2017.02.07

バランス能力を育成する

立春を過ぎたとはいえ、今朝のBKCは、雪が降っていて、まだまだ寒い日が続いております。

これまで、本ブログでも紹介してきましたが、今年度より私は、宮崎県のタレント発掘・育成事業への協力を行なっております。先週末に、その今年度の担当の最終回となるトレーニングを行なってきました。今回のねらいは、「バランス能力の応用」を中心とした内容としました。そこで、全身の動的バランスが必要とされる「スラックライン」をトレーニングに導入しました。

スラックライン(Slackline)とは、5センチ幅程度のポリエステル製のベルトを2本の支柱間に張って、その上を歩行したり、ジャンプしたりするものです。数年前より我が国でも公園等でやっているのを見かけることも増えてきました。通常屋外の太めの木と木の間に設置されることが多いのですが、今回は体育館のなかでも実施できるように、バレーボールの支柱を利用して設置しました。設置においては、なるべく支柱の根元付近にラインを結ぶようにし、支柱が曲がらないように配慮した上で、その分ラインの高さを出すために、途中で60センチ程度の踏み台を2台設置しました。トレーニングに導入したいと思われるかたはぜひ参考にされてください。

さて、選手らは、見慣れないスラックラインに興味津々で、トレーニングが始まると、何度も何度も挑戦し、なんとか渡りきろうと一生懸命に。手を広げてみたり、横向きでまるでカニのような動きで渡ろうとしたり、勢いをつけて渡りきろうとしたり、さまざまな方略で自らのバランスをコントロールしようとしていました。
途中でコツとして、腕の使い方や、視点の位置、足の向きなどをアドバイスすると、それを意識しながら、自らの身体の状態を鋭敏に知覚し、バランスを保ちつつ歩行をしようとする姿勢が多く伺えました。

つぎに、ライン上での歩行の途中で、補助者よりボールがパスされ、それをキャッチして、再び補助者にパスで返すというタスクを加えることで、視線を固定して徐々にバランス状態を保持することができるようになってきていた選手のバランスを再び崩すということもやってみました。すると、ボールパスが入った途端にバランスを崩し、ラインから落ちる選手がいる一方で、ボールへと意識が向くことで、重心のバランスの操作をあまり意識せずに行うことになったほうが、安定したバランスを獲得できる選手もでてきました。これは、バランスそのものを知覚しようとするよりも、ボールを捕るという動作課題をダブルタスクで実施したほうが上手くバランスがとれるという、コオーディネーションがねらいとしている人間の運動の特性である冗長性の制御を考える上でとても面白い現象でした。

ただ綱渡りをしているだけなのですが、選手の体と意識のなかではさまざまな情報の再構築が生じている様子をみることができて、とても面白いトレーニングになりました。次年度も引き続いて担当させていただけるようなので、さらにさまざまなトレーニングを通じて、選手の基礎的運動スキルの向上を企図したいと思います。



※先日、ゼミ学生らが企画した研修旅行に帯同してきました。今回のテーマは、「スノースポーツを体験する!」ということで、福井県勝山市にある「スキージャム勝山」でスキーやスノーボードに取り組んできました。ゼミ生の多くが南国出身者で、半分以上がほぼ初めての体験でした。まずは、経験者らをリーダーにした各グループで、道具の名称や、ビンディングのセット、エッジの使い方のレクチャーが行われたあと、いよいよ実習ということで、平地での板を装着した状態での歩行・スケーティングから、緩斜面でのヒールエッジを用いたサイドスリップの練習から始めるなど、さすがスポ健の学生!午前中からリフトに乗れるほど習熟しました。午後には上級者コースに果敢にチャレンジするなど、夕方リフトが止まるまでしっかりと滑り込み「自らのバランス」と向き合う時間となりました。
トゥエッジのフロントサイドターンや、カービングターン等、各自課題が明確になったので、また次回にチャレンジしようということで、無事に下山となりました。




【ken】