2017.11.01

地域を感じる裁判

サマータイムが終わりました。手動で時計の針を1時間ずらすなど、初めての経験でした。
そして、おなかをすかせて食堂に行くと「1時間後にしか開かないよ」と。そう、今日11月1日は諸聖人の日で祝日…。

ここにきてまた、国・土地を感じているところです。そして、その一つ。
バレンシアでは、毎週木曜日の正午、「水の裁判」と呼ばれる路上での公開裁判が行われます。
(時間が近づくと、カテドラルのところで準備が着々と…)

正午の鐘とともに、8人の法衣をまとった男性が椅子に座ります。そして開始の声、訴えの有無が確認されていきます。
スペインの国全体が、そしてここバレンシアも例外ではなく水不足なのです。それは、昔も、そして今年も(1か月ほど前の新聞には、スペイン全体、真っ赤に表示された水不足の注意警報)。
パエリアの発祥地というだけあって、米どころもありますし、トマトやオレンジなどが豊かな農業地域です。その農家どうしで、水を大切に分かち合ってきたのです。もし、お互いが約束事を守らなかったら…。1000年以上に及ぶ地域の歩みのひとつが、この裁判に現れています。

ユネスコの無形文化遺産に登録されていて、しっかりと通常の裁判と同じ効力を有しているそうです。
この日、訴えはなかったようで、「えっ!?終わり?」というくらいあっという間の出来事でした。裁判の関係者に「もう終わったんですか?」とたずねたくらい、5分もかからず終了。

少々違和感を覚えたことの一つは、野外で裁判が行われる点(市民参加型と言えば、そうかもしれませんが)。もう一つは、地域の問題なのに、裁判を取り巻いていたのは(おそらく)観光客がほとんどだった点。
(この状況で公開裁判…)

違和を感じつつも実感したことは、「水」の存在。ふだん何気なく使っている資源で、その重要さも理解はしていますが、そこにルールとそれを守る人たちの協同があるから、生活の平穏があるのだということです。
いつの時代もどこの地域も、限りある資源の中では、競争-協力の問題は永遠のテーマです。

いろいろな社会的な絡みの中で、スペインは、カタルーニャ自治州の独立問題に揺れつつ…。

ippo