長崎県で開催された国際フォーラム「Nagasaki Peace-preneur Forum 2025」に本学学生と大学院生が参加
2025年5月16日から18日にかけて、長崎県で開催された国際フォーラム「Nagasaki Peace-preneur Forum 2025(以下、NPPF)」に、Pham Ha Huong(ファム・ハ・ホウオン)さん(グローバル教養学部1回生)と Miguel Rischmaui(ミゲル・リチマウイ)さん(国際関係研究科博士前期課程2回生)の2人が参加しました。
本フォーラムは、被爆80年を迎える長崎の地で、世界各国から集まった若者たちが「分断と対話」をテーマに平和の実現に向けたアイデアと行動を共有する場として開催されました。OYW長崎協議会(One Young World Nagasaki Council)主催のもと、約200人の若者が参加。講演、ワークショップ、ネットワーキングを通じて平和を築くための新たな視点を探りました。
「Peace-preneur」としての第一歩
「Peace-preneur(ピースプレナー)」とは、「Peace(平和)」と「Entrepreneur(起業家)」を組み合わせた造語で社会課題の解決を通じて平和を実現しようとする人々を指します。NPPFでは、参加者がそれぞれのバックグラウンドに基づき平和に向けたプロジェクトやアイデアを発表し、議論を深めました。
平和とコミュニティの研究を専門とするMiguelさんにとって、フォーラムへの参加は、他の人が平和についてどう感じているか、そして彼ら自身の環境で平和を推進するために何をしているかを知るための貴重な機会となりました。さらに、立命館大学国際平和ミュージアムでの活動と、自身のバックグラウンド(チリ系コミュニティ出身、アメリカ育ちのパレスチナ人)が、平和に対して多層的な理解をもたらしたと解釈。そのような経験と経歴から来る思いが、フォーラムにおいても十分に評価されたと振り返りました。
Phamさんも、ベトナム出身の留学生として、戦争の記憶と平和教育の重要性への関心からプログラムに参加しました。彼女は「千羽鶴の物語」を、長崎の原爆投下の悲劇を初めて知ったきっかけとして挙げています。また、ベトナムで平和の実現に取り組んできた背景があり、自ら非営利プロジェクトを立ち上げ、SDGsに沿った持続可能な取り組みを行ってきました。Phamさんは経験豊富な人々から学ぶ機会を得られるフォーラムに参加できることに、大きな期待を寄せていました。
NPPFで2人が印象的だった場面
フォーラムでは、国連関係者やNGO、企業のリーダーによる講演が行われ、「分断」の現状とその乗り越え方について多角的な視点から学ぶ機会となりました。特に印象に残った講演者として2人が挙げたのは、リンダ・クルーズさんです。彼女は国際的な最前線で活動するヒューマニスト。世界中の深刻な社会問題、環境問題、人道問題の解決に尽力し、全大陸で生活してきた経歴があります。
Miguelさんにとって印象的だったのは、リンダさんが育ってきたコミュニティよりも人間性を重視して説いている点でした。彼女の演説を通して、「人をその人自身として受け入れるべきであり、肩書きや立場で判断すべきではない。より良い世界を作ることはすべての人の目標であるべきだ」と感じたと言います。
また、PhamさんはNPO法人「ボーダレスファウンデーション」でpeace-ing事業代表を務める中村涼香さんも印象に残ったと言います。中村さんは原爆被爆者の3世であり、高校時代から長崎を拠点に平和活動に従事してきました。中村さんのエピソードはPhamさんに刺激を与え、「身近なコミュニティ内での地域プロジェクトの重要性を強く感じた」と振り返っています。
対話を通じて見えた「分断」の本質
Miguelさんによると「分断は、国家や文化の違いだけでなく、世代間や経済的な格差にも根ざしています。NPPFで人々が取り組んでいる活動を見て、平和の対話が続いていることを再確認できて満足しています」と語りました。Miguelさんはフォーラムで学んだことを今後の研究と活動に生かしていく意欲を見せています。
Phamさんは「長崎という歴史的な場所で平和について深く考える時間を持てたことは、非常に意味が深いものになりました」と振り返りました。今後の抱負については「立命館大学から、持続可能な地域システムに焦点を当てた非営利プロジェクトやスタートアップを日本で立ち上げたい」と考えています。
立命館大学と学生の国際的な学びの広がり
立命館大学は、国際交流や社会課題への関心を持つ学生の学びを支援しています。今回のNPPFへの参加は大学の公式な教育活動の一環ではありませんが、学生が自発的に世界の課題に向き合い、行動する姿勢を示す好例となりました。
参加したPhamさんとMiguelさんは、フォーラムで得た経験を今後のそれぞれの関心や研究に生かしていく予定です。彼らの姿勢は、同じ志を持つ学生たちにとっても刺激となることでしょう。