毎週火曜日に,私の研究室で3回生対象のゼミがあります.3回生のゼミでは,主に4回生時に行う卒業研究の準備として,文献調査や予備的な実験を行っています.卒業研究の課題は一人一人異なるため,調査する文献や予備実験もそれぞれ異なります.
今日は,面白い試みをしてくれたゼミ生がいたので,紹介しようと思います.
その彼が最終的に挑戦しようとしていることは,「スポーツパフォーマンスを向上させる装具やウエアを開発すること」です.スポーツパフォーマンスといっても色々ありますので,とりあえずはジャンプ動作に着目してジャンプ力を高めるにはどうすればいいのか考えてもらっています.実際には競技スポーツのルールなどの縛りがあって,できること,できないことがありますが,ファーストステップの段階ですので,今はそういったことは無視して,「とにかく高くジャンプできるようにする」を目標に色々なことを試してもらっています.
本当は,理論を考えて,シミュレーションを行って,実際に確認するために,人間で実験するのが研究としての王道だとは思いますが,まだ始めたばかりですので,その難しさを知ってもらうために,「とりあえずやってみよう」ということになりました.
彼が考えたのが,下図に示すように,膝関節をゴムで強化するということです.写真では見難いですが,膝関節の全面に関節を跨ぐようにゴムを設置し,両端をテーピングで固定しました.ジャンプ前に膝関節を曲げると,ゴムが伸ばされエネルギーが蓄えられます.ジャンプしようとしたときには,そのエネルギーが解放され,大きな力を発揮します.直感的にはこれでうまくいくように感じるかもしれません.実際,ゴムの出力はかなりもののはずです.ファーストステップとしては十分!よく考えられています.
実際ジャンプしてみると,,,(下図)
残念ながら,最高到達点ちょうどで写真は撮れていませんが,ゴムをつけても,あまり変わりませんでした.残念ながらファーストチャレンジは失敗ですが,色々な課題は見えてきました.今回の失敗は物理的に考えても説明はつきますが,それよりも一番の課題は,固定方法です.大きな力を発揮するゴムを体に固定するには,かなりの工夫が必要になります.今回は,彼自身も痛くて1回のジャンプ後すぐに取り外してしまいました.物理的に考えること,そして固定方法,この2つが解決すれば,ゴムを使って研究室の高い天井でもタッチすることはできるはずです.
2つの課題の解決は彼の夏休みの課題です.ジャンプの後も色々な面白いアイデアも話してくれました.さらにどんな答えを思いつくか楽しみにしています.皆さんも夏休みの自由研究に考えてみるのも面白いかもしれません.
naru
2016.07.21