2019.02.08

Obligatory Contour Principle

どうも、こんばんは、嶋村です。今週は付属校の説明会に少し参加してきました。P の話をしてちょっと厳しい事を言いすぎたかも知れませんが、まあしっかり大学生になる準備をしてきて欲しいものですね。


さて、僕は成績もつけ終わって、完全に自分の時間を自分の研究に使っています(家のことをやる以外は)。いま新しいトピックをいろいろ研究しているのですが、そのことで頭がいっぱいで、ブログのトピックとして適当なことを何も思いつくことができません。ちなみに何をやっているかと言うと、一つお話しすると、文法的(統語的)に Obligatory Contour Principle (OCP) が働いているんのではないかということなんですが、う〜ん、なんか難しそうですね(笑)。


OCP というのは元は言語の音に関する研究で生まれた概念で、うまい日本語訳に出会ったことがありません(笑)。用は隣接する(あるいはとっても近い)音同士は同じ特性を持っていたらダメだよっていう原理です。なんじゃそりゃ(笑)。


例えば、日本語には有声(濁音)と無声(清音、半濁音)の区別がありますよね。「ぐ」と「く」や「ぶ」と「ぷ」の区別がそれに当たります。気づかないかも知れませんが、このペアを発音するとき、口の形や舌の位置は同じです。喉(声門)が震えてるかどうかのみ違うはずです。ちょっと手を喉に当てて発音してみてください。「ぐ」や「ぶ」を発音すると喉の震えを感じると思います。で、複合語を作るとき、例えば「試験」と「勉強」を合わせると「試験勉強」という語ができますよね。この読み方は「しけん」と「べんきょう」の複合語なので当然「しけんべんきょう」ですね。ところが「株式(かぶしき)」と「会社(かいしゃ)」を合わせると「株式会社(かぶしきがいしゃ)」となり「かいしゃ」が「がいしゃ」になることに気づくと思います。これを言語学では、時に音を研究する音韻論では連濁(れんだく)と呼んでいます。ところが後続する語にすでに濁音(有声音)があると連濁をしなくなる場合があります(例外はあります)。例えば、「書き言葉」は「かき」と「ことば」から出来ていますが、「ことば」にすでに「ば」という濁音(有声音)があるので、「かきごとば」にはなりません。同様に「そよ風」は「そよ」と「かぜ」から出来ていますが、すでに「かぜ」に「ぜ」という濁音(有声音)があるので「そよがぜ」にはなりません。このように連濁できそうな環境でも近くに連濁した結果生まれる濁音(有声音)が別に近くにある場合は連濁しないことがあります。こういう法則を見つけた人の名前にちなんでライマンの法則と言いますが、実は江戸時代すでに本居宣長が独自に見つけていたそうです。なんだか歴史を感じますね。ちなみに先行する語に濁音があっても連濁しにくいようです。例えば、「福崎さん」は「ふくさき」でも「ふくざき」でも良さそうですが、「藤崎さん」は「ふじさき」はいいけど「ふじざき」は結構無理に感じませんか?OCP は本来連濁を説明するために考案された原理ではないのですが、語を合わせた時に濁音が並ぶと気持ち悪いのは一種の OCP と言うことができるかも知れません。


さて、僕が考えているのは日本語を含め様々な言語で音だけでなく文法レベルで似たものが近くにあると文法的に問題があるかどうかを調べています。今のとこ日本語と英語とアイスランド語を見てみて、まあ自分の分析でいけるかなって思ってたら、いろいろな世界の言語を見るとそうでもないことがわかりました。今週、特に今日は一日中悩んでます。なんで、ブログどころではありません。。。なのに夕飯担当をしました。。。


はい、なので今日はこの辺で。。。(今日の写真は、また何もないので、朱雀キャンパスの中。。。)