[ 2013年03月 ] の記事一覧

2013.03.31

最終は新学期の前日

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2012年度の学年度も本日がいよいよ最終日となりました。先週の金曜日(29日)の会議終了後学内を少し歩きまわりました。今週の月曜日が新年度の4月初日で、入学式を控えています。それをひっそりと静かに待ち構えている学内の様子を、あちこちで感じました。新年度に対する教員や事務局の慌ただしさは表面には見えず、キャンパスの落ち着きに隠れているようでした。

 ここ23ヶ月続いていたクウィンススタジアムのトラック・8コースのタータン敷き変え工

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事が終了し、白色のコースラインと赤茶色のサーフェスそれに緑のフィールドが美しいコントラストを示していました。ここの桜はまだつぼみで、一気に今週開花するかもしれません。

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 キャンパスのセントラル・サーカス辺りに来ると、入学式当日の学生主催行事のための軽量鉄骨組み立て式の舞台が、早々と準備されていました。ちょうど噴水の西側、後方の建物はメディアセンター、その前にある桜木は、7分咲きというところでした。

その舞台のプリズム側にあるのが、もう一枚の写真です。「嵐の中の母子像」(本郷新氏作)は、人目に触れる、数少ない芸術作品、それに棚から拡がるしざれ桜の満開が近いと思われました。さらに奥へ進みBKCジムに入れば、トレーニング・ルームのトレッド・ミルやステッピング・マシンが新しいものとそっくり入れ替わっていました。

 明日からは初日が弾ける新学期です。急に賑やかさを取り戻すでしょう。それを迎えるかのような学内の待ち様子を、ほんの少しばかり伝えることができれば幸いです。

 

【善】

 

 

2013.03.30

最後の担当です

3月も明日で終わりです。明後日からは新年度が始まります。スポーツ健康科学部が新 設されて4年目、いよいよ1回生〜4回生まですべての学生が揃うことになります。先日、1回生の基礎演習で担任をしていた学生(今はゼミ生)と打ち合わせ をしていたのですが、「来週から4回生だねえ」という話になり時の流れの速さを改めて感じました。

この3年間を振り返ると、学生は着実に 成長しています。また、「グローバルな視野を持った社会に貢献できるリーダーを育成する」という学部教学の目標をふまえて、他大学の体育・スポーツ健康科 学部の学生とは少し異なる、立命館スポ健ならではの学生が育ちつつあるように感じています。このブログを読んでいらっしゃる方々の中には、これからスポー ツ健康科学部に入学予定あるいは将来進学を視野に入れている高校生、高校生や在学生の保護者の方々も相当数含まれると思います。スポーツ健康科学部での学 びへの不安、就職実績がまだない(一期生が卒業していないため)スポーツ健康科学部への不安、親元を離れ入学した子どもがしっかりと勉強しているのか、 きっとこのような不安を感じていらっしゃるでしょう。けれども「大丈夫」です。現に学生は着実に成長しています。

さて、これまで土曜日のブログを担当してきましたが、今回が最終回となります。1年間ありがとうございました。スポ健ブログ「あいコアの星」は4月以降も続きますので、これからもお楽しみ下さい!

GOTO 

2013.03.29

われ喜びのはた迷惑

最近、通勤の車中(特にバス)で、"われ喜びのはた迷惑"、こんな言葉を思い出すような出来事?というよりも気になる場面が多いように思えてなりません。若者のTPOをわきまえず、まるでこの世界すべてが自分たちのためにあるかのような傍若無人な態度には、つくづく教育の無力さを感じます。ウッソー、超スッゲーなど、およそ大学生としての知性を反映した会話とはなっていない、感覚語のみから成り立っているような軽い会話(意味のない騒音!)で、他の乗客の迷惑を顧みない者がなんと多いことか!(必ずしも学生だけではないのですが・・・・)

