[ 2016年08月 ] の記事一覧

2016.08.31

お守り(lucky charm)の心理

みなさんの「ここぞ!」という場面は何です(でした)か?
そのとき、何か「お守り (lucky charm)」を持っていきましたか?身に着けましたか?

オリンピックやパラリンピックが行われ、これからシーズン/試合を迎える部活動もあります。
選手によって、シューズの色やアクセサリー等、目につきやすいものやそうでないもの…いろいろ拘りがあるかもしれません。

数日後に近づいた学会に向けて、ふらりと準備をしていたときにみつけた論文(残念ながら、学会の内容とは関係がなく・・・)に思わず立ち止まったので、内容を簡単にご紹介します。

実験参加者(被験者:大学生)たちは、「実験の時に、あなたのお守りを持ってきてくださいね」と伝えられました。
実際に、実験に参加するために集まった大学生たちは、実験者からそのお守りのことについて質問され、その後お守りの写真を撮ることを理由に、実験者が別室に持っていきました。
この後、一つの条件(実験群)では、その後のパフォーマンス測定(記憶課題)を行う前にそのお守りが本人に戻されました。が、もう一つの条件(統制群)では、カメラの不調で撮影に時間がかかっているからと言われ、お守りは手元に戻らないままパフォーマンス測定の課題に取り組むことになりました。

その結果… お守りを持って課題に取り組んだ大学生たちは、持たずに取り組んだ大学生たちよりも課題の成績が良かったのです。



心理学っぽい疑問は、「どうして“お守りを持つと、パフォーマンスが良くなるのか?”」ということです。
もっと言うと、「幸運を呼び込むためにお守りを持つ」という不合理的な思考や行動(superstition)が、なぜ合理的であるかのように世の中に存在しえているのか、ということです。

このことについて分析や実験は続いていて、この研究論文では、お守りを持つ群では「有能感(self-efficacy)」が高まり、パフォーマンス向上をもたらしたことを明らかにしています。

さらに、この有能感はどこから来ていたかと言うと、お守りが「課題に粘り強く取り組ませる」ことによる(目標を高く持つことによるのではなく)、という結果でした。

何か拠り所になるものが、私たちの心に元気と調和をもたらしてくれるということでしょうか。
皆さんの心に元気と調和を与えてくれるもの・ひとはなんでしょう?

(日差しが秋めいてきましたね)

ippo

【参考】Damisch, L., Stoberock, B., & Mussweiler, T. (2010).“Keep you fingers crossed!” How superstition improves performance. Psychological Science, 21(7), 1014-1020.
 superstitionは、バスケットのシュートを打つ前などに行う「ルーティン」とは、異なるものだということも述べてあります。興味のある方はぜひ。

2016.08.30

ダリ展

秋が近づき、台風が矢継ぎ早に列島に襲来し、地域によっては警戒が必要となっております。
当該地域の方々は是非ともお気をつけてください。

先般、京都市美術館で開催中の「ダリ展」に行ってきました。
ダリは、スペインを代表する芸術家であり、「溶ける時計」などの有名なモティーフで、よく知られています(特徴的なダリのヒゲもまた有名です)。これ以外にも多くの作品を残しており、今回の展覧会では、およそ200点の作品が、ダリの生涯をたどる形で展示されています。




ダリといえば、「シュールレアリスム」が思い起こされ、本展もこうした作品を期待していったのですが、これはダリの生涯のなかのある特定の時期の表現法であり、初期や晩年はまた違った表現法をとっていたことがわかりました。また、その表現法も、フェルメールに影響を受けた光の解釈表現や、ピカソらのキュビズム、科学技術の発達(なかでも原子物理学)に影響された抽象的表現に傾倒したりと、その作風は、めまぐるしく変化しているように見受けられました。また戦後に、オブジェ、ジュエリー、映像作品にも挑戦した多才ぶりにも圧倒されました。


