2018.03.02

日本語ムズカシイネー

Hitomiです。
英国には「3月はライオンのようにやってきて子羊のように去っていく(March comes in like a lion, and goes out like a lamb.)」ということわざがあるそうです。(ちなみに漫画「3月のライオン」の由来なんだとか)
『いやいや、年度末だし、どちらかというと3月末のほうが慌ただしいのでは…』と思ったのですが、よくよく調べるみると、これは3月の天気を動物に例えた言葉でした。
ライオンのように荒れた天候の日が続いた後、子羊のような穏やかな天気に変わっていくことを表しているそうです。
そういう意味では、先日まさに「ライオン」のような天気でしたね。風がびゅうびゅう吹いて、まさに春の嵐といった様子でした。暖かくなってきたとはいえ、まだ油断ならない時期ですので、皆さんも体にはお気を付けください。

そんな春の嵐の直前、週の頭に高知県に行ってきました。夏にも行きましたが、今回は読書会ではなく研究の打ち合わせです。いつもなら土讃線「南風」に乗って若干電車に酔いつつ瀬戸内海の眺めを堪能するのですが、今回は日帰りなので飛行機で一直線です。
高知竜馬空港を利用したのは初めてでした。さっそく坂本竜馬発見。


市内までバスで30分とアクセス抜群です。今度はアンパンマンを発見。高知県、キャラ?が豊富です。


「今日は日帰りです」と言ったら、先輩方がお昼ご飯にひろめ市場に連れて行ってくれました。

何度食べても、高知のカツオは美味しいです。ただしアルコールはもちろんお預けです(涙)

相変わらず食事のことばっかりで恐縮ですが、その後ちゃんと打ち合わせもして、トンボ帰りでカツオ…もとい、高知を後にしました。

というのも、翌日はFD研修会だったからです。火曜の司先生の記事でも触れられていましたね。
色々なお話や議論があって大変興味深かったのですが、個人的に特に「へぇ!」と思ったのが【敦】先生が紹介していた「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」(新井紀子著)という本でした。

この本の著者は「東ロボくん」プロジェクトを牽引する著名な数学者の先生です。
本では、プロジェクトから明らかになったAIの限界について述べられており、すべての仕事をAIに奪われてしまうかもしれないという危機よりも、AIに出来ない仕事をAIの代わりに出来る人間が果たしてどれだけいるのか、ということが問題であると指摘されています。この「AIに出来ない仕事」こそ、本来人間が得意とする「意味を読み取る」ことなのですが、若年者のデータから子どもの読解力が低下していることが明らかになっており、教育の在り方を今一度見直す必要がある…といった警鐘を鳴らす内容になっています。

早速Kindleでダウンロードして、読んでみました。
ものすごく分かりやすい文章です。一気に読んでしまったため、今、寝不足です。
以前から気になりつつも難しそうな話だなぁ…と避けていたAIや機械学習、ディープラーニングの話なども一緒に理解することが出来たので本当に読んでよかったです(…というか、今書きながら『私の数学の苦手意識も読解力のせいでは…?』と不安になってきました)。

本の中で驚いたのは、この読解力を身に着ける方法が実はまだ分かっていないらしいということです。「最近の子は本を読まないからね~」なんて言ってしまったりしますが、読書量とは相関がなかったという結果に驚きでした。ただし、読書と全く関係がないわけではなく、1冊を熟読することのほうが重要かもしれない、というような可能性が述べられています。

たしかに、最近は「分かりやすい」至上主義だなと思います。授業でも「分かりにくい」=「教え方が悪い」と内容の難易度関係なく評価されてしまっているような気がすることがたまにあります。もちろん、分かりやすいものが悪いなんてことは絶対にありませんが、定期的に複雑だけど論理的な文章にもチャレンジして頭を使っていかないと、あっという間にAIに代替される人間になってしまうのかもなぁ…と危機感を持ちました。

自分のゼミ生を持ったばかりの新米大学教員としては、やはり自分が育てた学生が社会で活躍してくれることが第1の目標です。
分析の方法や卒論の書き方といったテクニカルなことだけじゃなく、もっと真に教えるべきこと、伝えたいことを明確にしていかないといけないと改めて感じた1日でした。

Hitomi