[ 2018年03月 ] の記事一覧

2018.03.11

オランダでの自転車通勤

オランダもデンマークと同じで自転車での通勤や通学が一般化されている街です。
都心であるアムステルダムはもちろんですがここマーストリヒトでも自転車専用道路がほぼ全ての一般道に設置されており、マーストリヒト市内は自転車の方が車よりも速く移動できることも多いです。

僕もこちらに引っ越してきて直ぐに中古の自転車を探しましたが、ちょうど新学期が始まる時期と重なり、大勢の学生が中古の自転車を探していて、町中の自転車屋さんのどこに行っても手頃な価格の中古自転車がなかなか見つかりませんでした。

デンマークもそうでしたがオランダでもたとえ中古の自転車とはいえ、かなり高価で日本であれば新品の自転車が余裕で買える値段です。今住んでるマンションはもちろんですが、大学にもきちんとした駐輪場があります。公共施設では駐輪場に個別のロックのかかった駐輪施設も設置されています。より安全に自転車を保管できるので(かつ雨を避けれる)ので人気なのかもしれません。

デンマークと同様に、マーストリヒトも自転車専用の道路はしっかりと整備されているので、車との接触等の心配をする必要は少ないですが、こちらはスクーターのような原付も自転車道を走るので、少し注意が必要です。

遠くの街から通っている大学院生や教員もマーストリヒト駅から自転車をレンタルして大学に来ているようです。駅でレンタルできる自転車は通勤のICカードを利用すると基本的に無料で自転車を借りることもできる(?)そうです。

マーストリヒト駅の駐輪場は以前まで屋外で、かなり煩雑に自転車が並んでいて雨にさらされるような状態でしたが、今年に入ってから新しい地下の素晴らしい駐輪場がオープンしました。今まで以上に大量の駐輪が可能となり、レンタルサイクルも同じ場所で簡単に手続きできます。



デンマークではヘルメットを被って自転車に乗る人が多かったのですが、オランダではほとんど見かけることがありません。また、スマホをいじったり、イヤホンで音楽聴きながら自転車こぐのもよく見かけます。安全面では気になる部分ではありますが、唯一おまわりさんに止められるのは無灯火で晩走ることだけのようです。

デンマークでもそうでしたが、ここオランダでも自転車通勤や通学が何の不便なく自然にできる環境があって初めて市民の生活習慣に自転車が定着するのだと感じました。
またこういったオランダの自転車道などへの投資が環境汚染を防ぎ、市民の健康増進にもつながって一石二鳥の効果を得ていることを実感しました。

satoshi

下の写真はコペンハーゲンの朝の通勤の様子

2018.03.10

だれもが、いつでも、どこでもスポーツを

 標題は奈良県のスポーツ振興の為のキャッチフレーズの一つですが、活き活きと安心して健やかに暮らせる健康長寿奈良県をめざし、スポーツによって生活をより充実したものとすることをねらったものです。その施策の一つに、“子どもを健やかに育むスポーツの推進“があげられています。

先日、その展開事業の一つとして、暖かな初春の陽を浴びて県内39の市町村対抗子ども駅伝大会(参加資格;県内在住5~6年生男女児童)が橿原運動公園で開催されました(写真)。大会の運営には、橿原高校をはじめとする地元の多数の高校生がボランティアとして参加してくれ、大いに盛り上げてくれました。選手達が男女チーム一丸となって襷をつないでいく姿は真剣そのもので感動を覚えるものでしたし、その日の活躍は小学時代の想い出となる大会になったのではないかと思います。



