落ち着かない朝を迎えておりますが、みなさまの地域では被害等はないでしょうか。
さて、秋の夜長という時期もそろそろ終わりにさしかかり、師走の足音が聞こえておりますが、今回紹介したい本は、ドイツ運動学の古典とされるK. Meinel / G. Schnabel による “Bewegungslehre-Sportmotorik” です。日本語では「動作学ースポーツ運動学」という訳語があてられています。本書は、1960年の初版が発刊されて以来、現在まで50年を越えて読み継がれ、かつ最新の知見を加えながら実に12回の改訂が行われている名著となります(12版は2015年発刊)。大学院在学時に指導を受けていた先生より読むように薦められ、その先生が出された訳書と独和辞書を照らし合わせながら、牛の歩みいや“蝸牛”の歩みで読み進めていたのを思い出します。このたび、遅ればせながら第12版を手にいれたので、どこがどう改訂されたのかを読んでおります。
本書の副題は「スポーツ運動の教育学的な理論序説」とあり、スポーツ運動に習熟したり、指導したりする際に必要となる発育発達、運動学習、運動能力、評価などのあらゆるスポーツの指導に共通する知識が理論的に整理されています。なかでも、前回のエントリーでも触れましたが、ロシアの生理学者であったN.A. Bernstein が研究した動作のコオーディネーションの理論を、精緻に理論化し、その教育学的な体系化がはかられたところは、本書のクライマックスとして挙げることができ、いまでも色褪せることなく、トレーニングや運動学習の指導の現場に示唆を与え続けています。
また、本書の巻末には難解とされる用語の注解集があり、初学者にも学びやすい配慮もなされています。興味ある方は、まずはここから読み始めるとよいかもしれません。
1999年にMeinel生誕100年(正確には1898年生まれ)を記念したシンポジウムに出席するために、Leipzig大学を訪問した際に、もう一人の編著者Schnabel先生にお会いした際の写真があったと思って探していたのですが、みつかりませんでした。小柄で温厚な方で丁寧に話してられた姿が印象に残っています。
(また、その折りの写真を見つけたら、“そっと”このページにアップロードしておこうと思います。)
※追記
フロンティアアベニューの街灯の立命館大学のRのコミュニケーションマークが、見慣れないフラッグにすべて掛け変わっていました。よくわかりませんが、おそらくキャンパス内全面禁煙のキャンペーンでしょうか。心筋梗塞などの血管へのリスクをそれとなくアピールしている秀逸なデザインです。
【ken】