また、いつの頃からこのようになったのか、電車などの車内の席の割り込みや降車の際に、「すみません」でもなく、無言で分け入ったり押しのけたり。そのくせ友人や知り合いとは大声でおしゃべりをするといった光景によく出くわします。体育会に関係しているからばかりではありませんが、Ritsumeikanの文字(あるいはロゴ)の入った運動着で電車やバスに乗ってくる学生には、特に特に注意してもらいたいと思っています。""という言葉がありますが、相手の立場にたって考え、行動する、すなわち思いやりといってもよいかと思いますが、忘れないでもらいたいものです。

少々小言っぽくなって最後のブログには相応しくない内容でしたが、いつか言ってみたいことでもありました。一年間お付き合いいただき本当にありがとうございました。合縁奇縁。またお会いできることを楽しみにしています。(老ブロガー・ハル)

2013.03.28

世界の専門家が提案している運動不足(活動不足)に対する施策について

 Hamaです。
 
 ブログの最後は、先週のLancet誌に専門家が提案している身体活動増加に関するゴール(2016年まで)について紹介します。

  1. 大人における身体不活動の割合を現状の31%から28%に低下させる。

  2. 思春期の活発な身体活動(1日1時間以上)を行っている割合を現状21%から24%に増加させる。

  3. 身体不活動に関わる生活習慣病などを10%低下させる。

  4. いわゆる発展途上国からの「身体活動」に関する(査読付き)論文を全論文の10%に増加させる。


【参考文献】

The pandemic of physical inactivity: global action for public health. Kohl HW 3rd, Craig CL, Lambert EV, Inoue S, Alkandari JR, Leetongin G, Kahlmeier S; Lancet Physical Activity Series Working Group. Lancet. 2012 Jul 21;380(9838):294-305.


 このように、身体活動を増加させて、疾病予防や健康増進を実現しようとする気運が世界的に高まっています。

日本もこの流れに乗って健康で生き生きとした人達が増えるようにしたいものです。


 これまで何度か、ブログ上でクイズを出しましたが、その答えをお伝えしていませんでした。申し訳ございません。以下にクイズの答えを列挙します。


  1. ji.jpg
     
    2012年8月2日
    この寺院はどこの何という建物でしょうか?

    この写真の答えは・・・パリ、ノートルダム寺院











  2. mon.jpgのサムネール画像

    2012年8月9日
    遠くに見えるこの門はどこのなんと言う門でしょう?

    この写真の答えは・・・パリ、凱旋門













  3. wa.jpg

    2012年8月16日
    どこの国のワッフルでしょう?

    この写真の答えは・・・ベルギー













  4. efu.jpg

    2012年8月23日

    どこの何と言う塔でしょう?

    この写真の答えは・・・パリ、エッフェル塔













 最後に、1年間定期愛読いただきました方々には、感謝致します。
 今回で終わるのが残念です。

 来週からは、【真】先生にバトンタッチです。


【Hama】





2013.03.27

今年度最後ですね。

こんにちは。ma34です。

今年度最後のブログとなりました。
一年間、どうもありがとうございました★

振り返ってみると、半年間の育児休業明けでドタバタするなか、
初めての基礎演習、研究入門などで
沢山の人と出会い、人見知りの性格ながらも頑張ってきた一年だったと思います。

この4月からは、また新たに専門演習を担当することとなり、
初の3回生のゼミ生とともに、どんな一年間を作っていけるのか
楽しみにしています。

先日、母校である京都大学大学院教育学研究科主催の「E.FORUM教員研修」の「実践交流会」というところに参加してきたのですが、
現場の先生方と実践について語りあう中で、
実践に関わるメンバー一人ひとり(教員、子どもたち、地域の方、職員さんなどなど)が、
自分の役割を持ち、「できる」「わかる」「居る意味がある」ということを感じられることが
一番大切なのではないか、という話が出て来ました。

(英語科の先生とお話していたときには、ALT:Assistant Language Teacherの先生が
 「居場所」を見つけられないで苦しんでいる、、というお話も出て来ました。
 子どもだけでなく、教師自身も、そうした居場所や存在意義を自分自身で感じられることは
 大事ですよね。)