こうした生涯を通じたダリの作品をみて、これまで私が持っていた「みずからの表現法を追求して奇抜な「シュールレアリスム」の表現法を世に問うた奇才」というイメージは一面的なもので、ダリ自身は、常に世の中の動きを敏感にとらえ、それに刺激を受けて愚直に自らの表現法を刷新していき、そして故郷で愛するものを思慕しながら、生涯を閉じるという極めて人間臭い存在であったことがわかり、どこか親しみのようなものを感じました。


会場には、親子連れからご年配の方々など、非常に幅広い世代の方がいらっしゃっており、みな熱心に鑑賞されており、作品がもつ魅力に入り込んでおられるようでした。
これだけの作品群が一堂に会すことは珍しいようです。たまにはこうした芸術作品に触れて、いろいろな刺激を受けることもよいかもしれません。


※追記
いよいよ多くの学校で夏休みが終わる時期となり、児童らの早起きの習慣を取り戻すため、一度中断していた朝のラジオ体操が復活しているようで、朝早くからラジオ体操の音が聞こえてきます。首から下げたカードにスタンプを押してもらうのを楽しみにしていた子供の頃を思い出しました。



【ken】

2016.08.29

久しぶりの 富士山 スナップ写真

大学の業務の方は、先週あたりから本格的に稼働しはじめました。教職員のみなさんも、それぞれに思い思いの夏休みを過ごされていたようです。

想いでのつまった素敵な写真もたくさん見せてもらいました。もともと「写真」を撮るのも、観るのも好きな方なので、素敵な風景写真を観ると、みとれてしまい、行って撮ってみたくなります。


東京には、新幹線を使って何度も行きます。できるだけ、富士山が見える側の席を予約して、富士山の景色を眺めるが出張の楽しみであります。ただ、書類を読んだり、パソコンをぱちぱちなど仕事をしていて見過ごすことも多々あります。また、今日こそはと気合いをいれて、待ちかまえていても、天気が悪かったり、かすんでいたり、夜だったり、ということで、「バッチリ」な富士山を眺めることはそう多くはありません。

それから、やはり新幹線「のぞみ」は素晴らしく速いので、富士山を眺めたり、写真を撮ったりするには、慌ただしい時間となります。じっくりみるには、「こだま」がお勧めです。

というような話しの流れで、本日の一枚です。久しぶりに、新幹線から、「バッチリ」な富士山が撮れました。雄大さ、気高さ、優雅さ、・・・・形容詞がいくつも浮かびますが、圧倒される景色です。

いつも新幹線(静岡側)からみる富士山ばかりなので、今度は山梨側からも撮影してみたいですね。

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>
先週、日本体育学会が大阪体育大学で開催されました。これから秋、冬にかけて学会が目白押しとなります。私が関係するところで、日本バイオメカニクス学会(立命館大学びわこくさつキャンパス)、体力医学会(岩手)、日本トレーニング科学会(横浜)、日本バイオメカニズム講演会(富山)など。その他、国際会議も複数あります。暑い夏の仕込みが、秋に実るように、研究室の成果もたくさん発信できるようにと願っています。
【忠】

2016.08.28

ハワイ大学看護学部のナーシング・シュミレーション・ラボ

夏休み期間はビーチや観光地に行くことが多く
ここ2週間ですっかり焼けてしまいました。
ほとんど現地人と変わらないくらいで
観光客の外国人に道を尋ねられることが多くなりました。

さて、今回はハワイ大学マノアキャンパスにある
看護学部のナーシング・シュミレーション・ラボをご紹介します。
シュミレーション・ラボは、医療現場に行くことなく
医療実習を行うことができる施設で、マノアキャンパスには看護用の
カカオカの医学部には医師用のものがあります。
ハワイは小さな島国ですので医療施設も限られており
医学部や看護学部の学生さんの実習機会も少ないため
このような施設が充実しているようです。
学生の実習の25%はこの施設で行われ、基礎技術を習得したのちに
実際の医療現場での実習に進みます。



