• 2022/08/12
  • ヒトの声帯形態と音声言語の進化 ―単純な声帯の進化が複雑な言語コミュニケーションの礎となった―
  • 立命館大学広報課
  •  ヒトは、多様な母音や子音を一息の中で連続的に連ねて言語コミュニケーションをしています。一方、サル類は、声の大きさや高さ、長さなどを手かがりに音声コミュニケーションしています。
     京都大学ヒト行動進化研究センター 西村剛 准教授、宮地重弘 同准教授、兼子明久 同技術専門職員、同大学大学院理学研究科 木下勇貴 博士後期課程学生、同大学 クリスチャン・ヘルブスト 特任准教授(研究当時、現:オーストリア・モーツァルテウム大学研究員)、 同大学 小嶋祥三 名誉教授、香田啓貴 同特定准教授(研究当時、現:東京大学准教授)、同大学大学院情報学研究科 松田哲也 名誉教授、今井宏彦 同助教、立命館大学理工学部 徳田功 教授、石村憲意 同助教(研究当時、現:DENSO)らの研究グループは、ヒトの声帯形態は音声言語に適応して進化していたことを明らかにしました。
     本研究では、サル類の声帯形態の特徴を明らかにし、実験的手法によりその振動特性および音響学的効果を示して、それらをヒトと比較しました。サル類の声帯は複雑な形態を呈しており、大きな音声や多様な音声をつくるのに適していますが、安定性に欠けます。一方、ヒトの声帯は単純な形態で、長く安定した音声をつくるのに適していました。逆説的ですが、その単純な声帯形態こそが、複雑に音素を連ねる音声言語に適応的であることを示しました。これまで、声帯の形態進化はほとんど注目すら払われてきませんでした。本成果は、言語がどのように獲得されてきたかという進化プロセスの重要な一端を明らかにしました。
     本成果は、2022年8月11日(現地時刻)に米国の国際学術誌「Science」に掲載されます。

     プレスリリース全文は、以下をご覧ください。
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