私も本当にそう思います。
自分がそこに居る意味がある、存在意義があるということ、
そこに居場所があるということが、どれほど大切なことか、改めて感じました。

基礎演習、研究入門、そして専門ゼミは、それぞれの学年の中でのホームルームのようなもの。
それぞれの場がみんなの「居心地のよい、かつ刺激的な」居場所になるよう、
みんなとともに創りあげていけたらよいなあと思っています。

もちろん、そこが私の「居場所」にもなるように・・・。

最後になりましたが、
今年度で事務室の前田さん、福田さん、北野さんが退職されます。
私にとって、一つの心地良い「居場所」だと感じる事務室で、その「居心地良さ」を作ってくださったお三方に、沢山の感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
ありがとうございました★★
これからの益々のご活躍をお祈りしています。

そして、今年度最後のブログ、最後まで読んでくださりありがとうございます。
襷を受け取ってくれる次の方は・・・とご紹介したいところですが、
今回、私は「残留」です!
来年度も、どうぞよろしくお願いいたします。

ma34.

2013.03.26

年度の最後の日

さて、みなさん、火曜日担当の私も、
そろそろ2012年度ブロガーとして、最後となりました。
けっこう色々と言いたい放題?をしましたが、
今回は、日々雑感、という感じだったでしょうか。

そういえば、先週の末には、コミュニティラジオに出演してみました。
ボランティア・パーソナリティが、大学院ゼミのOGだったこともあって、
呼ばれるがまま・・・
こういう経験は、なかなか慣れないですね。

そうそう、2012年度の活動を振り返っておこうっと。

2012年度は、講義で忙殺された、という気がしています。
それと、外部との関わり、ですね。
外部の方と、学外でお会いする時は、スーツを着ていくのですが、
今年はスーツを着ている回数が多かった、と思っています。

特に2月の後半から3月の半ばにかけては、
ほとんどスーツで過ごしていたような・・・
大学教員は、スーツを着なくても良い、と思っていたのですが・・・(笑



さて、1年を通じて一番自分で成長したなぁ、と思うのは、
物事を決めるのが早くなった事です。
悩んでも結果がどうなるかはわからず、
しかも現実的にやり直しは効かないので、

・最も良いであろうことを瞬時に決める。
・決めた後、後悔しない。

ということは守れるようになってきた、と思います。
ついでに、スケジュールも、空いているか空いていないか、
の選択肢で全てが決まっていくと言う・・・

年々忙しくなっていくのは、
授業期間は忙しいから、なるべく予定を入れていはいけない、
という意識と、
授業期間を過ぎたら時間があるはずだから、何を入れても大丈夫、
という意識の二つが働いているからかなぁ、
と自己分析。

つまり、忙しいと思いこんでいる時は無意識でブロックし、
忙しくないと思いこんでいる時は何でもいらっしゃい、
という状態になっているのかなぁ。

で、実際は、忙しいはずの授業期間に余裕ができ、
授業期間外では余裕がないと言う(笑

そうそう、2012年度の振り返りだった・・・

今年度は、色々な方とつながりを持つ事ができました。
年間で100枚ぐらいは一般企業や非営利組織など、
多くの方に名刺をお渡ししました。
このつながりが、やがて色々な事につながっていけばよいなぁ、
とも思ったりします。

先週は、なでしこの伊賀くノ一を訪ねて、インターンの話をしたりしたのですが、
その時に名刺を頂いた一人は、元日本代表で今サテライトの監督をされている方だったり。

よし!
2013年度も楽しく、色んな人とつながって、
新しいプロジェクトを動かそうっと。

ではでは。

PS:「まとめ」っぽい文章を書いていましたが、ブログ、今回で終了となりました。
まぁ、とりあえずの年度まとめ、でしょうか。
2012年度後半は・・・論文書けなかったな・・・

2013.03.25

グローバルトピックス 3つ

今週は話題満載の週ですが、グローバルトピックスについて3つ紹介します。

1.特別チャレンジャー賞を佐藤幸治さん(立命館大学スポーツ健康科学部)が受賞しました!