今回の訪問は、現地でお世話になっているC先生のご紹介で
大阪大学大学院医学研究科のS先生と兵庫県立大学看護学部のO先生
と一緒に見学させていただきました。
ご案内いただいたのは、ハワイ大学マノアキャンパスシュミレーションセンターで
准教授をされているローリエ・ウォン先生でした。



近年は、チーム医療が勧められていることからシュミレーション・ラボは
看護学部だけでなく、医学部、薬学部の学生も授業で使用します。
患者用の人形は、しゃべることができますし、呼吸も脈もあります。
ペンライトを使うと瞳孔も閉じたり開いたりします。
ワイヤレスで全ての人形がコンピューターでプログラムされています。
このプログラムによって、交通事故や津波など
様々な患者のシチュエーションを選択できます。
1年ごとに更新されるらしく、最近ではテロ後の患者などもあります。
人形は大人だけではなく、新生児などもありました。
実際の実習ではその時で決まった症例しか体験することができませんが
シュミレーションですとどんなパターンでも実習することができ
また、みな同じ条件で行えるので、正当な評価ができるそうです。

見学のついでにマノアキャンパスのスポーツ施設も体験してきました。
最近できた施設のようで新しく、トレーニングルームの他に
ロッカールーム、体育館、トラックがあります。
会員制ですが、ビジターでも1日5ドルで使用することができます。
多くの学生が汗を流している中にまじって、
自転車漕ぎとトラックでのウォーキングをしました。

Good day!

sana

2016.08.27

鍛えの夏! ゼミ学部生編


とうとう、8月も末になってきました。
最近の小・中学校は、8月末から2学期が始まるところが多いですね。

大学生は、どうでしょうか。
立命館大学は、9月末から、授業が開始されます。
ですので、夏休みの半分が過ぎた頃ですね。

さて、【 智 】のゼミでは、前期に、オリンピックに関して、様々な領域から検討してきました。

実は、今年のゼミ生は、スポーツ教育学コース、スポーツマネジメントコース、スポーツ科学コース、健康運動科学コースと、
本学部が有する全てのコースのゼミ生がいます。
だらか、4コースが共通して学べる対象として、オリンピックを取り上げました。これは、ゼミ生が相談して決めました。
なかなか、良いアイデアですね。
写真は、4コースからの発表です。

写真 オリンピック指導者の指導方法に関する発表



写真 体操競技の床の材質変化に伴う技術の推移



写真 ドーピング・食に関わる発表



写真 平昌五輪と東京五輪の状況比較



最後の発表では、韓国からの留学生のSON君が大活躍でした。
韓国語を母国語とする彼は、日本に入って来ない情報を大変詳しく説明してくれました。

それぞれ、とても楽しかったです。
これらの発表を4回生にしました。


そして、4回生と3回生が交流です。
4回生は、3回生のこの時期からの就職活動のやり方、教員採用試験に向けた取り組みなど、
さすが、4回生、という内容で、とても温かく3回生に話してくれました。
このことも嬉しかったことです。

写真 4回生から3回生への温かなアドバイス 1



写真 4回生から3回生への温かなアドバイス 2



さて、残りの半分の夏休み、学部生の皆さんの取り組みが、有意義になるように、祈念しています。

成長した姿で、9月末にお会いしましょう。

それでは、良い週末を!

