[ 2025年08月 ] の記事一覧

2011.05.05

判断力と行動力



 
GWも後半にさしかかり、地震からほぼ2ヶ月になろうとしています。今年度、mm生先生のブログを読むたびに、被災地を思います。
 地震2日後、仙台に住んでいる母校の研究室の後輩から実験室が崩壊だと報告をうけました。10日程たった頃、実験動物のほとんどが殺処分することになったと聞きました。医学の進歩を目指す実験のため、自然界に存在しない遺伝子操作された生物を人間がつくりだしたはずなのに、天災が原因で、人間の手で殺処分することになるなんて、動物実験を中心に研究している私には、何とも言えず悲しく複雑な気持ちになりました。
 ある後輩からは3月の最終週、研究室恒例の送別会もないまま仙台を経ち、就職先の東京へ引越したと連絡をもらいました。昨年、立命館に来る際、研究室のみなさんから、送別していただいたことを思い出します。
関西では揺れもほとんどなく、平和な日常を送っていますが、テレビやラジオで地震速報が流れるたびに緊張が走ります。

 そんな中、大阪大学に勤めていらっしゃる大学院の先輩である藤田和樹先生から、母校の恩師、永富良一先生を代表として「UNDAUndo(physical activity & exercise) Network for the Distressed Areahttp://sendai-kci.icr-eq.co.jp/unda/))という団体を発足させたと連絡をいただきました。地震から3週間後に立ち上げたとのことでした。
「被災地健康運動支援情報ネットワーク仙台みやぎ設立趣意書(
syuisyo.pdf)」その判断力と行動力には、いつもながら、とても驚かされます。私は特にマイペースなので、余計にそう感じるのかもしれませんが。

 藤田和樹先生は、運動疫学がご専門で、研究室内の疫学グループを取りまとめてくださっていました。ご自身も昔はアメリカンフットボールの選手で、引退後も様々なスポーツに挑戦し、本当にパワフルという言葉がぴったりの先生です。現在はノルディックウォークの指導者もされています。私が大学院生の頃、高齢者の方を対象とした運動教室や、福島県の西会津での体力測定、いろいろな経験をさせて頂きました。西会津の冬は、雪かきの最中に、屋根から落下して来た雪に埋もれて亡くなられる方もいらっしゃるほどの豪雪地帯になります。近年では高齢化が進み、雪かきも大変だそうです。冬場は特に外に出ることが少なくなるため、身体活動量の低下を防ぐ目的で運動指導のDVDを作成し、自宅でできる運動プログラムをつくり、西会津地区の高齢者の方に配布し、実際に訪問されて指導なさることもありました。年に数回の体力測定には、研究室メンバーおよそ30名が、測定者としてのトレーニングを積み、測定手伝いとして出動していました。
 大阪体育大学で学んでいた頃は、トップアスリートや市民ランナー、活動的な方の測定経験しかなかったので、最初は血圧測定1つにしても、本当に戸惑いました。ジョギング教室にいらっしゃるランナーの方々とは全く異なり、重度の疾患をお持ちの虚弱高齢者の方を測定する時は移動や測定中の補助が必要であったり、改めて気づかされることばかりでした。

 ほんのわずかな経験の積み重ねによって、いざと言う時の判断力や行動力が養われていくのかもしれません。

 今年度、私の担当授業であるダンスとニュースポーツ、「授業が割り当てられている」という気持ちでしたが、藤田先生から連絡を頂いてから、自身の気持ちを切り変えました。
 せっかく学生のみなさんと近い位置で授業ができるチャンスでもあるので、一緒に「チャレンジする授業」を心がけています。
みなさんと接している中で、部活のことであったり、疑問に思っていることであったり、いろんな話を聞かせてくれます。授業だけに限らず、素晴らしい経験でなくても構わないから、新しいことにチャレンジし、まずは、たくさんの経験の引出しを作ってほしいと心から感じています。きっと、社会に出た時、その引出しに蓄えられた経験が生かされる日が来る、そんな風に思っています。香




