2011.09.02
2011.09.01
研究活動の原点。
あっという間に9月になりました。先週から始まった世界陸上!mm生先生と同じく、私もついつい見入ってしまいます。箸にも棒にもかからないような成績で走っていた私にとっても、陸上競技は研究者として生きるきっかけを与えてくれたスポーツなので自分の大切な研究活動の原点になっています。長距離の練習が「運動やストレスが免疫系にどのように影響を及ぼしているか?」という現在の私の研究テーマにたどり着きました。
選手の頃、最大酸素摂取量や血中乳酸の測定は日常茶飯事だったかもしれません。私の場合、最大酸素摂取量の測定よりも?!血中乳酸測定で指先に針をさされることが恐怖だったことから「練習中のタイムトライアルや、記録会で走る3000mや5000mのタイムで、乳酸閾値を導き出すことができれば痛い思いをしなくても良いし、練習の記録設定にも使えて一挙両得なのに。。。」という単純な発想から研究がスタートしました。
当時のBlood Lancet(採血のため、指先に針を刺す器具)は、「パチン!」という音(嫌な音)と同時に、指先に針が刺さる瞬間が目に見える作りで、いつも恐怖でドキドキしていました。この気持ちも、自分自身が選手を対象にして実験する際に、選手の立場や気持ちを考えられる良い勉強として生きている気がします。
大学院では、予備実験で自分で乳酸を測定することが増え、指が内出血と穴だらけになっていました。でも、きっと私と同じ恐怖を感じている選手がいるはずだから、と思いながら実験していました。ある時、研究室の同期と2人で、トレーニング実験の強度を決めようと、いろいろな文献を調べながら「この強度、絶対変やなあ。確かめて見よっか。」と血中乳酸が4ミリモルに達する速度で何分走れるか!?と、環境制御室のトレッドミルで走りながら、5分ごとに乳酸を測定する無謀な試走実験を実施してみたり(やっぱり文献通りのおよそ20分が限界だったのですが...)、恩師が南アフリカ研修で不在の中、振り返ってみると無駄な!?予備実験を思考錯誤の中、結構な頻度でやっていました。必ず現場に活用できるデータにする!という目標だけは見失わずに実験していました。
そこから、派生して運動免疫学の研究にたどり着いた経緯は、目標とするレースに向けて、いくら質の高い練習を完璧にこなせていたとしても、レースの日にコンディションをピークに持って行けない選手が多いことでした。特に駅伝に向けてのトレーニングで、練習の時の良い状態と当日のレース走りを見た時の違いから、悔しい場面に何度も遭遇し、「選手のコンディションはストレスや免疫系に大きく左右されているのではないか?」という研究にたどり着き、今にいたっています。
選手対象の実験をしていて、嬉しいことは、被験者として研究に協力してくれた当時の学生さんが、今でも時折、メールや電話、年賀状等で近況報告してくれます。修士の頃、男子長距離選手40名ほどが被験者として実験に協力してくれました。彼らのほとんどが中学、高校の体育教員、自衛官、警察官、消防署、フィットネスクラブのインストラクター、様々な場所で働いています。今年3月の地震後、自衛隊として福島県で捜索活動に従事していると現地から連絡をくれた卒業生もいます。
人が対象の研究は、彼らが社会人になっても、大切な繋がりとして生き続けるので大好きです。中学や高校で教員をしている卒業生のほとんどは陸上部の顧問をしていて、「指導している生徒がインターハイに出ます!」という報告や、「作成してくれた報告書、今でも大事にしています」という一言が年賀状に沿えられてあったり...当時、知識が浅い中、作成した報告書だったにもかかわらず、大切にしてくれている気持ちが本当に嬉しい限りです。彼らが私を育ててくれたのだと思っています。測定に参加してくれた選手たちの身長、体重、体脂肪率、VO2max、走フォーム、自己ベスト記録、出身地、出身校、家族構成...どういうわけか誕生日や血液型まで完璧に覚えていたり(^_^; 自分の記憶力にもびっくりですが、若かったということなのでしょうか。。。
現在はメカニズム解明として動物対象の研究を中心にしていますが、必ず、人に還元できる情報(研究論文)として世の中に提供できなければ全く意味をなさないこと、また、そうしなければ、実験のために命を提供してくれる動物に対しても失礼になる、という気持ちを常に忘れず実験に取り組もうと思っています。一緒に実験している学生さんにも、単に研究ができるということ以上に、伝えて行きたいことでもあります。
現在、M2のMachi君、Liuさん、M1のJo君、生命科学部のHaruhiさん、Chihiroさんと一緒にラットのトレーニングを実施しています。水泳で『Tabata Protocol』を週に4日行っています。ラットたちも頑張っていますが、学生のみなさんも本当によく頑張ってくれます。M2のLiuさん、Machi君は動物の扱いも優しく丁寧で完璧です。最近は後輩たちにもしっかり教えてくれるので、とても助かっています(^^;)スポ健で社会に貢献できる人材に成長し、世の中に貢献してくれる日をとても楽しみにしています。香
2011.08.31
「湯上り気分で、スポーツ談義」?!
