2020.03.06

スタプリと有標性の話

みなさん、こんばんは、嶋村です。今日も遅め更新です。まあいつも通りネタがないわけですが、世間は何やら新型ウィルスで大変なことになっていますね。うちの大学も卒業式が中止なりましたが、楽しみにしていた学生さんは残念なことだと思います。。。


さて今日はある表現に関してちょっと書きたいと思います。それは「ハーフ」という言葉です。この言葉自体は英語の half から来ているので「半分」という意味ですが、日本では混血の人をさす場合に使われることがありますね。ちなみに僕は顔が濃いのでしばしば「どこかの国とのハーフですか?」と聞かれる時がありますが、純日本人です。ルーツは九州にあるそうですが。


で、話を元に戻すと、「ハーフ」は実は差別用語だと考える人もいるそうで、実際テレビでは使用が禁止されているそうです。最近では「ダブル」や「ミックス」という表現の方が望ましいという意見があるらしく、何も知らずにうっかり「ハーフ」と言うと問題になる場合があるみたいですね。まあ上述の通り「半分」が原義ですので、「あなたは半分です」みたいなことになるとやっぱりダメだと思うので「ハーフ」は避けた方がいいですね。


なんでこんな話をしたかというと、最近プリキュアが好きなんです。はい、そこのあなた、「40歳のおっさんがキモっ!」てなりましたね(笑)。まあ娘が好きで時々一緒に見てたんですけど、結構大人が見ても面白いんですよね。ハマったきっかけなんですが、去年から今年の2月くらいまでやってたスタートゥウィンクルプリキュアです(ネットではスタプリと言うそうなので以下ではそれに従います 笑)。僕はもともと Star Wars とかガンダムが好きなので、宇宙を舞台にした物語が結構好きなんですけど、スタプリの舞台が地球だけでなく宇宙でもあったので、わりとスッとハマることができました。それでスタプリのテーマの一つなのかなって思うのですが、「多様性」というのが見てとれます。例えば、シリーズ初の宇宙人のプリキュアが登場します、しかも二人も(キュアミルキーとキュアコスモ、ちなみに僕はこの二人がお気に入りのプリキュアです 笑)。この二人は、最初は地球人との交流を心から楽しむことができないのですが、話が進むに従って、だんだんと違いを認め、かつそれを尊重し、理解しようと努め他の地球人のプリキュアを信頼するようになります。主人公の星奈ひかるさん(キュアスター)の言葉を借りると「キラやば~」な関係になります(笑)。それから敵にもそれなりの事情があって終盤ではプリキュアと協力してより大きな脅威に挑むことになります(ネタバレすみません)。そこでもみんな違う価値観で生きていて、それを理解しようとする態度が大事であることが示されています。


まあそれでキュアソレイユもとい天宮えれなさんはお父さんがメキシコ人でお母さんが日本人なんですが、もちろん「ハーフ」という単語が登場することもありませんし、「ダブル」や「ミックス」なんかも使われません。「お父さんはメキシコ人なんだ~」的な言及のみで周りもそれに大きく反応することはありません。


ところで新しく言葉が生み出される原因はいろいろありますが、言語学的にいうと有標な表現に新たに名前を付ける傾向があるように思います。「有標」とは他が持っていない特徴を持っていることを積極的に表すということなんですが、例えば「キャリアウーマン」とは言いますが、「キャリアマン」とは言わないですよね。なぜかというといわゆる古い日本的な「男性は仕事をし、女性は家庭を守る」みたいな考えがあって、バリバリ働く女性は普通ではないと考えられていたためにこの言葉が生み出されたのではないでしょうか。。。ちなみに「キャリアウーマン」は和製英語で英語では通じません。あと「イクメン」もそうですよね。「イクウィミン」とか「イクウーマン」と言いません。これも「積極的に子育てに参加する男性」というのが普通ではないという意識が下地にあるような気がします。まあこうやって名前をつけると便利なんですが、それが受け入れられてしまうと、その言葉生まれた根底の原因が見えなくなってしまうことがありますよね。現代の日本社会は男女平等であることが謳われていますが、実際ところ「キャリアウーマン」や「イクメン」が普通に日常で使われていますよね。まあ気になる人は気になるし、気にならない人は気にならないのですから、そこまで目くじらを立てる必要もない気がしますが、テレビで「ハーフ」がダメなら「キャリアウーマン」や「イクメン」なんかもダメでもいい気がするんですが。。。


というわけでスタプリを見ていて感じたことでした。ちなみに新しいプリキュアが始まりましたが、僕は断然スタプリ派です(今のところ)。


ではでは、皆さん、「キラやば~」な週末を(笑)。