• 2019/10/02
  • 葉緑素だけからできたナノシートの合成に成功 – 人工光合成のための新たな材料として期待 –
  • 立命館大学広報課
  •  立命館大学大学院生命科学研究科の民秋均教授と同大学総合科学技術研究機構の庄司淳客員研究員らの研究グループは、光合成色素(クロロフィル分子、葉緑素)を集積させたナノシートを世界で初めて合成することに成功しました。本研究成果は、2019 年10 月2 日18 時(日本時間)にScientific Reports (英国科学誌ネイチャーの姉妹誌)に掲載されます。

     <研究成果の概要>
     光合成を行う生物は、太陽光を効率よく吸収し、その光エネルギーを素早く伝達するための集光アンテナ装置をもっています。その一つであるクロロゾームでは、葉緑素(クロロフィル分子)だけが集積することで、ナノチューブやナノシート構造体を形成していることがわかっています。これまで、我々の研究グループとドイツの研究グループは、それぞれ別々の方法でクロロフィル分子を集積させたナノチューブを合成することに成功しています。一方、クロロフィル分子でナノシート構造を人工的につくることは非常に難しく、これまで報告例がありませんでした。本研究では、クロロフィル分子間の相互作用を巧みにコントロールすることで、人工的なナノシートの合成に世界で初めて成功しました。
     本研究で用いたクロロフィル分子は、アミド基とウレア基をもっており、これらの置換基はタンパク質のように水素結合を形成することができます。このクロロフィル分子は、通常は小さな集積体しか形成しませんが、ゆっくりと熟成させることで、より安定で巨大な集積体に変化し、ナノシート構造を作ることができました。過去に報告したナノチューブをつくるクロロフィル分子は、水素結合をしない炭化水素鎖をもち、その柔軟さが大事でした。一方、アミド基とウレア基の強い水素結合は、クロロフィル分子を平面状に秩序正しく並べる働きをし、これがナノシートの形成につながりました。

     プレスリリース全文は、以下をご覧ください。
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