先週は久しぶりに、大阪府南部にあるM大学に行ってきました。関西学生サイクル・サッカー春期リーグ戦の第3ラウンドが開催されたからです。室内自転車競技(Indoor Cycling)の学生連盟の会長を務めています。
あまりなじみのない、マイナーというよりもリトル・スポーツと言った方がふさわしいかもしれません。10年少し前は、京都地区でも立命、同志社、龍谷、京都産業、京都大に選手がおり、大学クラブ活動が継承されていました。今はどこも、休業か閉店という状況です。現在、関西・西日本で、桃山学院、大阪、関西、大阪経済、日本経済の5大学、関東で、東京工業、中央学院の2大学が、現役学生のクラブ活動を継続させています。なかでも、大阪大学、東京工業大学は部員数が多く(30数名)、レベルも上げてきています。様々な競技の経験者が、高校時代の帰宅部生も含めて、大学から始める人がほとんどです。少数ながら、考えてスポーツする人たちの集まりです。
高校でこの競技に関したクラブをもっているところは皆無です。だから高校生やスポーつ健康科学部に入ってきた学生の皆さんでも知らないのは、まさに当然かもしれません。余程の引き込みがなければ、なかなか気軽には取り組めない「奇妙さ」をもっていますし、特殊な自転車とボール、ゴール、サーフェスを必要としますので手軽ともいえません。第一大学内で行っているところがほとんどなく、観る、聞く、触れる機会が圧倒的に少ないはずです。
古くから行われているとはいえ、多くの人たちには「ニュー・スポーツ」なのかもしれません。
室内自転車競技は、サイクル・サッカーとサイクル・フィギュアの2つの競技から構成されています。前者は自転車に乗り、2人対2人で、前輪および後輪でボールコントロールし、ゴールを奪いあう競技です。後者は自転車に乗り、一人もしくはペアやトリオで、ざまざまなバランス・ポーズや一輪走行、スピン等々の技のできばえを競う競技で、ちょうどフィギュア・スケートに似ているからそのように名づけられています。
写真は、上がサイクル・サッカー(ワールドカップ戦の様子)、下がサイクル・フィギュア(日本の第1人者、芦田・堀井選手、草津市在住、のペア演技の様子)を紹介しています。雰囲気を想像してみてください。
サイクルサッカーに関して、この競技の発祥はヨーロッパ。1891年頃イギリスに於いてサイクル・ポロが考案され、競技として発展し、1918年頃ドイツ、フランスでフットボール(サッカー)用のボールを使用しての芝生サイクルサッカー競技へと発展。そして、より機敏な自転車操舵ができ、しかも天候に左右されない現在の屋内サイクルサッカーへと発展してきました。
1927年に第1回ヨーロッパ選手権大会がドイツのケルンで開催され、さらに1930年には、国際自転車競技連合(UCI)の公式競技となり、同年第1回世界室内自転車競技選手権大会がドイツのライプチヒで開催され、第2次世界大戦による中断を経て1949年から再び世界選手権大会が開催されるようになり、現在に至っています。
我が国ではおおよそ次のようであった、と日本室内自転車競技連盟は短文を掲載しています。
『1967年、海老沢清氏と野本誠一郎氏が中心となってサイクルサッカー開発研究委員会を日本自転車競技連盟内に正式に発足。競技様式が日本でもなじみのあるサッカーに似ていることから「サイクルサッカー」という日本独自の競技名を命名、サイクルサッカーの組織が固められました。普及に際し、日本競輪学校、日本学生自転車競技連盟、南関東自転車競技会の各団体に技術指導の役割を要請、1968年初の一般と学生の為の合同練習を実施、その成果は1969年、東西8大学の参加による日本初の全日本大学サイクルサッカー選手権大会として実を結びました。
1972年には初めて世界選手権大会へ選手を派遣、Bグループ第3位の成績を残し、その後は毎年世界選手権大会へ選手団を派遣・・・』
http://www.jfic-japan.com/soccer.html
日本室内自転車競技連盟
試合方法は次のようです。
センターマーク上に置かれたボールを、主審の合図で先攻側の1人がボールをキックしてプレーが始まり。手はハンドル、足はペダルから離してプレーしてはいけません。但し、自陣のペナルティーエリア内に前後輪とも入っているときは、キーパーとして自由に手が使え、パンチングやキャッチもできます(但し、2人同時に入ると反則)。また、転倒または足がペダルから離れて床に着くと落車と見なされ、プレーを続けると反則となります。落車した選手は、自陣のエンドラインまで後退し、ライン外の床へ車輪を出すことで再びプレーに戻ることができます。その他のルールは普通のサッカーとほぼ同じです。
反則となる行為は、特に難しいものはなく、相手を押す、押さえる、危険な行為、大声を出す、などです。サッカーと同じように、フリーキック、コーナーキック、ペナルティーキックが行われますが、コートがフェンスで囲まれているためボールを置く位置が若干異なります。
試合時間は、休憩2分を挟んだ7分ハーフ、ギア比が1対1でペダルは軽いが連続する立ち上がりでかなりハードです。
私が関係しているから身びいきで、そう言うのではありません。この競技はボールゲームズの1つとしてはきわめて単純な構造の部類に入るものです。だが、運動学習や運動動作の教授学習研究の素材としても興味あるところを多くもっています。次回以降、機会があれば、またその一端をお知らせしたいと思います。
【善】