  学校の垣根を越えた各市町村の代表ではありますが、北部の都市部では個々にチーム編成が可能なものの、南部の過疎地域では複数の村でチーム編成を行うなどの苦労もあったようですが、チーム成績にそのようなハンディーが必ずしも影響してないように思えました。多くの子供たちは学校ではなく、日頃、総合型地域スポーツクラブに参加しており、そのクラブの数や充実度がそのまま各市町村の成績に表れたような感じでした。異年齢の子ども達に広い運動経験の機会を提供し、選手の育成を目指していく総合型地域スポーツクラブの存在が益々重要になってくると思います(地域の部活とも言われています)。特に施設面よりも指導者の存在が重要であり、それを支える財政的な基盤創りをいかに進めるかが重要な課題となると思われますが、何よりもどのような哲学をもって指導に携わるか(理念)が最も大切と思われます。賛否両論があるかと思いますが、早期に能力発掘=タレント発掘?の一環として、子どものスポーツ英才教育として位置づけるのか、遊びの延長としてスポーツの楽しさや他者との交わりの中で育まれる社会文化的価値の享受として位置づけるのかによりその性格は異なってくると思います。保護者や子ども達の多様なニーズに応えられるだけの資質のある指導者の存在が重要となると思いますが、その育成は、筆者の地元奈良県でのスポーツ振興審議会でも重要な検討課題の一つになっています。(老ブロガー・ハル)

2018.03.09

カイ二乗検定について卒論生にたまに聞かれたので忘備録

お疲れ様です。Hitomiです。
今日はあんまり書くことがないのと、最近ただの日記ばっかりだったので、今年度学生によく聞かれた質問とその答えをまとめて書いておきたいと思います。
先生方や一般の方々にはあまり面白くない記事かもしれませんが、もしかしたら間違っていたりするかもしれませんので、気づいた点があればぜひご指摘ください。
あまりにつまらない、読む気も起こらないと思う方用にジョ〇ョネタを数個入れておきましたので何個あるか自由にお探しください。最後が近づいてきたので大放出です。

質問はこちら。
Q:「カイ二乗検定で有意になった時って、どことどこに差があるんですか?」
→なるほど、t検定を習った後で、カイ二乗検定を習うと混乱するのもしれませんね。カイ二乗検定は期待値と実測値の差の検定です。例をみてみましょう。

  介入有り 介入無し 計
良   ●    ●   60
悪   ●    ●   40
計    50    50

上の表で、仮に介入の有り・無しで体調の良し悪しに差がなかったら、●の値はどうなると思いますか?●に入る値を入れてみてください。

  介入有り 介入無し 計
良   30    30  60
悪   20    20  40
計   50    50

もちろんこうなりますよね。誰だってそーする、おれもそーする。
計が50:50なので、介入有りでも介入無しでも同数になるはずです。
こんな風に「もし差が無かったら、こうなるだろう」という値が期待値です。
実際にデータを取って集計したところ、以下のような結果だったとします。

  介入有り 介入無し  計
良   40    20  60
悪   10    30  40
計   50    50

カイ二乗値は、次の方法で算出します。
・期待値と実測値のズレを2乗したものを期待値の値で割る
・上の値をすべてのセルで算出する
・この値を足す
な…何を言っているのかわからねー…と思うが、私でも分かるのでゆっくり理解してください。

つまり、有意だったとしたら、「期待値との間にズレがある。ということはどこかのセルで度数に偏りがある」という解釈になります。カイ二乗値が有意だったとしても、特定のセルの間の差を示しているわけではありませんので気を付けてくださいね。

ちなみにさっきのデータでSPSSでカイ二乗検定をしてみるとこんな結果が出力されました。

カイ二乗値=16.67,p<.001で有意ですね。
今回は度数が十分なので問題ないですが、度数の小さいデータの場合、イェーツの連続性補正をするべきと言われていますので、その場合は1行下の「連続修正」の部分を見てください。

ちなみに、どのセルで期待値と実測値の間に偏りがあったのかを検討するのは「残差分析」が適しています。SPSSの場合、クロス集計表のボックスのところで「セル」のボタンを押して「調整済み標準化」にチェックを入れれば、ちゃんと残差分析の結果も出してくれるので確認してみてください。


…と、まぁ、説明してきましたが、学生がこんなきれいなデータを持って相談に来ることはほぼありません。持って来るのは以下のようなデータです。やれやれだぜ。(適当に作ったサンプルデータです)

    介入有り 介入無し 
体調良   10    2  
体調中    6     0   
体調悪    4     6  

データ少ない…、しかもゼロがある…。
「先生、これカイ二乗検定でいいんでしょうか…?」
双方不安を感じつつ、とりあえずSPSSで分析すると以下のような結果になります。 


