平井嘉一郎記念図書館「ILOコーナー」開設式および記念講演会が開催

 6月23日(金)、衣笠キャンパスの平井嘉一郎記念図書館カンファレンスルームにて平井嘉一郎記念図書館「ILOコーナー」開設式および記念講演会が開催されました。開設式では、吉田美喜夫・立命館大学長から田口晶子・国際労働機関(ILO)駐日代表に感謝状が贈呈されました。記念講演会では、はじめに吾郷眞一・立命館大学法学部特別招聘教授と田口晶子ILO駐日代表からそれぞれ講演があり、続いて板木雅彦・立命館大学図書館長がモデレーターになり、講演されたお二人のほか上村俊一・前ILO駐日事務所次長をパネリストに迎えて座談会が行われました。記念講演会で約50名以上の参加者がILOの資料の意義について学び、国際機関で働くために必要なキャリア形成の仕方や学生時代に養っておくべきスキル等について理解を深めました。

 2016年8月、立命館大学は、ILO駐日事務所からILO関連資料約4,000点の寄贈を受けました。これによって、本学はILO関連公文書を西日本で所蔵する唯一の機関となり、これらの資料を広く一般市民や学生に公開するために整備作業を進め、2017年6月に衣笠キャンパスの平井嘉一郎記念図書館内に「ILOコーナー」を開設しました。本式典および講演会はその開設を記念して開催されました。

 開設式は、立命館大学を代表して吉田美喜夫学長からの挨拶に始まり、田口晶子ILO駐日代表へ感謝が述べられました。吉田学長は、「就任に当たりディーセントな学園づくりをスローガンとしたが、これはILOが掲げるディーセント・ワークを参考にしたものであり、働きがいのある人間らしい労働条件の実現とともにすばらしい学園づくりに思いを込めている」というエピソードとともに、労働法の研究者はILO条約の定める水準・基準を常に参照しているというご自身とILOとの関係について紹介されました。さらに続いて、グローバルな変化のもと世界的規模で労働条件について考えることが世界共通のテーマとなっているなかでILOの果たす役割は大きく、ILOのコレクションが末川文庫、白川静文庫、加藤周一文庫に続く資料として学生、大学院生、教職員のみならず広く地域や市民、国際的交流による諸氏にも利用してもらえるものになってほしいという「ILOコーナー」への期待を述べられました。
 田口晶子ILO駐日代表からは、「ILOコーナー」開設式に出席できたことついて、田口氏が2015年4月から2016年1月まで本学大学院公務研究科で教鞭をとられていたことがあり、その不思議な縁を感じられているお気持ちを最初に披露されました。そのあと、「現在、技術革新、人口動態の変化、経済のグローバル化の進展、気候変動等により働く世界に大きな変化が起こっており、ILOは新しい課題に対し効果的に対応する様々な取組みを行っている。いっぽう日本においても昨年来『働き方の未来2035』や『働き方改革』等仕事についての議論が盛んになるなど、国内外で『働く』ということに関心が集まっている今、ILOの歴史のある諸資料が自分の以前在職していた立命館大学の研究者、学生、大学院生に活用してもらえることを非常にうれしく思う。」とお気持ちを述べられました。

吉田美喜夫学長(左)、田口晶子ILO駐日代表(右)
吉田美喜夫学長(左)、田口晶子ILO駐日代表(右)
講演会の様子
講演会の様子

 記念講演会は、まず吾郷眞一・立命館大学法学部特別招聘教授による講演「ILOとその資料の意義~98年の歴史の重みと、21世紀への遺産~」が行われました。吾郷教授はILOの歴史に関わる様々なエピソードを紹介され、「ILOコーナー」に所蔵されている資料の重要性について述べられました。
 その後、田口晶子ILO駐日代表による講演「経済のグローバル化における世界とわが国の若者雇用とキャリア形成~ILO が果たす役割~」が行われました。田口氏は、世界や日本の若年雇用の現状について説明された後、若年者雇用対策の必要性とILOや日本、欧米先進国が取り組んでいる事例を紹介され、2019年のILO創設100周年に向けて掲げる7つのイニシアチブの重要性について述べられました。
 講師お二人に上村俊一・前ILO駐日事務所次長を加えた4名のパネリストと板木雅彦・立命館大学図書館長をモデレーターとして座談会が開催されました。座談会では、国際機関で働くために必要なキャリア形成の仕方や学生時代に養っておくべきスキル等について理解を深めました。上村氏からは、ILO在職時代に立命館大学にILO関連資料を寄贈するに至った経緯やILOと日本をつなぐ経験談をお話いただきました。「ILOコーナー」開設の実務的な対応に深く関わられ、フロア参加者として出席されていた国連大学サステイナビリティ高等研究所図書館司書の勝見道子氏からは、ご自身が実体験された日本と海外とのキャリア形成の違いについて紹介があり、活発な討議が行われました。

 最後に、講演会の司会および座談会のモデレーターを務められた板木雅彦・立命館大学図書館長から、講演者ならびに参加者への謝辞が述べられ、盛大な拍手のなか講演会および座談会は終了しました。

集合写真
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