2011.05.04

「最低限度の生活」に想う

 東日本大震災からもうすぐ二ヶ月となる。いまだ困難な避難所生活を強いられている被災者の方々が多い。先行きの見えない、さまざまな物資の欠乏の中、大きな不安をもちながら、それでも懸命に生きている大勢の方々がいる。

5月3日は憲法記念日だった。日本国憲法第25条は謳っている。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と。もちろん、ここで語られる「最低限度」の生活は、第二次世界大戦・「太平洋戦争」の敗戦による未曾有の災禍の直後の復興に際して「想定」されたものであるから、その中身がそのまま現代に当てはまるわけではない。大切なのは、その時代の社会・経済状況などに相応しい中身が準備されることだ。この点で、今回の大震災後の被災地の方々の生活は如何ほどのものなのか、想像を逞しくして想いを巡らす必要があろう。

また、「健康で文化的な」の意味についても、こうした状況だからこそ考えてみたいものだ。ともすると健康とは、「強い人」が意識されるし求められもする。一方では、「どれだけの人が強さを獲得できるのだろうか」ということも意識させられるのだが、問題なのは、そこで求められる「強さ」の意味である。願わくば、「しなやかで余裕があり包容力のある謙虚な強さをこそ」だ。

 ところで、今年は、1931年の「満州事変」から80年の節目の年。「戦時体制に入ると、まず国家は自国の文化を破壊しようとする。それを破壊し終わってはじめて、敵の文化抹殺に取りかかるのである。紛争に際しては、真の文化は有害だ。国家が推進する大義によって国家的アイデンティティが確立し、戦争という神話を煽ることで国民を栄光と犠牲へと駆りたてている時、大義の価値、神話の真偽に疑問をさしはさむような輩には、内なる敵というレッテルを貼らなければならない。・・・戦争にある国家は、本物でヒューマンな固有の文化を沈黙させる。こうした文化破壊が順調に進めば、敵の文化抹殺に取りかかっても、道義的な気兼ねもしないですむ。・・・」(クリス・ヘッジス/中谷和男訳『戦争の甘い誘惑』河出書房新社、2003年、p.95-96参照)ようなことに決してならないように、そして、いたずらに「想定外」を連発することを避け、すぐ謂れのない「差別と偏見」を増長させることもなく、脆くて無責任な「安全神話」を造り出すこともないようなしっかりした文化状況でありたいものだ。 mm

2011.05.03

レシピの撮影。

<RecOだより56>
先週末と今週末の4日間、RecOでは料理レシピの撮影が行われています。

私が雑誌(ベースボールクリニック)に10年間連載してきたものを、単行本としてまとめることになり、その写真を撮り直すためです。

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カメラマンは世界的スポーツカメラマン本多ジェロさん。料理を撮っても最高です。
写真はRecOに自前のセットを組んでいるところ。






今回の力強い助っ人は、私の研究室の管理栄養士でもある3名の院生と、今年からリサーチアシスタントとなった奥井さん。

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110品のレシピの仕分け、材料の買い出し、準備など、テキパキと進んで行きます。





更に日替わりで、M1の二人のKさんや、2人の学部生も大活躍!
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お昼と夕方、撮影を終えた料理を並べて試食。







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まりの数に消費を心配しましたが、全くの杞憂に終わりました。

M1「腹ぺこ隊」の面々や先生方でほぼ毎回完食!


おかげさまで撮影はとても楽しく順調に進んでいます。


今週の土日も続きます。
もし週末BKCにいたら、RecOを覗いてみてくださいね。【abc.】




2011.05.02

個性の優れる方面に於て、各々止むなき表現をなせ

先週のスポーツ健康科学セミナーⅡのゲストスピーカーには、月刊スポーツメディスンの編集長をされている清家輝文さんにお話しを頂きました。

 

