国際シンポジウム「稲盛経営哲学研究の国際化の展望」 開催
3月4日(金)、立命館いばらきフューチャープラザのコロキウムにて、稲盛経営哲学研究センター主催の第1回国際シンポジウム「稲盛経営哲学研究の国際化の展望」が開催され、180名を超える研究者、企業関係者、学生らが参加しました。
稲盛経営哲学研究センターは、稲盛経営哲学の「一般化」「普遍化」により、新しい文明の有り方を示すことを使命としています。そのために稲盛経営哲学と、それを基盤とする経済システム、経営管理、リーダーシップ、経営組織、働き方・考え方・生き方を、多様な学術的観点から正当な学術的手法によって研究する環境を整備しようとしています。
稲盛経営哲学は、既に日本や中国の経営者の間では広く知られています。今後の課題は、欧米における認知を高め、国際的な学術的研究を推進していくことです。
本シンポジウムは、稲盛経営哲学の学術的研究およびその世界展開についての共通認識を得ることを目標に、「稲盛経営哲学研究の国際化の展望」をテーマに開催しました。まず、稲盛和夫・京セラ株式会社名誉会長(本センター名誉研究センター長)の挨拶があり、稲盛経営哲学の学術的研究のために設立された本センターの意義と期待が述べられました。
続いて野中郁次郎・一橋大学名誉教授(本センター研究顧問)による基調講演が行われました。講演で野中名誉教授は、経営者(リーダー)に必要な6つの要件(①「善い」目的を持つこと、②ありままの直感を大切にすること、③知を生み出す場をタイムリーにつくれること、④物事の本質を掴み語ることができること、⑤実現する政治力、⑥実践知を組織する力)について説明をされました。また、フロネシスの重要性、暗黙知の潜在性について語られ、最後に「人間の可能性は無限である。人間の潜在的な力を信じることが稲盛経営哲学のコアである」と述べられました。
基調講演の後、中島隆博・東京大学東洋文化研究所教授から「哲学」、崔裕眞・立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科准教授から「経営組織」、金井文宏・立命館大学客員教授と谷口悦子・立命館大学客員助教から「働き方・考え方・生き方」、山浦一保・立命館大学スポーツ健康科学部准教授から「心理学」の4つの研究プロジェクトの紹介が行われ、それぞれの学問分野における稲盛経営哲学研究の針路が示されました。
休憩を挟み午後からは、「稲盛経営哲学の国際化展望」について、Prof. John F. Wilson on Business Philosophy(英国ニューカッスル大学)、Prof. Sea-Jin Chang on Asian Business Strategy (シンガポール国立大学)、Prof. Shannon French on Inamori Leadership(米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学)の講演が行われ、稲盛経営の世界展開の意義とビジョンが示されました。
最後に、青山敦・研究センター長から挨拶が行われ、「稲盛経営哲学で示されている『利他の心』が現代社会の課題の解決につながる。この利他の心による経営や社会運営ができる社会を構築するために研究を進めたい」と学術探求への決意とともに、講演者ならびに参加者への謝辞が述べられ、盛大な拍手のなかシンポジウムは終了しました。