[ 2015年06月 ] の記事一覧

2015.06.12

ジョジョの奇妙な冒険

「ジョジョの奇妙な冒険」作者の荒木飛呂彦さん著 「荒木飛呂彦の漫画術」 を読みました。そもそもは新聞の書評欄で見つけたのですが懐かしく思い、すぐに書店に買いに行きました。私が中学生・高校生の頃は多分週刊少年ジャンプの黄金期で、毎週楽しみに立ち読みしていた(当時はコンビニはそう多くなく、書店の店頭に雑誌が並べてありました)のを思い出します。「ジョジョの奇妙な冒険」はその中でも人気の作品だったと思います。

読んでみて、懐かしいというだけではなく目から鱗の大変参考になる一冊でした。内容の紹介のために目次から何カ所か抜粋します。

・「王道漫画」を描くための「黄金の道」
・最初の一ページをめくらせろ!
・他人が描いていない分野に踏み込む
・日常の「起承転結」を体で覚える
・表現はヘミングウェイに学べ
・リアル化とシンボル化
・同じ絵ばかり描いていたら時代遅れになる
・徹底的にリサーチする
・調べた事を全部は描かない
・描いたものは忘れる

いかにして面白い作品を創るか、という事にフォーカスした筆者の考えが述べられています。ここで「面白い」とは「読者が楽しんで読んでくれる」という事です。そして、この著作の題材は勿論漫画なのですが、我々大学教員の教育・研究の仕事にもほとんどぴったりあてはまると思い強い感銘を受けました。授業や研究のプレゼンテーションを、「面白い、もっと聴きたい」と思って貰える事は我々にとって大きな喜びです。そのための技法や考え方に関する著書もまずまずの数読んで来たつもりですが、中でも非常にためになった一冊として紹介させて頂きます。学生さんもプレゼンの際や、面接を受ける際に大変な参考になると思います。是非読んでみてください。

本の内容から、驚き感心した事項を一点。荒木氏は作品を描く際に、全てのキャラクターの「身上調査書」を作成するそうです。これは履歴書を更に詳しくしたもので、姓名・年齢・性別は勿論の事、身長、体重、生年月日、血液型、学歴、好きな音楽、飼っているペット、尊敬する人物、等々約60の項目からなっているそうです。そのお陰でキャラクターの振舞いにリアリティが生まれ、ストーリーにも矛盾がなくなるとの事。なるほどと思いました。