【BKC30周年記念】宇宙飛行士・野口聡一氏による特別講演会を開催
2024年11月4日(月)、立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)にて、本学の学長特別補佐、宇宙地球探査研究センター(ESEC)研究顧問でもある、宇宙飛行士・野口聡一氏をお迎えした特別講演会を開催しました。BKC開設30周年記念事業と草津市市制施行70周年を祝う共催イベントであるこの記念講演には、現地約800人、オンラインで約150人が参加しました。
講演会の冒頭、主催者である学校法人立命館の森島朋三理事長および共催者である草津市の橋川渉市長からそれぞれ挨拶がありました。森島理事長は「野口氏は日本の宇宙開発を牽引する存在であるとともに、宇宙飛行士を目指されて以来、宇宙体験や船外活動が人間の内面に与える影響について当事者として研究を続けておられます。今回の講演では、多角的な視点から興味深いお話を伺えることでしょう」と述べ、講演への期待を示しました。
次に、橋川市長が「BKCの開設から30年、立命館の学生や関係者が地域に活気をもたらし、草津市にとっても産学公民連携が大きく進展しました。今後も研究や教育のさらなる高みを目指し、地域社会や産業界と共に発展していきたい」と述べられ、草津市と立命館大学が今後も相互に支え合い、地域の発展に寄与し続ける決意を示されました。
続いて登壇した野口氏は、冒頭でH3ロケットの打ち上げ成功に触れ、「日本の宇宙開発が着実に前進している」とその意義を語りました。また、宇宙飛行士を目指した理由や経緯、さらに3度にわたる宇宙飛行での経験についてのお話がありました。野口氏は、宇宙でのミッションから得た「視野の広がり」と「未知への挑戦心」について深い洞察を交えて説明し、宇宙開発が地球環境や人類の未来に与える影響と意義について興味深い話を展開されました。また、ESECにおける宇宙探査や人類居住のための最新の研究、心理学を含め学際的な研究の重要性についても触れ、宇宙開発の持つ面白さや可能性を参加者に伝えました。
さらに野口氏は、宇宙飛行士としての経験を通じ、「多様性」の重要性についても言及。宇宙ミッションにおいて多様なバックグラウンドを持つメンバーが協力し、チームとして作業することが不可欠であると述べました。多様性のあるチームが強力な力を発揮するためには、積極的なコミュニケーションが必要であるとし、不確実性の高まる現代では、多様な視点がもたらす柔軟な対応力がますます重要になると語りました。
講演の中で、野口氏は「前例がないことは自分の夢を諦める理由にはならない。やりたいことをやり続けることで自然に道が開ける」と力強いメッセージを参加者に送り、会場は大きな拍手に包まれました。夢を追い、挑戦し続けることで未来が切り開かれるというメッセージは、特に学生や若い研究者にとって大きな励ましとなりました。
講演後のアンケートでは、「宇宙の話から⼼理学の話に繋がると思っていなかったので大変興味深かったです」、「チームの多様性の話がとても深く刺さりました。僕自身チームで活動するときにチームの多様性を尊重しつつまとまりを持ったチームを作っていきたいと思います」、「前例のないことに挑戦する。⼦どもに頑張ってもらいたいと思います」などの意見や感想が寄せられました。