自分たちでプロジェクトを動かすという面白さ
ミクロネシアRPGチャレンジ
課外国際交流プログラム(2) 国際関係学部2回生 大井真純さん
長期的視野に立ち、大学生だからできることを考えるようになった
立命館大学では、正課(授業)・課外を問わず多くの海外研修プログラムを実施しています。ここでは課外活動のひとつ「ミクロネシアRPGチャレンジ」*ついて紹介します。ミクロネシア連邦(以下、ミクロネシア)が抱える環境保全に関する問題を見いだし、解決策を考えるPBL型プログラムで、到達目標はもちろん活動内容なども学生が決める点などが特徴となります。第2回目の今回は、一期生としてプログラムに参加し代表としてグループを牽引した大井真純さん(国際関係学部2回生)にお話をうかがいました。サークルや部活動などを含めリーダーになったのははじめてという大井さん。壁にぶち当たりながらも、それを乗り越えつかんだものとは…。
*学生団体のnatuRableが、千葉県にある麗澤大学のJapanesiaと現地唯一の高等教育機関でもあるミクロネシア短期大学(以下、COM)との協働で実施した課外活動
*福岡方式:「準好気性埋立構造」。メタンガスやCO2などの有害物質を減らすことができ、コストが安いことから各国に普及。2011年には地球温暖化を抑制する方法として、国連からも認定を受けている
行ってみてはじめて気付くこともたくさんありました
海外経験などを生かし、悪戦苦闘のなか、リーダーとしてチームをまとめる
「入学後、国際関係学部の授業や英語を本格的に学ぶ間に、世界に飛び出したい、もっと英語を話したい・勉強したいと思い、居ても立っても居られず大学を2年間休学しました」という大井さん。ワーキングホリデーを使いオーストラリアで1年間を過ごし(語学学校&日本食レストランでのアルバイト)、帰国後はアルバイトで資金を貯めるなどしつつ復学に備えてきた。2年ぶりに立命館に戻り、今後の大学生活を充実させるため、課外活動や短期&交換留学などを探していた際、「たまたまポスターを見かけた」のが今回のプログラムだったという。当時は、「ミクロネシアの場所すら知らなかった」と笑うが、以前から抱いていた国際協力への関心とあらかじめ決められたプログラムではなく、自分たちでプロジェクトを動かすという面白さに惹かれ、気が付けば志望書にペンを走らせていた。
無事、参加が決まり7人揃っての最初のWeb会議で、「大きなプロジェクトだからこそ積極的に参加したかった」という思いもありリーダーに立候補。学部やキャンパスもバラバラで7人揃ってのミーティングの開催すら難しかったそうだが、海外経験などで培った度胸や調整力を生かし、限られた時間のなかで団体のネーミングから活動内容・計画などを決めていった。「オーストラリアに行くまでは、そんなに前に出るほうではありませんでしたが、海外生活を経験し、以前より積極的に行動できるようになったと思います。今回の活動では、同じ学部同士では思いつかないような観点から話ができ、とても勉強になりました」と、個性派揃いで意見を取りまとめるのに苦労もしたが、学部のプログラムにはない課外活動ならではの良さも実感した。
もともとこのプロジェクトは麗澤大学の自主企画ゼミ(正課)Japanesiaを中心にCOMと共に5カ年計画で進めてきたものに立命館大学が参画する形で始まったもので、「Japanesiaは今回が4度目のミクロネシアと経験もあり、どの程度一緒に活動できるか、どこまで連携できるか、独自性は出せるのかなど、不安のなかでの船出でした」と振り返る。そうしたなかPCM方法を活用しつつメンバーと話し合いを重ね、「Japanesiaが、(ペットボトルなど輸入される以前は、捨ててもそのまま土にかえるものがほとんどだったため)ポイ捨てが習慣化している現地の小学生を中心とした子どもたちに環境教育を行っているのに対し、私たちとしては、ミクロネシアの廃棄物処理能力の改善・向上を目指し何かできることはないかというアプローチに決めました」と、チームとしての第一歩を踏み出した。
麗澤大学での事前合宿などを経て8月末に現地(ミクロネシア連邦 ポンペイ島)を訪問。2週間の滞在中、JICAをはじめEPA(ミクロネシアの環境局)などへも足を運びダンプサイトの見学はもちろん、ゴミ問題や廃棄物処理の現状、今後の方針などをヒアリング。「渡航前は、もっとゴミが散乱しているイメージでしたが、細かくは分別されていないものの、缶類(デポジット制)などある程度ゴミも分けられており、行ってみてはじめて気付くこともたくさんありました」と第一印象を口にする。
今回は現地調査がメイン。これからが本番だと思っています
COMはもちろん、現地の人たちとのつながりを大切にしたい
現地では、実際に廃棄物問題に取り組むJICAやEPAなどで話を聞き、「できることやできないこと、進んでいることやまだまだこれからのことなど現在地を確認することができました。麗澤大学を卒業後もJICAのボランティアとして現地で活動しておられる方の話も聞け、何事も一足飛びには事は進まないこと、継続性の大切さを痛感するなど、私自身も含めチーム全体としても出発前と少し考え方に変化がありました」と大井さん。「意欲がある学生が集まっているので、現地に行くまでは、たった2週間でも何か成果を残したいという強い思いを抱いていましたが、実際に訪れ、話を聞き自分自身の目で確かめることで、みんなの考えも徐々に長期スパンになったと思います」と感想を口にする。
学生の立場でできることは限られている。ましてや日本から何千kmも離れている南太平洋のミクロネシアでの活動。そうとはいえ、「大学生だからできることもあると思うし、日本に居ながらできることもきっとある。継続的に活動できるよう考えていきたい」と前向きだ。
発足当時から「現地の人たちとの関わりを大切にしたい」という思いがメンバーの心に強くあり、「私たちが何かをするだけでなく、目標を共有し現地の人たちと一緒に活動すること」をチームのモットーとして掲げていた。現地での活動にはCOMのメンバーとの連携は不可欠。現在もフェイスブックなどでつながり、定期的にコミュニケーションを図るよう心掛けているという。また、今回初めて協働作業を行った麗澤大学の学生からは、帰国後の合同ミーティングで「今まではjapanesiaのメンバーだけで行っていた環境教育活動に関して、“外の目”が入ってきたことで、自分たちだけでは気づかなかったことやわからないことなど新しい発見をすることができた。これからも協力し活動を発展させていきたい」と、感想が聞かれたという。
「休学してオーストラリアに行っていた時は、私個人の思いで行動していました。今回は、団体として自分たちの考えをまとめて作り上げていく楽しさがあり、これまでとは違った経験ができていると思っています。今後も大学での学び(国際関係学部国際関係学科国際関係学専攻国際協力開発プログラム)を踏まえ、3団体の長所を生かしながら活動していきたい」と力強く抱負を話した。さまざまな出会いを生かし、いかにこの波を広げていくか。その先に明るい未来がある。
※「natuRable」のメンバー構成(男子3人、女子4人の計7人。3回生2人、2回生3人、1回生2人)
※「Japanesia」:成瀬猛教授指導のもと、学生主体で活動している麗澤大学の自主企画ゼミ(正課)
※PCM方法:モノやコトの「良い点」と「悪い点」を、 論理的に、そして時には、 信念、感情、思い込みなどに基づいて実質的に議論し「よりよい主張」を得るための方法
第1回https://www.ritsumei.ac.jp/news/detail/?id=411
第3回https://www.ritsumei.ac.jp/news/detail/?id=423
natuRable facebook(学生団体)https://www.facebook.com/7natuRable/