【 智 】



2016.08.26

第1回アテネオリンピック大会で実施された種目

naoです

【ken】さんに続きオリンピックについて書かせて頂きます。

8月22日にリオデジャネイロオリンピックが閉幕し、日本は41ヶのメダルを獲得しました。
そしてテレビを通じ多くの挑戦する力と耐える力を学びました。
また本学出身のシンクロの乾さんの活躍には涙が出ました。
本当にご苦労様でした。

テニスの錦織選手の銅メダルの獲得の時、「第一回から実施されたテニス競技」というコメントがあり、教科書やHPを見てみました。

たしかに、第一回アテネオリンピック(1896年)では、陸上競技、競泳競技、体操、ウエイトリフティング、レスリング(グレコロ-マン)、フェンシング、射撃、自転車、テニスの9競技が行われたそうです。
テニス競技は男子シングルスとダブルスが行われましたが1928年からはプロ選手を除外する方針からオリンピックから除外されました。
しかし1988年のソウルオリンピックからアマチュア憲章の放棄とプロフェッショナルの解禁から復活したそうです。

スポ-ツ史をご専門に研究されていた、岡尾恵一先生(立命館名誉教授)から頂いた資料を見てみると、当時の体操競技は屋外で行われていたそうです。
鉄棒、平行棒、あん馬、つり輪、跳馬、綱登り、平行棒団体、鉄棒団体が実施されたようです。
岡尾先生は、イギリスの図書館で閲覧したスポ-ツ史の図書から体操競技の写真を入手されていました(出展はわかりません)。
団体平行棒は、写真から見ると20名程度の選手が合わせて演技をしていた様子がわかります。



また体操競技の中に、綱登りが実施されたようです。
優勝者はN.アンドリコポロウス選手(ギリシャ)でした。
この時はフォ-ムとスピ-ドを競ったそうですが、正式種目として4回実施されたそうです(~1932年)。



重量挙げについてみると、現在のようなバ-ベルを用いるのではなく、写真にみられるような重量物を持ち上げたようです。
写真の種目は片手ジャ-クで、他に両手ジャ-クが行われたようです。



競技場についてみると、第1回アテネオリンピックでは、写真に見られるようなカーブの距離を短くしたトラックで開催されたようです。
400m、800、1500mが行われましたが、選らはカーブをどのように走ったのか興味があります。
小学校の運動会のようなコ-ナ-だったと思います。



今回の日本選手団の活躍と東京オリンピックへの期待で、華やかな4年間となると思います。
勝敗のことが大きく取り上げられとは思います。
日本サッカ-がメキシコシティ-で銅メダルを獲得できたのはなぜ? 女子バレ-の「東洋の魔女」とは? 男子バレ-がミュヘンオリンピックでなぜ優勝できたの? といったことを考えることは、コ-チングで重要なことかと思います。

またオリンピックの歴史(経済、宗教、文化等の視点から)を勉強してみることは、ken先生も書いておられたとおり大切だと思います。
できれば、ミュンヘンオリンピックで不幸な事件があった事をスポ-ツ科学の領域から越えて自学してほしいと思います。

2016.08.25

EMBC2016 その②

先週もこのブログで書きましたが,アメリカで行われた生体医工学系の国際会議EMBC2016に参加してきました.私の研究室からは研究員の坂上君と院生の鶴見君が発表しました.先週ブログを書いたときには,まだ発表前でしたが,2人とも今回はポスター発表を行いました.ポスター発表というのは,研究の内容をまとめたポスターを作って会場の所定の場所に貼って,その前で様々な参加者と説明とディスカッションを行うものです.今回の学会では,このポスター発表の前に別会場でスライドを前のスクリーンに映した口頭発表も行います.

会場は広く会期中,毎日約500件のポスター発表が行われます.

坂上君はもちろん何回も発表していますので,慣れたものです.色々な参加者とポスターの前でディスカッションしていました.





今回が初めての国際会議になる鶴見君も立派に発表していました.10件以上の質問を受けて対応することができました.





