2014.07.31
トレーニングをサポートする中で学ぶこと
先週からも、体育会所属の選手数名が連日、低酸素トレーニングを行っています。トレーニングメニューは個々により異なりますが、1分程度の高回転でのペダリングを30秒程度の休息を挟んで8-10セット程度反復する方法を取り入れています。通常酸素環境で行っても大変なメニューを、酸素濃度を減らした環境で行うのですから選手にとっては厳しいメニューとなります。
これらのトレーニングを行う際には、原則として選手1名に対して立ち会いスタッフ1名を配置します。スタッフは各セットにおけるペダル回転数や心拍数、発揮パワーなどを記録すると同時に、規定のメニューを完遂できるよう言葉をかけ続けます。以前は、私自身や大学院生がスタッフとして選手に張りつき声をかけていたのですが、昨年からは学部ゼミ生にこの役割を任せています(私は後ろから選手&ゼミ生の様子などを観察しています)。トレーニングを行う選手は毎回が真剣勝負、メニューを提供する側も真剣勝負、そして、トレーニングに立ち会うスタッフも緊張感をもって臨みます。この「トレーニングの現場」では、普段講義の中で学ぶことがいかにして現場に還元されているかを実感することができます。また、トップのアスリート達がいかに真剣にトレーニングに打ち込んでいるか体感することができます。これらは、トレーニング科学を学ぶ上でもきわめて大切で貴重な経験です。
立ち会いスタッフの振るまいを後方から観察していると、様々なことに気がつきます。最初はトレーニング内容に圧倒され「頑張って!!」としか声をかけることが出来なかった学生が(選手は既に頑張っています・・)、次第に選手の表情に気を配り、心拍数や発揮パワーなどの情報をもとに具体的な指示や励ましができるように成長していきます。また、トレーニングの合間に、トレーニングメニューの意味や期待される効果などを説明する光景がみられるようになります。
これらの取り組みは、授業でも研究でもありません。どれだけ頑張っても単位にはなりません。けれども、そこから得られるものは大きいです。トレーニング科学の専門家を志す学生にはトレーニング理論を暗記するだけでなく、「トレーニングの現場」を少しでも経験して欲しいと願っています。