ダイバーシティ研究環境の整備と女性研究者の未来を考えるフォーラムに薬学部・小池教授が参加
5月29日、大阪国際会議場で開催された「日経ウーマノミクスフォーラム ダイバーシティ研究環境整備と女性研究者の未来 ~国内女性研究者初 ノーベル賞受賞者育成を目指して~」(主催:日経ウーマノミクス・プロジェクト実行委員会)に、パネリストとして薬学部の小池千恵子教授が参加しました。
このフォーラムは、社会で女性活躍推進が進む中、女性比率が低い研究現場の実情に迫り、女性研究者のキャリアアップやそのための環境整備などについて議論を深めることで、今後の多様なワークスタイルを探ることを目的に開催されました。
会場には、大学関係者や一般の方、高校生など約350名が集まりました。
第一部は、鈴木みゆき氏(シスコシステムズ代表執行役員社長)から「ワークスタイルの多様化が人材を育てる」というテーマでキーノートスピーチが行われました。
シスコシステムズは、テレビやWebを用いた会議システムを販売し、世界に7万人の従業員を擁するグローバル企業です。鈴木氏は、共働きで子育てをする男性社員による在宅ワークの事例や、女性研究者の働き方の事例紹介を交えながら「グローバル化に対応していくためには会社にとって人材育成が非常に重要である。シスコシステムズではインクルージョン、ダイバーシティ、働き方改革を重点課題として進めている」と自社の取り組みを紹介されました。
また、自身のキャリアを築いていくなかで「チャレンジに対してオープンマインドであること、ユーモアを忘れない、失敗を恐れない」など大切にしてきたことに触れながら、研究者や未来を考える大学生・高校生に呼びかけました。
第二部は、関西地域の国公立大学、私立大学とオムロン株式会社、ダイキン工業株式会社、シメックス株式会社から1名ずつ研究者が登壇し、パネルディスカッションが行われました。それぞれの研究内容やキャリアについて紹介がされたあと、コーディネーターの藤沢久美氏(シンクタンク・ソフィアバンク代表)から「なぜ女性研究者が少ないのか」や「研究とライフイベントの両立はどうやったら出来るのか」などについて質問が投げかけられました。パネリストからは「身近なところにロールモデルが少ないことから、研究を続けるイメージを持ちにくいのではないか」という意見や「理系に女性は向いていないと考えられているのではないか」という意見がでました。小池教授からは、「薬学部は理系の中でも女子学生が多い。薬剤師職はライフイベントの影響が少ないので、女子学生が志望する傾向があるのではないか。必ずしも女性が理系に向いていないということではないと感じる。また、本学でもすでにライフイベントを支える制度が整いつつある。これから理系を目指す女子学生にとってはより良い環境で研究できる可能性が高い。しかし、こういった制度に関する情報がこれから研究の道を志そうとしている学生には十分に周知されていない現状もある。情報をしっかり伝えていくことが重要だと思う」と述べました。
また、最後に「これから研究者になることを目指す若者へのメッセージ」を一言ずつ述べる場面では、「自分がしたいことを仕事に出来ることはとても幸せなこと。しかし、若い頃は自分が何をしたいのかがわからないことが多いと思う。研究はイノベーションを追求することで社会の発展に貢献できるという点が魅力。そのようなことをぜひ若い人たちに伝えていきたい」と述べました。
最後に、参加大学や企業が今後ますます連携を強め、女性研究者の活躍を推進していくことが確認され、フォーラムは閉会しました。
また、終了後の交流会では、生命科学研究科の及川茉美さんが本学の代表として「私は医療関係の仕事に携わりたいと思い、研究を続けてきた。多くの研究者の方の話を伺い、今後研究者としてその道にまい進していきたいと改めて感じた」と参加した感想を発表しました。