「やった、結果出たッ!分析完!」と言いたいところですが、この場合、下に出ている『4 セル (66.7%) は期待度数が 5 未満です。』は重要な警告です。
このように期待値が5未満のセルが全体の20%を上回る場合、カイ二乗検定は間違った結果を出してしまう可能性が非常に高いです。そんな時はカイ二乗検定ではなくFisherの正確性確率検定をすることが推奨されています。(Cochranのルール)

2×2の表だったらSPSSの「Fisherの直接法」の部分を見れば大丈夫なんですが、例に出した2×3の表のように、セルが多い場合、SPSSではFisherの正確性確率検定はしてくれません。(正確に言うとアドインを追加しないとできないらしいです)

ダメだ、詰んだ…現実は非情である…と、絶望感に浸りたくなりますが、今回はRでできるという情報を見つけました。というわけでRでやってみたいと思います。

Rというのは無料の統計用フリーソフトです。
使い方は長くなってしまうので書きませんが、色んな本が出ていますし、各地で研修会がさかんに行われていますので、ぜひ探して参加してみてください。文系出身、プログラミング経験皆無の私でも1年くらいでなんとなく使えるようになったので大丈夫です。たぶん。Fight!

ということで詳細は省きますが、今、クロス集計表に「dat」という名前を付けた状態だと思ってください。
> dat
   b
a    1  2
  1 10  2
  2  6  0
  3  4  6

以下のように入力して実行すれば、これだけでOKです。
> fisher.test(dat)

ただ、Fisherの正確性確率検定は計算が大変なので時々エラーが出るそうです。エラーが出た場合は以下のようにメモリの容量が大きくなるように指定してもう一度リトライしてみてください。
> fisher.test(dat, alternative = "two.sided", workspace=10000000)
ちなみにalternative = "two.sided"というのは、両側検定をしてね、という意味です。

走らせてみました。出ました!さすがR!SPSSに出来ないことをやってのけるッ!

==============
> fisher.test(dat)
Fisher's Exact Test for Count Data

data:  dat
p-value = 0.02295
alternative hypothesis: two.sided
=======

p値は、p = 0.02295ですね。5%水準で有意です。

ちなみにchisq.test(dat)でカイ二乗検定も出来るらしいのでRでもやってみました。

=======
> chisq.test(dat)

Pearson's Chi-squared test

data:  dat
X-squared = 8.0733, df = 2, p-value = 0.01766

Warning message:
In chisq.test(dat) :  カイ自乗近似は不正確かもしれません
=======

ちゃんとSPSSと一緒の結果になっていますが、警告が出ています。やっぱり今回のデータはカイ二乗検定には向いていませんね。

一見、ほとんど変わらないようにも見えますが、間違った検定をしてしまうと研究の信頼性も下がってしまいますので注意してください。「結果」だけを求めていると、人は近道をしたがるものだ・・・・・・近道をした時、真実を見失うかもしれない。やる気もしだいに失せていく。大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思っている。

ということで、以上カイ二乗検定をする時の注意点でした。ドゥーユーアンダスタン?

まぁ、私もまだまだ勉強中です…。
もうちょっとRを使いこなせるようになりたいなぁ。
ちなみにネタは8個でした!それではまた来週!

Hitomi

2018.03.08

研究会に参加してきました

こんにちは、shinoです。

あたたかい日が続いてましたが、
今週はまた寒いですね。
気温の変化も激しく、体調を整えるのが大変ですね。



今週はまた東京大学に行ってきました。
今までほとんど行くことが無かった東京大学に、ここ2週間で2回目の訪問となりました。

今回はフレキシブル医療IT研究会という会に参加してきました。

経緯はというと、
2月初旬に立命館東京キャンパスで行われた『技術シーズ発表会』で
情報交換をした企業が参加しているということで紹介してもらい、
行かせてもらうことになりました。

この研究会は、東京大学工学部の染谷先生が主催されていまして、
曲げ伸ばしが可能(フレキシブル)な計測機器などを開発し、
医療を中心とした様々な分野で応用できないか、といったことを話し合う会で、
次年度で5年になるそうです。

