大学調査の3つめ、最後の訪問都市は、コロラド州・コロラドスプリングスでした。ご存じのように、ロッキー山脈に囲まれた土地で、アメリカ・オリンピック・トレーニングセンターがある場所としても有名です。
コロラドでの訪問先は、USOC(アメリカ・オリンピック・委員会)、UCCS(コロラド大学・コロラドスプリングス校)、UNC(ノーザンコロラド大学)の3カ所で、いずれもスポーツマネジメント系の「インターンシップ」についての調査でした。専門家の【仁】先生がインタビューしてくれました。また、今回の訪問にあたっては、アメリカバレーボール協会で働いている内藤さんに随分お世話になりました。
USOCでは、インターンシップ担当の人事係の方と面談しました。USOCとしては、「良い経験の提供」を考えていて約3ヶ月のインターンシップを、年に3回行っていました。各期間のインターンシップの枠は30名で応募者は1200名前後あるそうです。選考には、それまでの学び、GPA、経験などを総合評価しているようです。いわゆる履歴書(resume、レジメ)が非常に重要になっていて、USOCでは、インターンシップフェアのようなものも開催し、レジメの書き方も講習していました。インターンから、正式にUSOCに採用されることもあるそうですが、その競争率も極めて高く30人に一人。写真の女性たちは、インターンシップから採用された二人と現在インターンシップ中の学生さんでした。経験者、経験中の彼女たちに、インターンシップを経験して何が良かったですか?の質問に、「本当の仕事を体験させてくれること、ネットワークづくり」を共通してあげていました。
UCCSでは、インターンシップ担当のイアンさんにインタビューさせてもらいました。このスポーツマネジメントプログラムの学生は、3回生、4回生でそれぞれインターンシップを取ることが必修となっています。コロラドスプリングスの特長を生かして、USOCをはじめスポーツ種目の全米協会、プロスポーツ、大学のアスレティックデパートメント、スポーツ産業などを実習先としています。講義で学んだものを実習で活かし、また実習先での学びを講義と関連づけて考えることを体験学習させます。UCCSでは、PGA(全米プロゴルフ協会)との契約で、PGAに関わるインターシップも持っています。実際に、このインターンシップのあと、ゴルフ関係の仕事に就く学生が多いとのことでした。
UNCでは、スポーツマーケティングでは非常に著名なStotlar教授にインタビューさせてもらいました。ここでは、学部のスポーツマネジメントプログラムはなく、大学院の修士課程が中心でした。修了要件として、インターンシップを行うか、修士論文を提出するかのどちらかを選択します。修士の学生25名の大半がインターンシップを選択肢、270時間以上のインターンシップを行います。行き先はUCCSと同様ですが、ここにはスポーツマーケティング研究センターがあり、企業・団体から調査依頼を博士院生と修士の院生が中心に切り盛りしていて、その調査研究の経験・経歴を武器に、インターンシップに出かけることが多く、そのことがインターンシップで大いに役立っているとのことでした。インターンシップで身につけられる力は、コミュニケーション、各種スキル、そしてネットワークづくりである。インターンシップへ行く学生に、Stotlar教授は、
"You build your brand!" といって送り出すそうです。あなた自身が自分のブランドを築くように、しっかりやってきなさいというメッセージでしょう。
インターンシップについて、多くの学びとアイデアを積み込むことができました。受け入れ先、就職のプロセス、文化の違いなどはありますが、日本流、立命流にアレンジして、学生が自らの大きな成長につなげていけるようなインターンシップづくりを考えていきます。
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UCCSのキャンパスはあらゆるところから、パイクスピーク(4200mの山)の雄大な眺めを堪能できます。大きな気持ちと大きなビジョン、目標をもつきっかけが目の前にあります。大学のモットーに「Reach Higher」とありました。パイクスピークを見ながら、より高い自らの頂きを目指せ、ということでしょう。
【忠】