 この賞はヤマハスポーツ振興財団のチャレンジ研究助成に昨年度採択された研究から、世界に羽ばたくに相応しい研究成果に対して贈られます。すでに佐藤さんの研究成果は、国際的に非常にレベルの高い学会誌に掲載され、国内外から注目されています。

http://www.ymfs.jp/project/assist/scmeeting/06/

 

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(受賞の時コメント、同僚の【香】先生より)

大学時代まで、自身が持病を患いながらもサッカー選手として活動しました。その後、大学院で研究の道に進み、糖尿病、生活習慣病と運動の関連メカニズムを追求するため、動物実験をスタートしました。動物レベルからヒトへの応用にチャレンジするため、ヤマハ財団の助成に応募しました。賞を頂いた今後は、現場に還元できる研究として、世界へ発信できるように努力して行きたいと思っています。

【香】先生より、ゆっくりした口調で、自身の思いを語ってくださいました。立命館の同僚として改めて尊敬し、本当に嬉しかったです。研究は哲学とよく言いますが、佐藤さんの人生と合わさって、とても感動した受賞直後の一言でした。

 



2.Tabata protocol これから世界的なプロモーションがかかります。

ご存じのように、学部長の【泉】先生の研究成果が実践場面に応用され、Tabata protocolとして世界中に広まっています。このTabata protocolが、Universal studioを通じて、世界中のフィットネス業界へ浸透していきそうです。そのプロモーションビデオがありますので是非、ご覧ください。

http://www.youtube.com/user/TabataOfficial/videos

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. EAST STROUDSBURG UNIVERSITY OF PENNSYLVANIAESU)と立命館大学スポーツ健康科学部が、セカンドディグリープログラムに関する協定書に調印しました。詳しい内容は改めてお知らせすることになりますが、スポーツ健康科学部の学生が、2回生後期からESUに編入学して、スポーツ健康科学部の学士号とESUの学士号の2つを取得できるようになります。この取得により、全米アスレティックトレーナー協会公認のアスレティックトレーナー(ATC)の受験資格を得ることができます。もちろん、ESU編入学には、TOEFL550点以上、ESUの学費が必要となりますが、今までにない新しいシステムでの学位取得プログラムです。スポーツ健康科学部のグローバル人材育成の大きな柱となるプログラムです。

 

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>

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ESUは、ペンシルバニア州にあり、最寄りの飛行場はニューヨークです。BKCから乗り継ぎも入れて、ニューヨークの空港まで24時間。現地の深夜12時に飛行機でつき、そこから車で1時間半かけてホテルにつき、翌日の朝8時から打ち合わせ調印を済ませて、ニューヨークにとんぼ返り。まさに弾丸ツアーさながらの出張ですが、学部開設前の2009年夏頃から暖めてきて、実際にこの弾丸ツアーを4回も経験してくれた【聡】先生の貢献がなければ実現しなかったでしょう。同時に、先方のKeith先生の学内での粘り強い調整がなければ合意にまでこぎ着けなかったでしょう。足かけ5年になりましたが、二人をはじめとして粘り強く支援していただいた関係者に心から感謝申し上げます。

次は、いよいよこのプログラムを実行して、Global Athletic Trainer(GAT)を養成する段階になりました。チャレンジする学生(入学生)を待っています!

 【忠】









2013.03.24

中学生の運動生活は、いま

文部科学省は22日、2012年度の「全国体力調査」の結果を発表しました。中学2年生と小学5年生とが対象で、2年ぶり4回目、8種目の体力テストと運動習慣に関するアンケート調査を行っています。体力テストの合計点では、中2の男女・小5の男女とも横ばい状態でした。アンケート(複数回答可)では、体育授業を除いて運動やスポーツを「しない」または「ときたまする」と答えた子が、男子では小5(11%)・中29%)、女子では小5(22%)・中2(29%)でした。運動しない理由として、中2男子は「疲れる」(40%)、「文化部に所属」(38%)、中2女子では「文化部に所属」(70%)が突出していました。小5では男女ともに、「自信がない」(それぞれ32%、40%)というのが3番目位に大きな「しない理由」となっています。