いろいろな職種の企業からの参加者により、
介護、スポーツ、リハビリなど、
医療系を中心とした様々な分野への適応や応用に関して、
ディスカッションされていました。

私は臨床での仕事が中心なので、そういった機器を開発するというより、
開発された機器をいろいろなことに応用することが役割になるのですが、
これらの機器を使うことができるようになると、
今まで計測できなかったことができるようになり、
新しい発見や、疑問の解明ができるのではないかと
思うことができるような内容でした。非常に興味深いものでした。

これらの機器は、まだ研究段階のものですが、
是非実用化されるように頑張って欲しいと思います。

やっぱり日本のもの作りはすごいなと感心させられました。
非常に勉強になった研究会でした。


2018.03.07

Ba-Na-Na

3月になり、バレンシアは爆竹シーズンに入りました(この話は次回あたりに…)。
弥生の月までバレンシアで過ごしたのかぁ…と、しみじみ思うことが増えてきました。この土地で暮らす中で、私を悩ませてくれたスペイン語の単語や発音は数知れず…。その一つは、一見シンプルな単語「バナナ」です。

現地に来たばかりの頃、バナナの単語を覚えるのにも苦労し、カフェテリアのおばちゃんが、発音はこうよ!と教えてくれて、素早く忘れると、傍で食べている院生たちが繰り返してくれたのを思い出します。市場に行くと、姿は同じバナナですが、札に書いてある文字が違って混乱していました。教えてもらった単語 ”バナナ” は、いったいどこの言葉か?公用語が複数ある国だからか?どれを使うのが一番通じやすいのか、と。

どうやら、市場の場合は、複数の公用語を使い分けているというよりは、普通にそのまま食べるバナナ用、料理用の区別がしてあるようです。それぞれの中にはまたいくつか種類があり、お客は用途・好みによって買い分けている、というわけです。
(表示にいろいろな表現が…右下にりんごFUJIも見えますか?)

地域によってPlatanoの登場率が違っている他に、Platanの方がBananaよりも、なぜか、キロあたりの値段は(どこのお店に行っても)高いのです。Platanoの方が美味しいからという人もいますが、実際のところはどうなんでしょうか(食べ比べはまだできていません)。

トマトも同じように、サラダ用、バケットに合わせる擦りトマト用と分けてあります。赤黒い色のトマト、いびつな形なのにとても味のよい品種のトマトなど。元気に、陽気にしてくれるものが、市場にたくさん並んでいます。
(下の真ん中:突如、街中に現れることがある巨大オブジェ…移動することもあって不思議な存在)

品種とその表記ともに、その並べ方にも拘りがみえます。芸術的にディスプレイしたお店もありますし、実に丹念に、並び上げたお店もあります。日本には日本流の、さりげなく美しく見(魅)せる工夫がなされているように、スペインにも、元気に明るい生活空間になるように見(魅)せる工夫が、生活の中に根付いて存在します[クリスマス時期になると、朝早くに、あちらこちらにポインセチアを一株ずつ植え込んで回っているのには驚きました]。ひと手間の一つ一つが、“陽気な国・地域” に見(魅)せるのに貢献しています。それが文化なのでしょうね。

ここに来て、「言葉を理解すること」が、「その土地や人の考えを理解」し、「お互いの情報交換を円滑にする」と実感します。それぞれを促すのは、「コミュニケーションをどれだけとるか」ということも。
実は、このことが最近の論文で報告されていて、とても納得しました。興味のある方はどうぞ!

【参考文献】Peltokorpi, V., & Yamao, S. (2017). Corporate language proficiency in reverse knowledge transfer: A moderated mediation model of shared vision and communication frequency. Journal of World Business, 52(3), 404-416.

