常日頃は陸上競技部員のランニングや跳躍の試技風景、あるいはアメフトやラグビー部の試合風景が見られるクウィンス・スタディアムですが、先週の金曜日は少し様子が違っていました。「ウワーッ」という少しかん高い大勢の歓声と拍手が、同所で大型波動プールのように起こっていました。昼休み近くの時間帯には、アクロスやユニオンの建物から何事かと様子伺いに出てくる学生、教職員の姿も多く見かけました。そこで開催されていたのは、ジュニアスポーツフェスティバル(J.S.F.)でした。
この行事は、草津市教育委員会の主催、草津市小学校体育連盟の主管で、草津市内13小学校の6年生全児童(約1200名)が参加します。「運動好きの子どもを育てる」ために「スポーツを通して、すべての子どもに感動を与える」ことが、この大会のコンセプトです。「記録を伸ばす喜び」、「仲間と協力する素晴らしさ」、「鍛え上げられたアスリートの力と技を間近に感じる」、「新しいスポーツの魅力に触れる」等々、様々な経験を通して運動が大好きになることが大会準備・運営にかかわるスタッフから期待されています。
その内容も盛り沢山です。学級対抗での長縄8の字跳び、学校対抗の男女別リレーで、児童達が挑み・競い合っていました。サッカーやアルティメット、ラクロス、ダブルダッチ、チアリーディング、陸上競技のブースをグループで次々とまわり、初めて観る・体験する子もいて、あちらこちらで拍手と大きな歓声があがりました。また、昼休み後の全体セレモニーに続いて、チアのパフォーマンスや大学陸上選手とのリレーマッチ、サッカーのエキシビション等々が行われ、歓声と拍手とが素直に起こっているのが私にはとても印象的でした。(写真はリレー競技の一場面と声援送る児童の一部です)
「地域の教育力」と古くからしばしば言われます。この行事には「地域のスポーツ力」が大きく貢献しています。一般社団法人「草津市体育協会」が共催、JFLの「MIOびわこ滋賀」も協力、NPO法人「くさつ健・交クラブ」も後援しています。草津市に立地する立命館大学も共催に名前を出し、BKCの施設使用の便宜を図っています。それに止まらず、子どもたちの観る・触れる直接体験の素材を提供してくれるのも体育会クラブやサークルの学生達です。特にスポーツ健康科学部は、「サービスラーニング」受講生17名が市内各校に散らばり、児童の本大会に向けた事前練習の指導補助にも加わり、当日の子どもの誘導係や競技の観察員として活躍していました。さらに、学生ボランティアとして当日の運営に参加した24名の人たちはほとんどがスポーツ健康科学部の学生達です。長縄審判や計時、また各種目ブースでの子どもの誘導・指導にテキパキとした動きを示していました。これらの学生達の活動に加えスポーツ演武のデモに参加したアスリートの中で見られた、スポ健生達のリーダーシップ溢れる働きも多く見られました。
○○教室というのを何回かもしくは何ヶ月か行った後、子どもや父母の方々に私はよく次のように尋ねます。「身体は丈夫になりましたか?」「上手くなりましたか、そして好きになりましたか?」「友達できましたか?」
スポーツの体験、感動がその人の「生きる力」になるためには、上の質問にどれかに「イエス」と答えることができることが必要だと感じます。スポーツを「する」「みる」「語り感じる」「仕事にする」、あるいは「~に挑戦する・競争する」「~で楽しむ・和む」等々、スポーツは現在では、人びとの生涯の様々なステージで「特別な意味」を付与して生活の一部となっています。
指導者となることを目指して様々な専門科目を学ぶ、今回参加のスポ健学部生の人達へは「お疲れ様でした」とともに次のことを考えて飛躍してほしいと思います。それは、子ども達の姿から今一度「スポーツのもつ力とそれらを人びとに伝え普及する仕事の意味」です。自分とスポーツとの出会いや感動体験を思い起こし、将来仕事として、あるいは父母として、地域住民としていかにスポーツにかかわるのか、過去、現在そして将来の(すなわち生涯の)姿をイメージし、遊ぶ(夢を現実化する)ことが、現在広く「指導者」に求められていることだと思うからです。
【善】