2017.11.15

王は魔法を使った

バレンシアから少し南の方に行くと、そこはグラナダです。アルハンブラ宮殿で有名なところです。この国に来て初めて、山脈と平野(ベガ)の組み合わせで自然を眺めたように思います。

街自体は大きくないのですが、ハマると、いつまでもいつまでも留まっていたくなる場所でした。実は、アルハンブラ宮殿のすごさをほとんど知らず(失礼なことに、スペインのこと自体、ほとんど知らずに乗り込んだので仕方のないのですが…)。ただ、何の先入観もなく、何をどう見ればよいかの知識もありませんでしたから、驚きも大きかったように思います。

さて、肝心の宮殿のことです。
その随所に観られるイスラム芸術は、私の語彙が足りず形容できません。とにかく、その細工の精巧さ・可愛らしさは、職人の技、文化そのもの。「王は魔法を使って宮殿を完成させた」と人々を魅了したというのも納得の芸術です。
(アルハンブラ宮殿で)

宮殿から見るアルバイシン地区の薄く赤茶けて見える街並みも素晴らしく、翌日出かけた、アルバイシン地区から眺めたアルハンブラ宮殿もその荘厳さ、難攻不落だった時代を見せつけられるような迫力でした。同時に、森に浮かび上がってきたような幻想的な姿をしてもいますし、この秋の季節だからか哀愁を感じさせる雰囲気もあります。まさに千夜一夜の世界です。
(アルバイシン地区からアルハンブラ宮殿)

そんな芸術・風景を観ながら、戦いの当時、人々はどのような想いだったのでしょうか。勢いのある国、大きな国に挟まれながら、決して大きくない規模の王朝を維持・発展させ、今の世に残すこれほどの文化力を育てたリーダーの処世術、その力量の中に(よくも悪くも)生き抜く生命力を感じます。この土地に同じく立ったみなさんなら、何を感じるのでしょうか。複雑な、魅惑の土地です。

ippo