• 2023/05/19
  • 超高磁場MRI で見る霊長類「全脳」神経回路の多様性 ―分野横断型の霊長類脳標本画像リポジトリ:ヒト脳と精神・神経疾患の理解を加速する国際研究基盤―
  • 立命館大学広報課
  •  慶應義塾大学(酒井朋子 助教、岡野栄之 教授)、京都大学(新宅勇太 特定准教授、宮部貴子 助教、濱田穣名誉教授)、東京慈恵会医科大学(岡野ジェイムス洋尚 教授、太田裕貴 講師、曽我部和美  大学院生)、東京都立大学(畑純一 准教授)、量子科学技術研究開発機構(南本敬史 グループリーダー、平林敏行 主幹研究員)、生理学研究所および立命館大学(定藤規弘 教授(兼任)/教授)、ジョンズ・ホプキンス医科大学(大石健一准教授、森進 教授)らによる国際連携研究グループは、霊長類の「全脳」の神経回路を 3 次元上で高精細に可視化した脳画像を収集し、霊長類脳標本画像リポジトリを開発しました。 
     近年、磁気共鳴画像(MRI)法などの非侵襲的な医用画像法やコンピュータ技術の発展により、ヒトと近縁な霊長類との比較により、ヒトの脳の進化的な共通性や多様性を解明し、精神・神経疾患の病態の理解や予測の実現をめざす霊長類比較脳イメージングが注目されています。日本では、「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」(以下、革新脳)で、非ヒト霊長類モデルの脳画像データベースの開発が進んでいます。最近では、革新脳から小型霊長類のマーモセットの脳画像データベースが公開されました。(https://dataportal.brainminds.jp/marmoset-mri-na216)。 
        革新脳および戦略的国際脳科学研究推進プログラムとの連携体制をもつ本研究グループは、世界最大級の霊長類脳標本コレクションを対象に、超高磁場 MRI 装置を用いて、脳標本を切り出すことなく神経線維の連絡性を可視化した拡散テンソル画像(diffusion tensor imaging; DTI 画像)を撮像する顕微鏡的 MRI 技術を開発し、体重 100g ほどのマーモセットから体重 38 ㎏のチンパンジーにまでわたる霊長類種の神経回路の多様性を全脳レベルで描出することに成功しました。本脳画像リポジトリは、今回の発表論文で第 2 フェーズへと入り、さらに、多様な霊長類の脳情報を包括的に提供することで、データ駆動型科学を通したヒト脳の特徴や精神・神経疾患の解明に貢献しています。本論文はこれまでの活動が国際的にも認められ、招待論文として「Neuroimage」のオンライン版に 2023 年 4 月 7 日に掲載されました。 

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