双子の孫の9歳の誕生日に出かけた「癒し太閤○○の湯」で、「8月31日をもって閉店致します。」の案内掲示を見たのが8月13日。8月30日、最後の機会と思って孫たちを連れて行ってきた。平日にも拘わらず大賑わい。楽しみにしていた「湯上りの食事」も「満席」で諦めた。普段から、こうした賑わいであれば、営業的には問題ないのだろうが、突然の「閉店」とは。
すでに学校が始まっている孫たちなので、そうそう夜更かしも出来ないのだが、お楽しみの夕食は他の場所でして帰宅した。ところが、すっかり寛いでしまって、孫たちと一緒に寝入ってしまった。「桑原、桑原??」。そのまま、朝まで寝込んでしまったのでは、担当の「ブログ」に穴が開くところだった。
今は「世界陸上」真っ盛り。ついついTVの前に釘付けになってしまう。ハンマー投げの室伏選手の優勝は、間もなく37歳になるアスリートの計画的で継続したトレーニングの賜物だ。6投全てが今期自己ベスト。その内4投が80m超の安定した投擲だった。強靭な精神力と肉体の鍛錬そしてその維持は、アスリート自身の類まれな努力の結晶の上になり立つものではあるが、その個人を様々な形でサポートする総合的な「スポーツ力」が求められているのが今日の状況だ。世界の頂点に立つアスリートの「裾野」を支える大きな力。それを科学するのがスポーツ健康科学なのだろうという思いが、室伏選手の姿をTV画面で追いながらふと沸いてきた。
と同時に、「スポーツのあり方」の問題として、茶の間で寛ぎながら「TV観戦」出来るような時間帯に、世界の一流選手が競技に「鎬を削る」状態が本来の姿なのだろうかという僅かばかりの不満も過ぎったりする。とくに、「世界記録、世界記録」と連呼されるに及んでは。
記録が達成されるためには、さまざまな要因が満たされなければならない。例えば、今回の「世界陸上」から導入された「フライング一回で失格」のルールは、極めて安定した静止状態からの爆発的なスタートダッシュを、これまで以上に求めてくる。そうした中で、身体能力的には「休止モード」にあるだろう夜の時間帯の決勝で最大のパフォーマンスを発揮しなければならない。アスリートは過酷な状況に置かれていると言えるかもしれない。スポーツ健康科学の進展は、そうしたアスリートにどのように寄り添っていけるのか。 mm生
2011.08.30
節電の産物。
2011.08.29
第26回夏季ユニバーシアード
学生アスリートの世界大会、第26回夏季ユニバーシアード大会が、中国・深圳(シンセン)で8月12日から23日まで開催されました。
陸上競技では、日本代表として立命館大学から男子は主将の小谷君、堀江君のスプリンター2名、女子は田中さん、岩川さんの2名の計4名が参加しました。おそらく、立命館大学が他大学よりも最多の選手を送り出しました。
いずれにしても、学生アスリートとして世界の舞台に立ち活躍した彼ら、彼女らに会われたら、慰労と感謝を伝えていただければ幸いです。
いま、韓国のデジュで、陸上の世界選手権が行われています。これからそのような大舞台に、本学の学生、卒業することを願っています。同時に、監督・コーチとして、テクニカルスタッフ、国際陸連の役員、報道関係者として参加する卒業がたくさん現れるのも楽しみです。
8月25日、26日に、インテグレーションコアとラルカディアのホワイエ(廊下)を使って、O塚助手、伸輔助教、応用バイオメカニクス研究室・院生を中心に60mダッシュの実験が行われました。100m廊下のほとんどを使って、タータン走路を引き詰めての実験です。完全に屋内ですので風の条件は考えないでよい実験設定です。ただし、走路の準備、カメラ設定など実験の準備には最新の注意が必要です。このような最先端の研究に携わる若手研究者の中から、世界大会のパフォーマンスを解析する国際プロジェクトを指揮する研究者に育ってほしいとも願っている。
みる、する、支えるスポーツの全てで活躍する人材の宝庫に立命館大学スポーツ健康科学・大学院スポーツ健康科学研究はなるでしょう。
【忠】
2011.08.28
アスリートと英語学習
みなさん、いかがお過ごしですか?