もしそうだとすると、言葉を理解し使いこなすまで(慣れない間)、いかにコミュニケーション量を増やすのか?は、次なる課題になりそうな…。

ippo

2018.03.06

鳥取県学校視察

 一気に春・・・と言った気温になり、日曜日は各地で20度を超え、九州では「夏日」となった所もありました。そのせいか今日は、少し肌寒く感じますが、最高気温は10度を超える様です。

 月曜日、鳥取県境港市を訪れました。ご存じの方も多いと思いますが、境港は「ゲゲゲの鬼太郎」で有名な水木しげる氏が住み・執筆活動をしていた所です。氏が幼い頃、祖母に連れられて訪れた「正福寺」にあった「地獄図」を見て、地獄や妖怪に興味を持ったと、数年前に境港を訪れた際に聞きました。当時、正福寺住職の奥様が境港市の教育委員をされていたので、その縁で訪れ色々な話を伺いました。

 今回訪問の主目的は、境港市立境小学校の校長先生からの情報取集と体育授業参観でした。校長先生は、鳥取県教育委員会で要職を務められた方で、その経験も踏まえて「教員研修」「体育授業研修」について現状と課題を伺いました。

 また体育授業は、小学校二年生の授業を見せて頂きました。
 授業で使う道具の準備や後片付けを全員が協力して行ったり、運動の成果を仲間同士や全体の場で互いに評価することが出来ていて、運動を通じて話し合い活動も積極的に行われている授業を見せて頂きました。
 小学校へ入学してまだ2年目ですが、先生の指導の成果だと思いますが、学習に向かう態度を身に付けさせていること、また先生と児童の関係が良好だという事が理解できました。

 その後、境港の「水木しげるロード」散策でもと思ったのですが、春の嵐が吹き荒れていて、普通に歩くこともできず、一枚の写真をとるのがやっとの状況でした。しかたなく、境港駅からJRで米子にバタバタと移動して帰路につきました。

【司】表紙の写真は「伯耆富士」と呼ばれている「大山」です

2018.03.05

YMFSスポーツ・チャレンジャーズ・ミーティング


 2018年3月1日-2日、YMFSスポーツ・チャレンジャーズ・ミーティングが、熱海で開催されました。ミーティング初日の3/1は、写真にあるような「春の嵐」で海もあれていました。
ミーティングでは、2018年度から1年間助成を受けるチャレンジャーたち(12期生)の助成金贈呈式とともに、2017年度に助成してもらった体験チャレンジャー、研究チャレンジャーの報告会もあります。今回は、平昌オリンピック直後でもあり、チャレンジャーであった、スマイルジャパンの竹内選手の報告会もありました。
   

 さらにはスポーツをより深く学ぶためのスポーツ討論会、特別講演もあり、若いチャレンジャーたちにとっては大きな刺激です。この1泊2日の合宿形式のミーティングには、財団の理事長をはじめ、審査委員の先生方も泊まり込みで、会議室以外の食堂、お風呂などでもコミュニケーションとともに、ディスカッションが繰り返されます。
 当方も時間の都合のつく限り、これまでも参加しており大いに刺激を受けるとともに、チャレンジャーにできる限りのアドバイスもさせてもらっています。

   

 今回、第12期生を代表して決意表明したのは、写真に写っている中学3年生。中学を卒業したら、フランスにわたり、プロの自転車競技選手となり、将来、ツールド・フランス総合優勝する、という夢を語ってくれました。



 また、今回、えらればれた12期生には、大学院D2の水野さん、ドクターを修了する阿藤君、ドクターをでて、法政大学で勤務している森嶋君がいました。頼もしい限りです。来年の発表を楽しみにしています。

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>
春の嵐(春一番)が到来し、これから春本番です。3月の卒業式、学位授与式そして桜満開の入学式へと続きます。同時に、年度末ですので、教職員は一番忙しい月を迎えています。みなさん、体調管理にはくれぐれもご注意ください。
【忠】

2018.03.04

ユトレヒト訪問

先日、オランダのユトレヒト(Utrecht)に行ってきました。

ユトレヒトはオランダで4番目に大きな都市で、ユトレヒト州の州都です。もともとは宗教の中心の街として有名だったようで、今でもオランダ国内の主要な幾つかの宗派の事務局がユトレヒトに置かれているようです。
ユトレヒトにあるドム教会の大聖堂の塔はオランダで最も高い教会の塔だそうで、112mの教会の高さ(フィットネストラッカーで計測したところ運動量にして23階分の階段)を超える建物は未だに廻りになく、大聖堂以上の高さの建物を建てるべからず、という暗黙の了解が今も守られているとか。

