2010.09.18

知的好奇心をくすぐる...2つの学び

一生感動、一生勉強...

(どこかでよく似たフレーズを耳にされた方もいらっしゃると思いますが...)

 

いくつになっても感動するということは、大切です。それと同様に、"知る"または"知的好奇心"をくすぐるような機会を持つことは、天命を終えるときまで成長し続ける我々人間にとって、本当に大切なことです。

 

今週、2つの学びの機会を得ました。

 

1つは、「立命館大学スポーツマネジメントスクール」が今週から開催され、プロスポーツチームのGMや民間企業のマーケター、また財団法人のマネジメントを統括するリーダーや弁護士などといった方々が参加する3ヶ月間のセミナーに、立命館大学の大学院生とともに、私も聴講させていただき、学びの機会を得ることができました。

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このセミナーを主宰されているのは、本学の客員教授で、スポーツメディア論などの授業も担当していただいている多摩大学の広瀬一郎先生です。広瀬先生は、電通で長くスポーツマーケティングに携わっておられ、特に2002年のサッカーW杯の招致には多大な尽力をされた方です。

 

私が大阪体育大学で研究員をしているときに、恩師の原田宗彦先生の代理で経済産業省関係の会議に出席したときに初めてお会いし、それ以後、アドバイスをいただいている先生です。

 

広瀬先生は、スポーツビジネスに精通するだけでなく、スポーツをすることによって育むことができ、かつそれが社会人にとって、欠くことのできない素養や資質につながる「スポーツマンシップ」の重要性を主張されており、この数年間は、特にスポーツ界から発信できる社会人教育や人材育成に力を注いでいらっしゃいます。

 

今週の講義で広瀬先生から学んだ中でも、特に印象に残った3つのことは...

1.言葉の大切さ

広瀬先生が学生時代に、先輩から「ボキャブラリーは思想だ!」ということを教わったらしいのですが、確かに言葉は大切であり、言葉に対する共通理解が人々の間に進めば、コミュニケーションはスムーズになり、また意思決定も速くなります。そのためには、言葉は大切に使わなければなりませんし、共通理解を図るためには、その言葉の定義も厳密にならなければなりません。全ての人たちにとって、言葉は当然大切ですが、研究や科学、また教育に携わる我々は特に、このことを肝に銘じなくてはと痛感しました。

 

2.Howではなく、Whyからスタートする

我々は、ついつい、物事を考える際に、その方法論ややり方のことを気にしがちですが、大切なのは、"なぜ、それをするのか"または"それをすることにどの様な意味があるのか"ということです。つまり、"どのように?"ということを考える前に、"なぜ?"ということを考えなければなりません。身近な事例で考えれば、「5分前集合」や「5分前行動」ということを、我々は学校や部活動などで、経験していることと思いますが、これにはどの様な意味があり、なぜそれをしようとするのでしょうか?私も含めて、多くの方々は、5分前集合に遅れてはいけないということが先に立ち、遅れないようにすることが行動の目的となっていたという経験がないですか?「5分前集合」をすることには、当然、意味があるように、我々人間の行為には、全て意味があり、その意味や目的にしたがって、行動が生起するはずです。目的のための手段そのものを、目的化させない...。改めて大切なことに気づきました。

 

3.行為は、"成果"によって定義される

"手段を目的化させない"ということと、よく似たことなのですが、人間の行為や組織の行動は、成果によって定義づけられるということです。これは、"経営学の父"と呼ばれるピーター・ドラッカー(彼の専門は、本来、社会動態学ですが...)が述べた言葉です。全ての出発は、成果にあり、その成果を何に求めるか、また何に求めるべきかによって、我々の行動は規定されます。そして成果を上げるために我々は、直面する課題を解決する必要がありますが、その課題や内在する問題の原因とその解決策を考える際に我々は、問題や解決策を構造的かつ体系的に捉えなければなりません。成果を定義づけること、またその成果を導くための方法論を構造的かつ体系的に考えること、まさにこれは、いまの私の仕事にとって、欠くことができません。もちろん、これは私だけにあてはまることではなく、全ての人にあてはまることだと思いますが...。

 

2つめの学びの機会は、大学院生を対象に私自身が企画した特別講義です。

びわこ成蹊スポーツ大学で教鞭を執られている吉田政幸先生をお招きし、「スポーツマネジメント研究の動向」というお話をしていただきました。吉田先生は、筑波大学で学ばれた後、アメリカに渡り、フロリダ州立大学でスポーツマネジメントの博士号を取得され、我々の分野では、権威のある学会の1つであるNSSAM(北米スポーツマネジメント学会)で学生部門の研究コンペティションで最優秀賞を、日本人で始めて受賞された大変優秀な方です。

 

講義は、"Research"という言葉が、"re:再び"と"search:探求する"という2つの言葉から成り立ち、研究とは、繰り返し繰り返し、探求し続けることだというお話に始まり、現在、修士論文のリサーチプロポーザルを作成している大学院生にとっては、勉強になる話ばかりでした。

当日は、"志ある"スポーツ健康科学部の1回生6名と、来年の4月から我々の大学院に進学をする経済学部の4年生も加わり、大変有意義な時間を過ごすことができました。

吉田先生の特別講義の内容は、通称"ブログオヤジ"の【智】先生が来週のブログで、画像を交え、詳細について紹介してくださると思います(笑)。

 

 

今日は、スポーツ健康科学研究科、大学院入試の日です。我々とともに、研究したいという志のある方々が現在、受験をされています。

落ち着いて、この日のために積み重ねてきたことを存分に発揮し、来年の4月に元気に会えることを楽しみにしています。そして入学すれば、今日、ご紹介したような様々な学びの機会、そして皆さんの知的好奇心をくすぐるような機会を提供したいと思います。

 

受験生の方々、がんばってください!