先週から、パリで柔道の世界選手権が開催されていますが、
私も、先日、パリに行っていて、地下鉄の構内で、
沢山の宣伝ポスターを、目にしました。
最近、海外で活躍するアスリートが増えてきましたが、
活躍するには、コミュニケーションを取るための
語学の学習が必要不可欠となります。
また、今週、岩波書店から、中学・高校生向けの
「アスリートたちの英語トレーニング術」
というタイトルの本も出版されました。
この本では、水泳金メダリストの鈴木大地さんを含め、
五名のアスリートが、どのように外国語を学習しているか、
また、国際的な場面で、どういった外国語力が必要か、
語ってくれています。英語だけの話でなく、
スポーツの現場の話もふんだんに盛り込まれているので、
ぜひ読んでみて下さい。
スポ健では、英語が出来る事が非常に重要ですので、
スポ健を目指す学生さんは、英語をきちんと学んで下さい。
それでは、また。失礼致します。
敦
2011.08.27
硬式テニス部女子チーム
前回もお伝えしましたが、多くの運動部は9月から始まる試合に備え合宿で士気を高めています。今回は、合宿から戻ったばかりの硬式テニス部女子チームの溝邊奈瑠瀬(みぞべなるせ1回生)さんにチームの状況を聞かせて頂きました。
女子チームは総勢14名と少なく、1回生から4回生まで皆で役割を分担し、選手一人一人に優しい雰囲気があるそうです。でもコート清掃などは徹底しており、テキパキとした厳しい練習風景を見ると、「さすが体育会だな」と感じるチームです。
昨日まで、和歌山県日高郡かわべテニス公園で1週間の合宿を行い、また来週からBKCエポックで学内合宿を始めリーグ戦に備えるそうです。合宿では、自分自身の練習もあるけど、コート整備、食事の準備、洗濯などの役割分担を頑張ってしたそうです。大学生になって初めての夏合宿で、リーグ戦へかける緊張も感じ始めたそうです。
女子チームは関西1部リーグ(立命館、関学、園田、松蔭女子、関西外語、甲南の6チーム)に所属しています。他大学は、高校時代のランキングの高い選手が非常に多く数で攻めてくるそうですが、本学は少数で戦わなければならないそうです。リーグ戦は、ダブルス2チームとシングルス3チームで戦うそうで、溝邊さんはシングルスで出場するそうです。高い身長からのサーブとフォアからのクロスが得意な選手です。目標は優勝だけど、少なくとも昨年の戦績を上回りたい(昨年5位)そうです。
「選手全員が、体調をしっかり管理し、単純なミスをなくすことに心がけ練習に取り組みたいと。また多少の実力差は、高い士気で逆転できることを忘れず乗り切りたい」と語ってくれました。
現在、スポーツ健康の勉強を始め、いろいろな授業で学ぶことに興味を持ち始めたそうです。特に立命館スポーツ健康科学部で学びたいという高校時代の夢がかない、毎日が勉強とクラブの両立が楽しい・・・と語ってくれました。
最後に、「一番楽しい授業は何?」と聞いたところ、「基礎演習」と「田畑学部長のスポーツ健康科学」とすぐ答えてくれました。
ほとんどの授業を最前列中央で受講しているそうです。田畑学部長は、教室の教材提示装置にズボンの裾を捲りあげ学部長自身の脚を載せ、映像表示機器(教室のワイドスクリーン)で映し出した下腿三頭筋の説明を始めた時は感激したそうです。スクリーンを見ず、目の前の学部長が脚を震わせながら必死に説明している姿を応援していましたと。
さすが学部長、熱い授業ですね~。
【shine】
2011.08.26
オンとオフ
2011.08.25
プレッシャーを楽しみに変える!
研究の原点!
