴールを達成するための仕組み(技術・制度・組織 等)の設計・運用」であり、① 主体:マルチステークホルダー、② 手順:アジャイル、③ 構造:マルチレイヤの3つの要素を持ったガバナンスを「アジャイル・ガバナンス」とする(経済産業省・DADC, 2022『自律移動ロボットアーキテクチャ報告書(案)』)

プロジェクト概要

本プロジェクトでは以下の研究開発テーマを設定し、取り組みを進めてまいります。



①SoS運用データの収集・管理・共有および社会受容性に配慮した横断的アジャイル・ガバナンスPF

立命館大学、ソフトバンク株式会社
自律移動ロボットの運用データ及びガバナンスに係るデータの収集・管理・共有のための基盤を開発し、キャンパス内でのユースケースを題材に、有効性を検証します。また、マルチステークホルダーによるアジャイル・ガバナンスの方法を研究し、ガイドラインの整備や社会受容性プロセスの共創の仕組みを構築します。





②SoSの安全性・信頼性評価の省力化を実現する横断的なシミュレーションPF

立命館大学、株式会社ネクスティ エレクトロニクス
更なる複雑化が予想されるSystem of Systems(SoS)におけるシミュレーションの省力化(自動化)に向けて、複数のロボットや異なる管制システムのシミュレータを連成させた横断型のシステム連成シミュレーション技術(以降SoSシミュレータ)の試作と実証を行います。

安全性・信頼性確保や社会受容性向上のために、SNSのコミュニケーションプラットフォームやデータ連携基盤、安全性論証技術(GSN運用)を融合したアジャイル・ガバナンスプラットフォームとシミュレーションプラットフォームを連携させます。

本研究開発テーマでは、ネクスティ エレクトロニクスが開発した、自動車産業で実績のあるモデル流通プラットフォーム(moderix®)を活用し、SoSシミュレータの早期開発を目指します。



<アジャイル・ガバナンスの全体イメージ>

アジャイル・ガバナンスの全体イメージ

キックオフシンポジウムを開催

2月10日にOICでキックオフシンポジウムを開催し、経済産業省商務情報政策局情報経済課アーキテクチャ戦略企画室長の和泉憲明氏ならびに慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の白坂成功氏をお招きし、それぞれ「産業DXとは何か?イノベーションと安全性・信頼性確保の両立を実現させるシステム開発の狙いと立命館大学への期待」、「Society 5.0実現に求められる産業DXとアジャイル・ガバナンス」と題した基調講演をいただきました。

和泉氏からは、Society 5.0の実現に向けた社会構造の課題として、新技術が社会に浸透するための普及戦略、社会受容戦略が挙げられ、その解決のためには社会実装を推進し、ベネフィットを享受した社会の姿とリスクマネジメントの両立を目指すことが重要との指摘がなされました。こうした課題に対して、本プロジェクトで私立大学の総合力を活かした取り組みが実施され、社会共生価値の創出につながることに期待が表明されました。

白坂氏からは、これまでの常識・前提が通用しないVUCAの時代において、変化をとらえて対応するアジャイル・ガバナンスの必要性が指摘され、社会システムの在り方やデータ連携の重要性についての示唆をいただきました。

基調講演に続くパネルディスカッションでは、本プロジェクトが目指すアジャイル・ガバナンスの方向性をパネリストと再確認するとともに、大学キャンパスを模擬社会に見立てた実証実験への期待が述べられました。

立命館大学は2024年に情報理工学部・映像学部のOICへの移転を予定しており、本事業の成果をキャンパス新展開におけるインフラ整備にも取り入れ、実装していく所存です。また、今後は、周辺地域と連携しながら、事業者や利用者など様々なステークホルダー事業者が使いやすい基盤としてのビル・都市OSやデジタル田園都市への展開を図ります。ひいては、学園ビジョン「R2030挑戦をもっと自由に」のもと、人とロボットの共存による社会共生価値、すなわち「安心安全とイノベーションが両立する社会」の実現に寄与して参ります。

和泉憲明氏による基調講演 白坂成功氏による基調講演
和泉憲明氏による基調講演 白坂成功氏による基調講演




注1「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/複雑なシステム連携時に安全性及び信頼性を確保する仕組みに関する研究開発」に係る実施体制の決定について
(NEDO HP:https://www.nedo.go.jp/koubo/IT3_100255.html

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