スポーツ健康科学セミナーⅡのゲスト講師は、毎日新聞社論説委員の落合さんで、「スポーツとともに」という演題にて、特別講義をしていただきました。以下、【仁】先生に講演録をまとめてもらいました。
落合氏は、大学卒業後、毎日新聞大阪本社に入社後、マラソンやトライアスロンに魅せられ、ランナーズ(現、株式会社アールビーズ)に勤務され、その後、毎日新聞社に転職されました。現在は、論説委員として、社説やコラム「発信箱」、またインタビュー企画として「スポーツを考える」という記事などを担当され、講演時には、それら落合氏が執筆した記事を学生に朗読させ、義務教育以来、朗読などから遠ざかっていたであろう学生は、新鮮な緊張感に包まれながら、授業がスタートしました。講演では、数多くの経験談に基づき、就職活動に役立つ文章作成のコツや面接での振る舞い、また最近のスポーツ界に対する憂いと期待などを紹介されました。どれも印象深いお話しでしたが、落合氏が中でも本学部の学生に伝えたかったこと、4つについて簡単に紹介します。
1つめは、「群れない」ということ。これは、何も協調性を持たないことや友達と仲良くするなという意味ではなく、「一人で考え、勝負する」ということを意味します。ディスカッションや対話はもちろん、有意義であるものの、着想やアイディアは、往々にして「孤独」から生まれることが多く、一人の時間を大切にしてほしいということでした。また「自分にしかできない」ということにこだわってほしいと学生にメッセージされていました。
2つめは、「する」「みる」だけでなく、「考える」ことを大切にしてほしいということ。例えば、「スポーツの発展とは何か?」という問いに対して、その答えは、競技力の向上や参加率のアップ、また「スポーツで飯が食える」といった職業形態の確立など、あらゆる角度から論じることができるため、我々が直面している様々な問題には、答えが1つではないことを知り、その「答えがないこと」を考えてほしいと主張されました。
3つめは、「めざせ!スポーツ市民("見られている存在"であるという認識を持つ...)」ということ。この「スポーツ市民」という表現は、大阪体育大学の中房先生が用いられている言葉のようで、「社会共通の関心事について、発言・行動する」ということを「スポーツ市民」と呼ぶようです。その言葉を代表するメッセージとして落合氏が紹介したのは、来年にサッカーワールドカップを控えるブラジルで巻き起こっている「反サッカーW杯」のデモの最中に、サッカーブラジル代表選手のネイマール選手が出したコメントでした。「ブラジルがもっと公正で、安全で、健康的で、正直になることを望んでいる...」、誰を批判することなく、誰を傷つけることなく、ブラジル国民が自国のことを考えるきっかけをつくったこのメッセージこそが、スポーツ市民を表現しているとおっしゃりました。
最後に、「フェアプレー(スポーツマンシップの伝道者たれ)」ということ。フェアプレートは何か、またスポーツマンシップとは何かということを、事例をあげながら解説され、よりよいゲームのために、よりよいスポーツのために、そしてよりよい社会のために、すべての人々に求められる規範、このスポーツマンシップこそを、スポーツ健康科学部の学生は、それを実行し、そして伝道者となり、社会に嘱望される人材になってほしいとメッセージされました。
<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>
ヨーロッパスポーツ科学会議の「若手研究者賞」の最終ノミネート(ファイナリスト10名)に【moto】研究、M1のK野君が選ばれ、最終的に4位に選ばれました。見事です。今回の1位は大阪体育大学のK正さんでした。彼女の研究力ならびに日本の研究力が認められたと感じました。今回、スポーツ健康科学部から、学部生も含めて多くの発表があり、他大学の先生から「勢い」がありますね、とコメントをもらいました。教員の立場としては、さらに発展をさせる激励と受け止めております。(写真は、【敦】先生の発表、会場近くから見たサグラダファミリア)
【忠】