乙訓高校の生徒さんたちが実験に来られています。伸先生、O塚先生のご指導のもと、自分たちで動作分析の実験をしています。私の担当は、野球部の生徒さんたち。。。みんなスゴい集中力です。分子生物学や運動免疫学専門の私が調査研究指導!?、動作分析!?というのも大変申し訳ないのですが、伸先生、O塚先生にご指導頂きながら、生徒さんたちには負けないように努力で乗り切っています(^^)
院生時代、サイエンスエンジェルという文科省の男女共同参画事業の手伝いをしていた際、関係者の先生から、Appleの創業者であるSteve Jobs氏が2005年6月にStanford大学を卒業した際にスピーチした内容がYouTubeで出ていることを教えていただき、とても感動して見ました。
すでに、ご存知の院生さんもいらっしゃると思うのですが、以下のサイトです。
1)Jobs Speech YouTube: Steve Jobs'2005 Stanford University Commencement Address
2)訳 Stanford
Report, June 14,2005
3つの話で構成されていて、15分程度のストーリーです。ちょうど博士4年目は、現在のM2のみなさんと同様、就職活動中でした。私は海外でポスドクをすることを考えていた時期だったので、余計に感動的だったのかもしれません。
それに、私自身がMacユーザーなので(指導教官の先生の影響だと思いますが)とても興味がありました。MacBook Airが登場したのもこの年度で、現在も仕事で毎日愛用しています(^^;)
博士修了間際で私だけ行く先が決まらず、一番不出来な自分を雇ってくださったボスにはとても感謝しています。その恩に答えるため!?、置いて頂いた2年間で「長距離選手のコンディションと免疫指標の関係」についての研究を論文に出来たことだけは自信を持って言えます。周囲のハイペースに振り回されず、自分のペースで努力を続けるのみです。
きっと、M2のみなさんも進路について考える時期でしょう。いろいろな本を読んだり、多くの方の話を聞いたり、その中で自分自身の揺るぎない目標を再認識してひたすら前進してもらいたいと願っています。5年後、10年後...いつか学会や同窓会などで、成長した日に会えることを楽しみに日々努力するのみです。私自身の足が止まりそうになった時、いつも考えていることです(^o^)ご参考までに!香今日は、マンネリ化するのが嫌なので、文章のスタートにインパクトを持たせてみました。先日、Hassy先生がご紹介くださった図書のうち、半分は東北大学時代に読んだものだったので、分野が似ていると、手に取る本も似ているのかなあと(^^;;)。「Yahoo!トピックスの作り方」こんなタイトルの本を発見したので、つい購入。。。ブログを書かせて頂くようになってから、タイトルには非常にこだわっています。いかにインパクトのあるタイトルにするか!?これは論文を書く上にも役立てています。次回にでも、ご紹介したいと思っています!
2011.08.24
「スポーツ・野球談義」への期待
8月20日、日大三高の優勝で夏の「甲子園」が幕を閉じた。光聖学院は青森県勢として三沢高校以来42年ぶりの決勝進出だったが、東北勢初の全国制覇はならなかった。
「東日本大震災」を強く意識した「全国の高校球児の思いを白球にこめ、この甲子園から消えることのない深い絆と勇気を、日本中の仲間に届けられるよう、全力でプレーすることを誓います」の選手宣誓に始まって、一投一打に目が離せない熱戦が続いて、TV観戦していても十分に楽しませてもらった。
「東日本大震災の復興支援のために」と銘打った今大会には全国で4014校が参加したが、その地方予選も、被災地では開催も危ぶまれた。大会期間中の8月11日に被災から5ヶ月目を迎えても、まだまだ先の見え難い状態が続いている。しかし、昨年を上回る84万8000人の観客があの猛暑の中、球場へ足を運んだ。全48試合中、延長戦は大会最多タイの8、サヨナラ試合が7。とくに9回の攻防で点が動いた試合は17もあった。最後の1アウト、最後の1球まで諦めずに力を尽くした結果だろう。
「岡目八目」よろしく、「コントロールを乱したピッチャーに対して、何でこのカウントでスクイズ?」とか「ボールが上擦っているピッチャーの高めの球は、しっかり見逃せ!」など、勝手な解説も加えながら一緒に「熱戦」を続けさせてもらった。その「ついで」にと言っては語弊があるが、「小細工に過ぎる作戦」の失敗の場面も多々あった。「1点の重み、勝利への拘り」であればこそ当然とも言えるものだが、もっと選手の「自発性」を尊重した「堂々の戦い」を全うして欲しかったという思いがそこにはあった。
この辺りは、後期が始まったら、スポーツ健康科学部の学生で、野球部に所属している諸君との語らいの中で解きほぐしていきたいものだ。また、来春には、「甲子園」を沸かしてくれた選手の中から何人かが立命館大学に入学してくるかもしれない。そんな学生たちとも、野球談義・「甲子園」談義そしてスポーツ談義に花を咲かせてみたいものだ。「6.3制、野球ばかりが上手くなり」の世代の「スポーツ観・野球観」との差異に注目してみたい。
それは兎も角、「スポーツで生きる力と感動を!」と言われる如く、スポーツのもつ計り知れない魅力と力を今更のように感じさせてくれるのが「甲子園」だ。ある新聞の「鼓動」欄でも語られたように、日本全国が復興へと歩み始めている時に、「甲子園」・高校球児によって熱い熱いグラウンドから発信された「絆と勇気」は、今後の復興への大きな後押しとなることだろう。 mm生