みなさん、こんにちは。嶋村です。相変わらず忙しいので今日もさっくり行きたいのですが、まあ2週連続で内容が薄いのもアレなんで、少しだけちゃんと書きます。。。
僕が担当している P は来週から発表になります。というわけで最近学生さんが僕の研究室によく来ます。授業の最初の方でも言ってたんですが、「ギリギリになって持ってこられても困るよ~」という人が結構います。あれだけ、「早め早めの行動を!」って言っていたのに何なんでしょうかね?それで今回は(忙しい中 笑)3つほどその理由を考えていました。1つ目は単純に他にクラブなど優先することがある場合です。まあここは大学なんで、僕としては到底受け入れられませんが、まあ理解できなくはないです。あとの2つはちょっと長めに書きます。それで今日は「その2」を書きたいと思います。
その2:単純な Procrastinate
Procrastinate の意味は「引き伸ばす」ですが、我々言語学者(生成文法家)はしばしば「先延ばし」の意味で使います。というのも僕がやっている生成文法の 90 年代の理論的枠組みで Procrastinate という名前の原理が文法モデルで使われていたからです。具体的には、「統語操作において顕在的 (overt) な素性照合 (feature checking) は、 照合される素性に随伴 (pied-pipe) して XP 全体の Agr などの機能範疇 F の指定部 (Spec-FP) への移動を誘発するため、非顕在的 (covert) に XP の素性のみを移動させて素性照合した方が経済的である。よって、素性照合はできるなら構造は音声的に排出(Spell-Out)する後まで先延ばしにして、非顕在的に実行する方が経済性の原理 (Economy Principle) に合っている」というものです。何のこっちゃ?(笑)
まあとりあえず、統語(文法)操作はあとの方がいいよって話です。こんなこと言うと他の研究者に怒られそうですが、このブログを読んでる言語学者なんて多分いないので、こんな感じでいいです。1995 年当時のチョムスキーという言語学者の文法モデルでは(今日の写真)、辞書 (Lexicon) で単語を選んできて統語(文法、Syntax)部門で構造を作って、Spell-Out という操作でそれを PF(音、つまり発話)と LF(意味、つまり解釈)に送るって感じです。ここでのミソは LF へ送ってもその後音には反映されない文法操作ができちゃうってことです(LF は統語の一部と考えられているので)。でさっきの話はなるべく発話では表現されない文法操作をしましょうっていうことなんですが、つまり、実際に我々が耳にする発話とは合わないとような文構造を Spell-Out 後に何かしらの文法操作で作っても大丈夫なんです。で、90 年代に(今でもですが)、「まあね僕の理論は言語現象を解釈をうまく説明できるけど、実際の発話の語順とはあわないんだよね。だから LF やってんじゃね?」的な仮定が様々な論文で乱発し、LF(PF も)は分析でうまくいかなかった部分のゴミ箱的な存在になってました。。。まあ今はもう少しマシだと思います。
それで、まあ以上のことを P 風に言うと「P の研究内容や英語を先生に見てもらうのは、先生に見てもらう原稿とともに自分の身体を随伴した先生の研究室への移動を伴うため、メールで見てもらうファイルを送った方が経済的である。さらに細かく分けて送るよりも最後に一気に送った方が、オレさま(アタシ)の手間が省けてより経済的である」的な原理が働いているのでしょうってことですね(笑)。ただし、これは僕の負担がすごく大きなって大変困ります。
ちなみに先ほどのゴミ箱の話にもつながりますが、「やはり統語構造の派生(derivation)が経済的と言っても、LF や PF で修正してくれるって仮定すること自体がまずいんじゃないの?」って、だいたい 2000 年代になって研究者が気づいたので、大きく文法モデルが変わりました。で大雑把にいうと「構造を細かく分けて LF/PF に送ろうぜ!」ってことなんですが、その細かい単位を位相 (phase) と言います。なんで、P も derivation by phase でやって欲しいですね(笑)。
ここまで書いて「僕、何やってんだろう?」ってなったので、これでやめます。多分疲れてますね。じゃ、自分の論文に戻ります、てか家に帰ります。。。