ドム塔の頂上まで上がることができるのですが、必ずツアーに参加することが義務づけられています。なぜ?と最初は不思議に思ったのですが、実際に参加してみてその理由がよく分かりました。塔の頂上までは全てらせん状の階段で繋がっており、体力的に一気に上るのが困難であること、また階段の通路の幅も狭いので、階段をのぼるグループと階段を降りるグループを分けて混雑を避けているようでした。しかし、長い階段を上った後にあるドム塔からの街の眺めは圧巻でした。

ユトレヒトも河川沿いに多くの店やレストランが建ち並び、人通りも河川沿いに多いのが特徴です。こういう街にも住んでみたいな〜と思わせる雰囲気です。



ユトレヒトが世界的に有名なのは何と言ってもかの有名な「ミッフィー」(ミッフィーは英語名で、オランダ語ではNijntje”ネインチェ”または”ナインチェ”です。ベルギーやドイツを含むヨーロッパではネインチェでとおっているみたいです)を描いたデザイナーのディック・ブルーナ氏の出身地であることでしょう。

ユトレヒトの街中でミッフィーを見かけます。ナインチェ博物館は最近建て替えられたらしく、ミッフィーデザインの遊具が揃った子ども遊び場と、ブルーナ氏のアトリエや作品を展示している建物が別々になっていました。

またユトレヒトにはドム塔に隣接するようにしてユトレヒト大学があります。オランダで3番目に作られた公立大学としてその歴史も特徴的ですが、それ以上に様々な分野での研究レベルの高さに驚かされます。これまで数多くのノーベル賞受賞者を輩出してるだけでなく、自治体と大学が連携する形で積極的に国際的な産学連携にも取り組んでいる大学でもあります。

歴史的な佇まいの中に最新の科学も集積されている、ユトレヒトはそんな不思議な街でもあります。

satoshi

2018.03.03

弥生三月

 ここ数日穏やかな早春の陽光に誘われ、昼食後キャンパス内を散策しながら、枯れた芝生の間から名も知らない緑の野草の芽吹きに春の気配を感じています。3月に入る頃には高校生の卒業式がほぼ終わるせいか、いつもの通勤電車で会う高校生の数も少なくなり、代わりに真新しい黒い鞄を持ったリクルートスーツ姿の大学生が、会社説明会に出席のためか、スマホの操作をしている光景を見かけるようになりました。

 先日閉会したピョンチャン・冬季オリンピックで魅せた選手の活躍の余韻がまだ続いていますが、我々の世代では冬季オリンピックというと47年前に開催された札幌オリンピックでの、“日の丸飛行隊”と呼ばれた笠谷、金野、青地の3選手が70メートル級ジャンプで金、銀、銅のメダルを独占し、3本の日の丸が掲揚された場面が今なお鮮明に思い出されます。また、この大会は、アマチュアリズムの権化ともいわれた当時のIOC会長(アベリー・ブランデージ)と、FIS(国際スキー連盟)をはじめとする競技力向上のために商業化を推進するグループとの対立が明らかになった点でも、体育史的には今日の商業化への分岐点になった大会とも言えるのではないか思います。多くの世界大会への出場、競技力の向上には多額の費用を必要とすることは明白であり、スポーツの発展は一人スポーツ界の発展・興隆だけでなく、社会経済的な発展、社会環境の豊かさにもつながることは、スポーツ関連産業数兆円と言われていることからも明らかです。原理主義的な狭いアマチュアリズムでは、スポーツはごく一部の特権的な階層(ステート・アマも含め)のみで行われ、今日のような発展は望めなかったのではないかと思います。

 まだ、少なくなったとはいえ遠くの山々は雪を頂いており、時折冷たい風が通り抜ける中、学内では、多くのクラブが来シーズンの活躍に向けて本格的な練習が始まっています(写真)。毎年繰り返される光景とはいえ、人は入れ替わり、また、昨日と違う自分の取り組みを実感しつつ日々の練習に励む姿には、一つの区切りと新たな挑戦に向けた元気がもらえます。(老ブロガー・ハル)


