2018.10.07

珍しい実験

後期に入り複数の実験(研究)が進行しています。私の研究分野は「トレーニング科学」ですので、多くの研究では「効率的な運動(トレーニング)」や「疲労回復(リカバリー)の効果」に着目し、実験には「運動介入(参加者に運動を行っていただくこと)」が含まれます。これに対して、「運動介入」を伴わない、私にとっては「珍しい実験」が現在進行しています。

この実験では若年女性を対象に、数日間の食事制限(1日・3食あたりのエネルギー摂取量を約1200kcalに制限します)が鉄代謝や脂質代謝などに及ぼす影響を検討しています。また、参加者は炭水化物・タンパク質・脂肪などをバランス良く減らし食事制限を行う群(通常制限群)と、糖質(ご飯、パンなど)を極端に減らした上で食事制限を行う群(糖質制限群)に分かれ測定に参加しています。エネルギー摂取量を制限する影響に加えて、糖質の摂取を制限することで身体の代謝にどのような影響がみられるかを明確にすることを目的としています。食事はすべてこちらから提供するのですが、「通常制限群」と「糖質制限群」では1日・3食あたりの摂取カロリーは同じ(約1200kcal)ですが、「糖質摂取群」では糖質の摂取量を大きく減らすためメニューには様々な工夫が盛り込まれています。写真は糖質摂取群の食事で用いている大量の低糖質のパンです。見た目は通常のパンで1個あたり約70kcalなのですが、糖質は2.2gしか含まれていません。



さてこの実験、参加者が全員女性で体組成などの測定もあるということで、験者も全員女性です。運動負荷を伴うその他の実験は賑やかな中で進行するのですが、今回は安静時の測定のみということでとても静かに、落ち着いた雰囲気で測定が進行していきます。ただその様子をみていると、験者の大学院生が参加者のスポ健の学部生に対して測定の意味や測定値の解釈などを合間に説明してくれています。これは私からお願いしたわけではないのですが、大学院生が自主的に行動(説明)をしてくれることで、参加者は研究の意味や目的を十分に理解することが可能となっています。今月中にはすべての測定や解析が終了する予定です。研究結果を楽しみにしています。

GOTO