今後の研究や修士論文をまとめるための良い経験になったと思います.

naru



2016.08.24

スコットランドの夏

スコットランドで行われた心理の学会に行ってきました。降りるバス停が少しずれていて、
道をたずねつつ散歩することになりました(【表紙の写真】は、学会会場の敷地内です)。

セッションのなかには、他者と関わる子どもの力、困っている大人を助ける行動がどうやって
生まれてくるのか、知らんぷりされたときに子どもはどんな反応をするのか…。9ヶ月、3歳児、
5歳児など、乳幼児を対象にその子たちの興味関心をうまく惹きつける刺激(実験条件)を用
いた実験が発表されていました。その実験条件下で、乳幼児たちが他者を助けようとする
映像は、そのあどけなさもあって会場から声が上がっていました。

他の学会と併せてみても、脳科学だけでなく、ホルモンと人間行動の関連をみる研究が増えて
きている印象で、最近の心理研究でみる一つの流れと言えるのかもしれません。

午前中のセッションが終わると、学食(のような場所)でお昼。サラダ、そして大きさバラバラの
ケーキは取り放題(とても甘かった…甘いもの好きでも、一人では食べきれずご馳走様でした)。
相席をしながらの時間。グループでとるテーブルもあれば、一人が二人になり四人になり…と、
輪が広がっていくテーブルもあったり、楽しい経験・人間観察の空間でした。

(皆、お昼になると不思議とお腹がすいて…長蛇の列)

スコットランドは、今後行く機会はそう多くないと思うのですが、日本の猛暑をよそに涼しく
(朝晩は薄手のダウンを着ていましたが)過ごしやすい季節でした。
夜はよく雨が降ったようで、一晩だけ雷が好き放題に、思いっきり激しく落ちていましたが、
朝には晴れてくれる日がほとんどでした。

(この日は滞在中一番の晴れ☀)

せっかくの機会だと思い、伝統料理「ハギス」にトライ。【写真の左下】の真っ黒くろすけが
それです。一度ぜひお試しを!珍しいもの/刺激に出会えるのは、場所を問わず楽しい
瞬間ですね。

(中央奥の黒いものはマッシュルーム…でかい!)

すてきな夏/残暑を!

ippo


2016.08.23

書を携えて・・・。その3処暑編

暦の上では「処暑」となり、朝夕はすこしづつ涼しい空気が感じられるようになってきております。
とはいえ、昼間はまだまだ猛暑が続いておりますので体調管理には気を付けたいものです。

ここ数週間世界が夢中になったオリンピックが閉幕し、来月のパラリンピック開幕までの間隙、
やっとスクリーンから身を離すことができるようになり、滞っていた読書を再開しております。
さて、本日紹介したい本は、オリンピック開幕に合わせて手に取った、
「古代オリンピック」桜井万里子・橋場弦編、岩波新書です。



今回のリオ・デ・ジャネイロ大会で第31回を数える「近代オリンピック」は、1894年のパリ国際スポーツ会議にて、クーベルタン男爵の提唱により誕生したものです。クーベルタン男爵は、この近代オリンピックの復興により、「古代オリンピック」の精神を近代によみがえらそうとしたこともよく知られています。

本書は、その「古代オリンピック」は、どういった成立の経過があったと考えられているかや、実際にはどのようなことが行われていたかが、宗教的意味、競技会の実際、政治的変遷、優勝者の利益など最新の考古学や歴史学の視点から述べられています。また、これらが平易な文体で簡潔に書かれているため非常に読み易く、古代オリンピックについてある程度詳しく知ることができます。たとえば、古代オリンピックは紀元前8世紀ごろより、実に1,200年近く続けられていた(近代オリンピックは、まだ120年の歴史しかない)が、その間、古代オリンピック開催期間内は、国家間の争いの絶えなかったギリシアでは「休戦協定」が結ばれていたなどのよく知られた例や、また、ギリシアのポリス間で行われていた頃の優勝者には金銭的な授与はなかった(豊かな収穫を示すオリーブの冠のみであったとされる)という例が紹介され、近代オリンピックにおいても重視されている「フェアプレイやアマチュアリズム」はこうした史実に根ざしていることがわかります。

