• 2021/05/24
  • 免疫チェックポイント阻害剤の2大製剤であるオブジーボとキイトルーダの共同研究比較を実施 キイトルーダの売上はオブジーボよりも大きくなっていることを示唆
  • 立命館大学広報課
  •  立命館大学テクノロジー・マネジメント研究科の児玉耕太准教授らの研究チームは、抗癌剤の研究開発において企業間取引が活発に実施されており、低分子化合物および生物学的製剤の中では、特に免疫チェックポイント阻害剤が顕著であったこと、その多くは併用療法開発に関するものであったことを確認しました。本研究成果は、2021年5月24日12時(日本時間)に学術誌「Journal of Personalized Medicine」に掲載されました。

     新薬の研究開発は成功確率が低く、長期にわたり莫大な投資が必要です。医薬品開発を通じて人々の健康に貢献し続けるため、創薬の中心は旧来主流であった低分子化合物に対し生物学性製剤の割合が増し、特に近年では細胞治療、遺伝子治療などを含む多種多様な技術へ展開しています。このような環境に適応すべく、製薬業界では自社が保有しない技術や経験を社外にアクセスして取り入れる動き、すなわち社外組織とのコラボレーションが重要視され、活発化しています。

     そこで本研究では、癌領域に注目し企業を中心とした社外取引に関するデータベースを用いて、米国で1999年から2018年の間に新規承認された低分子化合物と生物学的製剤を対象に、全世界の戦略的取引(提携、買収、投資)について調査し、抗癌剤開発に特徴的な外部取引について作用機序別に比較検討しました。
     その結果、免疫チェックポイント阻害剤は他の作用機序抗癌剤に比べ有意に活発に組織間取引が行われており、その多くは併用療法開発のための提携であることが確認されました。さらに免疫チェックポイント阻害剤のパラダイムシフトを起こしたキイトルーダ、オブジーボに対し実施された組織間取引の詳細について評価したところ、全世界での売り上げに飛躍的な伸びが見られ、また米国において継続的な適応拡大が確認されました。また、承認はオブジーボが早かったにも関わらず、キイトルーダの積極的な外部連携の結果、売上はオブジーボよりも大きくなっていることが示唆されました。
     今後、抗癌剤開発は外部組織との戦略的提携が重要な鍵を握ると予想されます。

     プレスリリース全文は、以下をご覧ください。
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