障害のある特別支援学校の生徒でも楽しめるユニバーサルスポーツ“チャレンジスポーツ”の企画・運営を行い、特別支援学校とのスポーツ交流会を通して学校や地域などと協働する団体「特別支援学校スポーツ交流会」。約30年前から続く京都府立特別支援学校のスポーツ交流会が、コロナ禍を機に1カ所から各地域に分散開催されることになり、新たに参加できるようになった中等部の生徒や中度・重度の障害のある生徒も巻き込んだ地域連携型交流事業に進化しました。特別支援学校スポーツ交流会は、そのボランティアとして参画するため、2022年度に立命館大学で立ち上がったプロジェクト団体です。「校友会未来人財育成基金」の助成を受けながら活動から3年目を迎える「特別支援学校スポーツ交流会」の代表・⼤橋葉菜⾹さん(産業社会学部4回生)に、活動にかける思いや目標などを聞きました。

ペットボトルボウリングの様子
ペットボトルボウリングの様子

――団体の活動テーマと具体的な活動内容を教えてください。

 「特別支援学校のスポーツ交流事業を核とした地域連携並びに多主体協働共生」というテーマで、「障害のある生徒が生涯にわたって地域でスポーツに親しむ基盤づくり」を目的に活動しています。障害のある人のスポーツ実施率の低さなどの社会問題を踏まえ、交流会をプラットフォームとして学校、地域団体、行政などと多主体協働を図ることにより、課題解決に寄与することを目指しています。
 活動内容は、スポーツ交流会における「チャレンジスポーツ」という部門の企画・運営です。「チャレンジスポーツ」は、障害の程度にかかわらず楽しめるように考案したユニバーサルスポーツで、全4種目を京都府下の各大学が考案しています。立命館大学では、プロジェクト初年度に「ペットボトルボウリング」を考案しました。また、舞鶴支援学校におけるチャレンジスポーツ全4種目の運営も担っています。会場のある舞鶴市は京都市から距離があり、大学もない地域。生徒のみなさんは、大学生など年齢の近い大人と交流する機会が限られており、校友会未来人財育成基金を活用して、私たちが舞鶴に行って交流することに意味があると思っています。

交流会の開会式

――大橋さんが団体で活動するようになったきっかけは何でしょうか。

 2回生の3月に、所属予定だったゼミの指導教員に声を掛けてもらったことです。以前から、スポーツによる地域活性化に興味があったため、参加を決めました。プロジェクト自体は今年度で3年目となり、私は2年目となる昨年度から中心メンバーとして活動しています。

――活動にあたり、大事にしていることを教えてください。

 交流会の企画・運営にとどまらず、その活動を評価・分析し、得られた知見を学内外で発信・共有することです。団体では毎年、交流会後にプロジェクトメンバーを対象にアンケート調査を実施、分析しています。昨年度は、産業社会学部スポーツ社会専攻の専攻発表会や学部のウェブサイト、「日本障がい者体育・スポーツ研究発表会」など、学内外で活動成果を報告しました。今年度も3回生のメンバーが初めて分析に挑み、専攻発表会で報告しました。分析結果は、次年度以降のより良い企画・運営につなげています。
 また、学生の主体性も大切にしています。今年度は、大講義やセミナー(専攻企画)でプレゼンテーションしてメンバーを集めるところから、助成金の獲得、保険や貸し切りバスの手配に至るまで運営にかかるさまざまな手続き、新たな試みを手分けしてこなしました。仲間と試行錯誤しながらプロジェクトを推進した経験は、私たちにとってもかけがえのない学びと成長の機会になっています。多様な経験と成長の場を、今後も大切にしていきたいと思っています。

   
大講義でのプレゼンテーションの様子
   
「日本障がい者体育・スポーツ研究発表会」での発表

――今後、実現したいことは何ですか。

 スポーツ交流会のさらなる発展です。コロナ禍を経てスポーツ交流会は参加生徒を拡大しましたが、それでもなお参加できていない生徒が数多くいます。今年度は現状把握のため、病弱・虚弱の生徒を支援する学校を訪問し、ヒアリング調査を行いました。今後はこの調査結果を生かし、課題解決につながるよう活動を発展させ、スポーツを通じてより多くの生徒のみなさんを笑顔にしていきたいと思っています。

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