こんにちは。Ma34です。
今日は私の研究テーマについて紹介いたします。今日は、テーマと、なぜそんなことを考えようと思ったのか?という前段階です。
私は英語教育、とりわけ学び始めの「入門期の英語教育のカリキュラムや教育方法」について研究しています。日本においても、20年以上の議論を経て、現在小学校高学年に「外国語活動」というかたちですが小学校英語教育が導入されています。初めて英語に触れる際には、何をどんな順序で教えていく(学んでいく)べきなのか、異なる立場があります。そして今議論されているのは、小学校英語をどう中学校以降の英語教育につなげていくかという問題であり、文字指導・読み書き指導はその一つの重要な柱となっています。読み書きを導入すると、とたんに学力差が目に見えるようになるとも言われ、その指導方法も模索されています。
実は私は、その読み書き指導について焦点を当てています。とくに、日本語は1音に1文字が対応するので、会話ができるようになって文字を覚えれば、発音に合わせて読み書きができます。しかし英語はどうでしょうか?英語は1文字でもいくつかの発音を持つ言語です。たとえばcakeではaは「エイ」、けれどもcatでは「ア(エア)」となります。このような複雑性が、英語を母語とする子どもにおいても学習のつまずきを生んでいます。そうした事情によって、英語圏においても英語の読み書きをそのように指導したらよいのかという点は重要な論点となってきました。
なぜ、そのようなところに研究的関心をもったのでしょうか?それは、英語教師の父親をもった私自身が、英語の綴りとローマ字との違いに興味を持ちながらも(いや、持ちすぎて)スペリングを覚えることに苦労した(つまずいた)経験からです。なぜ「beautiful」は、「ビュー」となるのに「bu」 や「byu」じゃないのかな?なぜteaは「ティー」で「テア」じゃないのかな?と悩み始めたら前に進めなくなってしまったのです(変な生徒ですね。でも綴りの難しさは学習のつまずきのきっかけになるのです。)
当時の先生は、こういった綴りのルール(phonics)についてご存知だったかはわからないのですが、「とにかく書いて覚えなさい」としか言ってくれなかった記憶があります。
このような私自身の経験が、大学で英語科の教員免許を取る際に学んだ「音声学」などの授業、そして教育方法学の領域で出会った「Whole Language」というアメリカで起こった草の根教育運動を深めるうちに、色々と結びついてきました。ただひたすらドリルやワワークをして「暗記」することが学習なのかな?と疑問を持っていた私ですが、綴りのルールがあるということ、それを自分で「発見的」に学習できたことがとても面白かったし、そうした実践がWhole Languageで行われていることを知りました。そこから、今の研究テーマが絞り込まれてきたのです。
・・・長くなってしまいました。続きはまた次回にしたいと思います。
ふりかえってみれば、研究の種は、私の育った環境や、自分でつまずいた経験、そこでの教師のアドバイス、大学での色々な学び・・・のそこかしこにあり、それらが密接に関わって今の研究テーマになっていることを感じます。
卒論の研究テーマも、それぞれの学生の経験や学びから生まれてきた、その人自身にとって価値あるテーマになると良いなあと、常日頃思っています。みなさんの研究の種もきっと近くにあるはず。ぜひ探してみてください。