2018.03.02

日本語ムズカシイネー

Hitomiです。
英国には「3月はライオンのようにやってきて子羊のように去っていく(March comes in like a lion, and goes out like a lamb.)」ということわざがあるそうです。(ちなみに漫画「3月のライオン」の由来なんだとか)
『いやいや、年度末だし、どちらかというと3月末のほうが慌ただしいのでは…』と思ったのですが、よくよく調べるみると、これは3月の天気を動物に例えた言葉でした。
ライオンのように荒れた天候の日が続いた後、子羊のような穏やかな天気に変わっていくことを表しているそうです。
そういう意味では、先日まさに「ライオン」のような天気でしたね。風がびゅうびゅう吹いて、まさに春の嵐といった様子でした。暖かくなってきたとはいえ、まだ油断ならない時期ですので、皆さんも体にはお気を付けください。

そんな春の嵐の直前、週の頭に高知県に行ってきました。夏にも行きましたが、今回は読書会ではなく研究の打ち合わせです。いつもなら土讃線「南風」に乗って若干電車に酔いつつ瀬戸内海の眺めを堪能するのですが、今回は日帰りなので飛行機で一直線です。
高知竜馬空港を利用したのは初めてでした。さっそく坂本竜馬発見。


市内までバスで30分とアクセス抜群です。今度はアンパンマンを発見。高知県、キャラ?が豊富です。


「今日は日帰りです」と言ったら、先輩方がお昼ご飯にひろめ市場に連れて行ってくれました。

何度食べても、高知のカツオは美味しいです。ただしアルコールはもちろんお預けです(涙)

相変わらず食事のことばっかりで恐縮ですが、その後ちゃんと打ち合わせもして、トンボ帰りでカツオ…もとい、高知を後にしました。

というのも、翌日はFD研修会だったからです。火曜の司先生の記事でも触れられていましたね。
色々なお話や議論があって大変興味深かったのですが、個人的に特に「へぇ!」と思ったのが【敦】先生が紹介していた「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」(新井紀子著)という本でした。

この本の著者は「東ロボくん」プロジェクトを牽引する著名な数学者の先生です。
本では、プロジェクトから明らかになったAIの限界について述べられており、すべての仕事をAIに奪われてしまうかもしれないという危機よりも、AIに出来ない仕事をAIの代わりに出来る人間が果たしてどれだけいるのか、ということが問題であると指摘されています。この「AIに出来ない仕事」こそ、本来人間が得意とする「意味を読み取る」ことなのですが、若年者のデータから子どもの読解力が低下していることが明らかになっており、教育の在り方を今一度見直す必要がある…といった警鐘を鳴らす内容になっています。

早速Kindleでダウンロードして、読んでみました。
ものすごく分かりやすい文章です。一気に読んでしまったため、今、寝不足です。
以前から気になりつつも難しそうな話だなぁ…と避けていたAIや機械学習、ディープラーニングの話なども一緒に理解することが出来たので本当に読んでよかったです(…というか、今書きながら『私の数学の苦手意識も読解力のせいでは…?』と不安になってきました)。

本の中で驚いたのは、この読解力を身に着ける方法が実はまだ分かっていないらしいということです。「最近の子は本を読まないからね~」なんて言ってしまったりしますが、読書量とは相関がなかったという結果に驚きでした。ただし、読書と全く関係がないわけではなく、1冊を熟読することのほうが重要かもしれない、というような可能性が述べられています。

たしかに、最近は「分かりやすい」至上主義だなと思います。授業でも「分かりにくい」=「教え方が悪い」と内容の難易度関係なく評価されてしまっているような気がすることがたまにあります。もちろん、分かりやすいものが悪いなんてことは絶対にありませんが、定期的に複雑だけど論理的な文章にもチャレンジして頭を使っていかないと、あっという間にAIに代替される人間になってしまうのかもなぁ…と危機感を持ちました。

自分のゼミ生を持ったばかりの新米大学教員としては、やはり自分が育てた学生が社会で活躍してくれることが第1の目標です。
分析の方法や卒論の書き方といったテクニカルなことだけじゃなく、もっと真に教えるべきこと、伝えたいことを明確にしていかないといけないと改めて感じた1日でした。

Hitomi