国立研究開発法人海洋研究開発機構超先鋭研究開発部門高知コア研究所の伊藤元雄主任研究員を代表とするPhase2キュレーション高知チームは、6月20日(日)から「大型放射光施設SPring-8」で小惑星リュウグウの粒子分析を開始します。
本分析はSPring-8長期課題「はやぶさ2サンプルのX線CTを用いた初期分析:技術開発、分析手法評価と分析:代表・土`山明(立命館大学・教授)」の一環で行われます。
我々が住む地球は形成から現在に至るまで、加熱などによる様々な変成・変質を受けることで過去の物質を失っています。一方、小惑星探査機「はやぶさ2」が目指した小惑星リュウグウは、熱による影響が少なかったと考えられており、約46億年前に太陽系が形成された頃の有機物や含水鉱物を今も残している可能性があります。この太陽系最初期の物質科学的情報を得ることができれば、46億年に渡る太陽系形成史、地球の水の起源や地球生命に至るまでの有機物進化過程などの解明が期待されることから、試料の直接採取が待ち望まれていました。
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、小惑星探査機「はやぶさ」による小惑星イトカワの往復探査と、微量ながらその表層試料の獲得に成功した知見をもとに、より始原的な炭素質小惑星リュウグウへの科学探査を目指して「はやぶさ2」を開発しました。「はやぶさ2」は、2014年12月3日に打ち上げられ、リュウグウに到着して近接分光観測を行うとともに、惑星表面と地下からの2度の試料採取に成功しました。そして、2020年12月6日に試料を封入したカプセルがオーストラリア・南オーストラリア州のウーメラ砂漠に帰還しました。回収された試料カプセルからは、総量5.4グラム程度の黒い砂状粒子が確認されました。JAXA地球外試料キュレーションセンター(ESCuC)では、1粒子毎の光学観察や重量測定を中心とした粒子の初期記載が行われ、6月17日、JAXAからPhase2キュレーションの2チーム、初期分析の6チームにサンプルが引き渡されました。海洋研究開発機構を中心とした多機関連携型のPhase2キュレーション高知チームは、JAXA ESCuCと密接に連携を取りながら、貴重な小惑星リュウグウ試料の分析に挑みます。
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