今回調査の結果が、本調査や他のところで行われているものと比べて新奇な情報を提供しているわけではありません。けれども都道府県別の点数、順位一覧も公表されて、学校体育やスポーツ関係者の一部の人々にとっては、その結果の見かた・取り扱い方に関して思いは悲喜交々でしょう。でもどのような段階の関係者・識者も「身体を動かす楽しさを感じさせ、その大切さを分からせること」が重要との認識を共有されるだろう、と私は思います。

小学校の先生や父母、地域の人々による、多様な実践報告に接する機会は多くありますが、中学校の状況については学校差、地域差、競技種目差、等々が著しいと思われます。学校の状況(指導する先生や外部指導者の存在、顧問体制の整備、生徒の自治力量の継承、施設・設備条件、等々)によって、特別活動のクラブの部員数、活動の質(競技志向の度合い)が大きく異なります。22日付けの朝日新聞には、滋賀県長浜市の西中学の取り組みを紹介していました。同校(記事内容ではバレー部)は、体を動かす楽しさや大切さを分かってもらうために、競技力向上を目指す活動のみでない、趣味・チャレンジ感覚の子(平日のみの一緒の練習、公式戦には出ない)も受け入れるコースをつくっています。文化部でも、呼吸法の訓練や身体づくりトレーニング、あるいはバドミントン等のスポーツ・レクを取り入れているそうです。

 

高度・専門化した文化の側から子ども達をみれば、素質を早期に発見、好きになるように仕向け、早期に心身諸機能に刺激を加え、「強く、有名」にする「可能性を拡大」することです。このトラックに入る子どもの多くが何処かで、「あこがれのロール・モデル」に出合っていますし、そのことをインタビューで述べているのをしばしば耳にします。しかし一方では、ほとんどの親は、身体は丈夫で、心やさしく、他人と仲良く、責任感強く、「生きいきと楽しく」育って欲しいと願っています。子ども達も「好きでおもしろい」からそこに行くのでしょう。

運動をしない理由の調査結果「疲れる」(40%)の数値の背後にあるものとして、目的と練習・活動内容に1つの選択肢しかなく一方的適応を迫られる、それに逆らう自信も無いし、そのことで悩んでいる知りあいの話から「部活のイメージ」を否定的に形成してしまっている、等々の意識の混在した「何か運動したいけれどもしない」中学生像を私は想像します。

 

だいぶ以前ですが、中学に行ったら何かやりたい(生徒側)思いと、教科外の特別活動のもっている意義・意味を経験させたい(先生や父母側)願いとを交錯させる試み・工夫が、「クラブ全員入部制」方式として全国で叫ばれました。学校が十分な施設・設備を備えないし、顧問や指導者の準備体制を十分とれる学校はほとんどない状況でした。したがって、これらはやがて下火になっていきました。考えが生きているとしても、それは文化部の異常な膨れ上がりという結果になりました。スポーツが費用(学校の施設・設備、個人的負担)と主体的な努力(教える側、学び実践する側)を必要とする営みですから、これは当然のことであったと思われます。けれども新たな段階で中学生(あるいは中・高一貫教育校)にこのことが価値をもっていることを、先の長浜市西中学校の取り組みは教えていると思われます。

中学校で複数のスポーツを、再度手ほどきを受けて体験する子どもの数は、そう多くありません。日常の体育授業以外で平日、週末あるいは春季や夏季での機会をいかに増やすかの研究・工夫が求められていると思います。何かのクラブに入りたいという欲求で、施設の容量を超過した部員数を抱える文化部のところでも、体験・経験の中身を見直すいい機会だと考えられます。

