学校法人立命館は、3月25日(月)、2024年度に開設される大阪いばらキャンパス(OIC)新棟「TRY FIELD」の記者発表会を行いました。会場となった新棟1階にある2層吹き抜けのテラスゲートに集まった記者たちを前に、山下範久企画担当常務理事、三宅雅人総合企画室副室長が登壇し350インチの大型LEDビジョンにスライドを映し出しながらの発表となりました。

新たな社会共創の場として期待される新棟

 山下常務理事からは、新棟建設の経緯とコンセプトについて説明がありました。「デジタル&クリエイティブの融合により進化する」「タブー無き挑戦を通じてスタートアップを生み出す」「異次元のつながりが新たな価値を創出する」という新棟・TRY FIELDがめざす3つの柱を提示。常に誰かが何かに挑戦していることを可視化する機能によって、社会課題の発見・解決・実装できる人材を生み出すとともに、企業、自治体、地域住民など多様なアクターとのつながりを大切にする「ソーシャルコネクティッド・キャンパス」をめざすという新棟のビジョンを語りました。

山下常務理事

 続いて、ソーシャルコネクティッド・キャンパス推進にあたって新設された社会共創推進本部の本部長にも内定している三宅副室長が、新棟の特徴を説明しました。社会と連携によるクリエイティブな表現・発信の活動を可視化する社会開放施設「クリエイティブ・コンプレックス」、産学連携の新たなフェイズをつくりだすユニークな社会共創施設「Co-Creation Hub with Ritsumeikan」など、エリアごとに機能や特徴を紹介。実証実験の舞台としてドローンやロボットが動き回るなど未来型キャンパス像のアウトラインを示し、期待感を高めました。

「研究が外側にしみだす」学生や教員が交差する設計

 その後、「初お披露目ツアー」と題して新棟を見学してまわる機会が設けられました。まずは1階の「SP Lab」では、ドライビング・シミュレーターの開発に取り組む学生たちの姿がありました。ガラス張りのラボは企業や市民が気軽に研究の様子を見られることを想定したつくりで、研究成果の展示も随時行なわれる予定です。さらに、VRを中心とする先端的なXRを駆使する「SP Lab X」では、VRゲーム制作が進行中。充実した設備を活用した主体的な研究・創造活動の姿が垣間見えます。

SP Lab X

 5階から上の情報理工学部ゾーンに入ると、両側に研究室を配置した幅の広い廊下が目を引きます。一般的な研究棟より1m広げ、天井を抜いてセンサーなどを簡単に設置できるような仕様にし、いつでも実験や展示ができるスペースにしました。学部内の他の研究室が何をしているのかわからないため連携やイノベーションが起きにくいという教員や学生からの意見に応え、「研究が外側にしみ出す」設計にしました。

 同様に交流を促進するというコンセプトでつくられたのが、4階から9階までつながる斜めの吹き抜けという、他ではまず見ない「Innovation Lounge」です。学生の動線でありながら、各所に椅子や机、大型モニターなどが設置され、グループ学習や発表の場としても利用可能。出会いが生まれる「学生の交差点」をたくさんつくるための設計です。この見学会に合わせて新入生を迎えるオリターと呼ばれる学生たちの新棟体験会も実施しており、思い思いに交流スペースを活用する学生たちの姿がいたるところに見られました。

Innovation Lounge

 4階と5階には、企業や自治体などとの連携の場となる「Co-Creation Hub with Ritsumeikan」があります。5階は従来のように企業と教員とがプロジェクトを組んで共同研究を行うための部屋がいくつか用意されています。一方、4階は社会共創推進本部が所管する新しいタイプの共創空間。まだ明確になっていない課題、研究レベルに達していないテーマを企業や自治体が課題を持ち込み、文理の幅広い領域の教員や学生が加わり検討し合います。趣旨に賛同した企業や自治体を社会共創アドバイザーとして募集し、徐々に社会共創を広げていきます。

日本初の最先端設備を導入し新たな学びを創造

 3階以下には映像学部や全学が使う教学施設が集まり、教室の周辺には「Connected Learning Commons」と呼ばれる、オンライン学習のスペースが備えられています。また、教学施設として参加者を驚かせたのが、「Learning Infinity Hall」です。200人を収容できるグループワーク用の大教室ですが、各ブースにモニター、カメラ、スピーカー、マイクが設置され、講義中に外部ともオンラインで議論をすることが可能です。ブースごとに違う相手とオンライン会議もでき、リアルとバーチャル、ディスカッションと講義を縦横無尽に行き来できるダイナミックな施設です。日本にはまだ類を見ない施設で、これから教員や学生と一緒に新しい学びの可能性を極めていきたいとのこと。ちょっとしたデモンストレーションがありましたが、初めてのデバイスでも臆せず使いこなす学生たちが頼もしく、学習効果の大きさへの期待が高まりました。

Learning Infinity Hall
動画撮影スタジオ「LIST」

 1階はクリエイティブ・コンプレックスとして、全体がクリエイティブな感性を刺激するゾーンになっており、先に紹介した「SP Lab」のほかにも様々な施設群があります。学生が制作した動画を生配信できるライブストリーミングスタジオもその一つで、学生によるピアサポートやプロによるレクチャーなど、レベルに合わせて動画制作を学ぶことができます。また、「JIZAI HALL」は学生団体による課外活動や研究活動の発表・展示に使えるガラス張りのホールで、この日はダンス系の団体が熱心に練習するシーンが見られました。日本マイクロソフト株式会社が提供する「Microsoft Base Ritsumeikan」、デジタルファブリケーションのための設備が揃った「KOBO」なども紹介されました。

 最後は、映像学部生の作品を上映するシアター教室で3Dサウンドシステムであるドルビーアトモスの音質を体感しました。その後、質疑応答の時間が設けられると、施設に対する質問はもちろん施設を活用した新たな学びについてなど、熱心な質問が飛び参加者の関心の高さがうかがえました。お披露目ツアーは全部で1時間半ほどの間でしたが、多くの学生が実際に学び、創造・交流している様子を見ることで新棟の設計思想がよりリアルに感じられました。途中では警備ロボットが館内を動きまわり、誰の手も借りずにエレベーターに乗るデモンストレーションも。デジタル&クリエイティブの融合による挑戦のフィルドの魅力が十分に伝わってきた見学会でした。

シアター教室
警備中のロボット

写真提供:立命館大学新聞社

NEXT

2024.04.24 TOPICS

第19回「のじのじカフェフードバンク」が開催されました ~学生に食料や日用品などを無償提供~

ページトップへ