こうした本書のなかで特に興味深く読んだのは、通説では、古代ローマ帝政のもとでフェアプレーやアマチュアリズムが失われ、オリンピックは頽廃したとされるが、本書の著者は、ローマ帝国のもとでもその後600年も続いたこと、周辺諸国も巻き込み巨大化したことなどから、こうした通説に疑問をなげかけ、ギリシア時代にも増して人々の熱狂を得ていたと主張しているところです。こうした現状は、近代のオリンピックにも共通しているといえるのではないでしょうか?プロフェッショナルの選手へのオリンピック競技への参加は大きく開かれ、勝利者への直接的・間接的利益は増大、これに関連するように国を挙げてのドーピングについての問題が生じるなど負の側面が生じオリンピックへの批判が高まる一方で、オリンピックへの人々の傾注・熱狂はますます高まるばかりです。これはまるで古代ローマ帝国のもとでの古代オリンピックと同じ状況にあるのではないでしょうか?

古代オリンピックは、392年のテオドシウス帝による異郷祭祀(古代オリンピックはギリシャ神話のゼウス神を祀る祭典)の全面禁止、つまり宗教的対立によって中止に追い込まれ、大地震による神殿の破壊により残念ながら滅んでしまいました。我々の近代オリンピックをさらに大きく発展させるため、古代オリンピックの歴史を改めて知ることは、2020年の東京オリンピックで何をレガシーとして後世に伝えるのかを考えることに役立つかもしれません。



※追記
BKCの正門すぐに建築中のスポーツ健康コモンズが、完成間近となってきました。
真っ白の建屋の前面には、これまた真っ白の柱がならび、さながらアクロポリスに立つパルテノン神殿のようです。毎日前を通りながら、まさに首を長くして、中を覗き込んでいます。


【ken】


2016.08.22

Zipline in Biwako valley

残暑お見舞い申し上げます!

今年の夏は猛烈に暑い日が続いています。夏休みは如何お過ごしでしょうか?

受験生にとっては最後の追い込みの夏、アスリートにとっては実りの秋を楽しみに仕込みをかける夏、大学教員にとっては定期試験の採点、論文執筆、学会発表準備、後期の授業準備、実験・解析など、長期休暇を活用して熱心に活動しています。


もちろん、夏休みはしっかり休養し、家族との時間を過ごすことも大切です。こどもの成長に伴い、なかなか時間が合わなくなりましたが、今回は湖西のびわ湖バレイで、ジップラインを楽しんできました。このジップラインは、木や支柱をワイヤーのロープでつなぎ、そのワイヤーを滑車つきのハンドルを持って、勢いよく滑り降りていきます。びわ湖に面した山頂からの素晴らしい眺めもあり、“空中”からびわ湖を一望し、びわ湖を独り占めしているような、雄大な感じになります。


このジップラインツアーは、良く練られています。各班(約10名ほど)にガイドさんが1名つきます。もちろん、知らない同士ですが、最初に、隊長と副隊長を立候補で選びます。その上で、準備されたハーネス、命綱などを、参加者同士で装着させます。そして、全員でかけ声をかけて、出発、ランディングを励まします。隊長、副隊長は安全管理を任され、それ以外の参加者も着地エリアの整備などの役割が与えられます。お互いに協力する体制をとりながら、順次、難度の高いジップラインを過ごしていくと、不思議と参加者同士が連帯感を強め、「チーム」としてまとまっていきます。

やはり、チームづくりには、役割をもち、難度を超えて、そして協力する、という作業が不可欠であることを学びました。


秋までやっているようです。びわ湖の空中散策で、爽快な気分を味わいたい方にはお勧めです。

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>
BS11の『報道ライブINsideOUT』に出演してきました。大勢のお客さんの前ではなく、カメラを前にした司会者との掛け合いでしたが、「生放送」独特の緊張感がありました。うまく語れたかどうかは、今後の皆さんの反応で判断していきます。ご覧頂きました方、ありがとうございます。見逃された方には、下記のネットでみることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=20iYnL89h3g



【忠】