あらゆる人間的活動の基底的部分は身体活動である、と私はよく言ってきました。音楽活動(声楽や器楽、指揮者さえも)をする人が身体を鍛えることは半ば常識です。演劇する人が発声や演技のために身体を鍛えることも、目には見えない芸術家の日常活動です。専門家による平易な紹介が一番素直に受け入れられるのは、何といっても中学生段階だと私は思います。運動やスポーツについても同様なことが言えます。

早期にかつ過度に身体訓練を施すことが、子どもを「疲れ」させています。新奇な技に取り組み、それを動作習慣化させるときに「反復」は意味をもちますが、意味を理解しないとすぐに飽きがきます。その時に叱責されても無視されても人々は、「賦活減退による疲れ」を感じます。

このようなことがら、すなわち中学生のもつ全ての「気まぐれ」に対応するのは論外ですが、授業以外の運動機会がクラブ活動にあり、そのクラブへの参加方式と内容が一律にならざるを得ない状況にこそ問題がありそうです。

 

【善】

 

 

2013.03.23

2つのアプローチ

スポーツ健康科学という学問領域はきわめて実践的・応用的ですので、研究から得られた知見の多くを運動やスポーツの指導現場に直接還元することができます。特に、私が関わるトレーニング科学の領域では、研究結果をトレーニング・運動指導の現場へ還元することが重要です。ちなみに、以下は研究を行う上での2つのアプローチです。

① 過去に行われた研究結果をもとに新しいトレーニング法を考え、その効果を検証する

② トレーニング現場で既に実施されていて効果が大きいと考えられるトレーニング法に着目し、なぜ効果が大きいかを検証する

①と②のアプローチでは何が異なるかわかりますか? ①はこれまでにわかったことを整理した上で、新たな仮説を設けそれを検証するという一般的な方法です。言い換えれば、「研究」が「現場」より一歩前に進み、新しいトレーニング法を見つけていこうという方法です。

②は全く逆で、トレーニング現場で「効果が大きいトレーニング」として既に取り入れられているが、「効果の大きい理由(効果の裏付けとなる科学的根拠)」がわかっていない場合に用います。この場合、「現場」が「研究」より一歩先に進んでおり、「現場」で感覚的・経験的に効果が認知されている方法の裏付けを「研究」で明確にすることになります。私の感覚では、過去に競技スポーツで選手として頑張ってきた学生、トップ選手のトレーニングを間近で見てきた経験のある学生は、②の方法で研究を行う優れた「センス」を持っています。

さて、明日は、学校体育の指導者の方々を対象に、「最新のトレーニング科学」というタイトルで講座を行います。研究で明らかになったことをスポーツ現場に伝える絶好の機会ですので、気合いを入れて頑張りたいと思います。

GOTO

2013.03.22

修了おめでとう!

 連日春の気配を感じられる日々が続いたのに、この栄えある修了式が挙行された20日は、まるでこれまでの2年間、研究に打ち込んできたM2の人達の健闘を祝すかのようにシャンパンの代わりに雨が讃えてくれました。お互いに競い合い切磋琢磨してきた友人、指導の情熱を燃やし続けた先生方、惜しみなく研究に協力してくれた後輩達、陰に陽に支え続けてくれた職員の方々、皆さんとの別れの時が来ました。

 これからの長い人生には、順調に事が進むこともあれば、自分の努力や意志に反して壁にぶつかったり、うまくいかないことがきっとあるかと思います。それは至極当然のことであり、この世の中が自分のためにあるのではないからです。そんな状況の時、"とりあえず"できることから行動してみることを勧めます。そして、過去の、昨日までの自分は昨日で終わり、今日が最初の日であるかのように新しい自分として行動してみること、すなわちいたずらに過去を追うこと無く、また、過去とのつながりとして未来の自分をとらえるのでは無く、それらと決別することを勧めます。このように"今一歩前へ"踏み出すことを忘れないでください。常に人生に対する前向きの姿勢を持ち続ければ、"私の時代はきっと来る"(G.メンデル)はずです。「社会の、斯界の担い手となって活躍」されることを期待しています。というよりもそれが本学で学んだ皆さんの責務でもあります。(老ブロガー・ハル)