日本の重機メーカーは高い技術を誇り、世界中で利用されています。一方で、日本の建設業や農業では、重機を扱う人手不足が深刻な課題となっています。そんな業界の問題を学びながら、重機の魅力を発信しているのが、学生団体「立命館重機部」です。代表の椙山百合花さん(経営学部3回生)に、設立の背景や今後の目標について、お話を聞きました。

――団体を立ち上げた背景やきっかけを教えてください。

 私は高校生の時から重機が好きで、大学生になったら重機サークルに入ろうと考えていました。しかし、実際には日本のどの大学にも重機を操縦するようなサークルは見当たりませんでした。そこで、私が最初の重機サークルを作ろうと思い、共感してくれた学生2人とともに「立命館重機部」として活動を始めました。

――活動の目的と、具体的な活動内容を教えてください。

 立命館重機部の活動目的は、多くの人に重機の面白さを伝え、重機が活躍する現場である農業や建設業への関心を高めることです。活動は「研究」・「操縦」・「発信」の三つの柱を軸に展開しています。
 具体的には、メーカーの工場や建設現場への見学を通じて重機について学び、免許を取得した部員は操縦の練習やインターンシップを通じて技術を向上させています。また、SNSやイベント出展を通じて活動内容や重機に関する情報を社会に発信し、重機の魅力を多くの人に伝えています。特にイベントでは、参加者から「こんなに面白いとは思わなかった」とお声をいただくことが多く、重機の魅⼒を広める役割を果たしていることを実感しています。

ウェルカムデーで地域住民と交流する様子

――活動をする上で、支えになったことがあれば教えてください。

 私たちの活動は、立命館大学の「校友会未来人財育成奨励金」によって大きく支えられています。大学内での活動が難しい性質上、工場見学や建設現場へ訪問する機会が多くなります。奨励金のおかげで、遠方への移動や多岐にわたる活動を実現できています。大学の制度がなければ、現在のような幅広い活動は不可能だったと思います。
 また、教授陣にもご協力いただき、学生だけでは力が及ばない部分に関し、サポートいただいています。例えば、総合科学技術研究機構の建山和由教授や経営学部の善本哲夫教授のご紹介で、愛媛県の舗装会社での2週間のインターンシップを経験し、珍しい重機の操作法や構造について実践的に学習させていただきました。
 同じく、教授のご紹介で日本建設機械施工協会(JCMA)と連携し、学生に限らず一般人向けの重機部を設立する活動に携わる機会も得ることができました。

インターンシップ時の様子

――今後、実現したいことを教えてください。

 他大学にも重機サークルを設立し、大学間での重機操縦大会を開催することです。現在、立命館重機のような重機サークルを作ろうという動きが他大学でも起こっています。同様のサークルが設立する流れが広がり、全国の学⽣が重機を通じて交流し、技術を競い合い、重機の魅⼒や操縦技術を多くの学⽣に広めることができたらと思っています。さらに、大学間の連携や交流を通じて、重機に対する社会的な関心を一層高め、農業や建設業界に対する理解を深めていきたいと考えています。

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