ご自身のキャリア、出版・編集という仕事、大学と仕事、仕事とは何か・生きるとは、についてお話し頂きました。

清家さんの経歴をご紹介すると、中学時代から出版を将来の仕事にしようと決めておられ、大学選択の基準は、有名な大学ではなく、好きな勉強ができることを基準に選択。大学の学費、生活費は、自らのバイトで稼ぎ、好きな勉強に没頭。学生時代に詩集2冊を自費出版。大企業には興味がなく、編集プロダクションに入り、色んなスポーツ(甲子園、相撲、ラグビー、サッカーなど)の取材と編集に学生時代から携わり、そのまま出版業界へ。日本で初めてのトレーニング専門誌「トレーニングジャーナル」ならびにスポーツ医学、スポーツ整形の専門誌「月刊スポーツメディスン」の創刊を手がけてこられました。神戸市の震災復興計画、「アスリートタウン構想研究会」など社会活動も数多く携わられています。

 出版に関わる仕事の中かで、『編集』について、編集人らしいお話しを頂きました。出版に関わっては、必ず「情報」と「編集」は切っても切れないものである。また、編集は、出版にかかわらず、イベント、シンポ、組織、ムーブメントも編集できる。いいかえると世の中は全て「編集」可能である。どのように編集するかが、編集人たる立場の人の腕の見せ所である。

 仕事については、「自分にあった仕事はない!」。「自分にすべき仕事は何か」を考えなさいと示唆をいただいた。それを探すのに、①自分が好きなこと、②楽しいこと、③嬉しいこと、④何をするために生まれてきたのか、という順で問いかけろ、とアンパンマンのマーチの一節もいれてもらいながらメッセージを頂きました。

 何のために生まれて 何をしていきるのか

 答えられないなんて そんなのは嫌だ! 

 何が君の幸せ 何をして喜ぶ

 解らないまま終わる そんなのは嫌だ!

 

 最後に、標題にある宮沢賢治のことば

 個性の優れる方面に於て、各々止むなき表現をなせ

 自らの得意の分野で、これを表現しなければならないことを表現しない人生はあり得ない。自らの特徴を最大限に活かし、それを表現すべきである、で締めくくって頂きました。

 お持ち頂いた資料には、下記もありました。こちらも是非お読み下さい。

 

卒業式を中止した立教新座高校3年生諸君へ。(校長メッセージ)

http://niiza.rikkyo.ac.jp/news/2011/03/8549/

 

 清家さん、ありがとうございました。

 

  【忠】

 

 

 

2011.05.01

新入生向けのアカデミックアドバイザーが始まりました!

東日本大震災で被害に遭われた方に
心よりお見舞い申し上げます。

スポーツ健康科学部では、二回生有志が中心となり、
新入生を対象にした「アカデミックアドバイザー個別相談会」を、
毎週、火・木曜日の昼休み (12:10〜13:00)に、
4月19日(火)〜7月20日(木)の間、行うことになりました。

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新入生は、まだ大学での学びに慣れていませんので、
色々戸惑うことも多いと思います。
そこで、一期生の先輩が、去年の経験を踏まえ
色々な学習相談に乗ってくれます。

相談内容としては、
○学習全体、勉強方法について
○レポートの書き方について
○パソコンの使い方について
○基礎数学について 
○プロジェクト英語について 
など、多岐に渡ります。

実際に新入生の声を聞くことで、
色々と参考になりますので、
気楽に相談しに来て下さい。

それでは、また。失礼致します。
             敦




2011.04.30

陸上部の仲間を訪ねました

カヌ-部の鈴木君に頑張っている仲間を紹介していただきました。
陸上部に所属している榊原康政君(2回生)です。鈴木君は、「彼の頑張っている姿を見ると俺も頑張ろうと、めっちゃ士気を高めてくれる奴」と紹介してくれました。
榊原君は、愛知県出身で100m、200mの選手です。課題を克服するために沢山の汗をかいているけど、高校時代の自己ベストを越せない焦りや苦しさ(涙)を教えてくれました。
私は結果も大切だけど、目標に向かって様々なことに取り組み、失敗し、また挑戦していくという過程が榊原君らを大きくしてくれるのかなと応援しています。
沢山の汗を鈴木君はじめ多くの仲間と共有していることが素晴らしいなと思いました。

 

榊原君は、後藤先生のトレ-ニング科学の授業で学んだことを日々の練習にも応用しているそうです。
特に成長ホルモンについて学んだことは、日々のライフマネジメントに生かされていると。
またレジスタンストレ-ニングにおいて、速い動作だけでなく、遅い動作も取り入れるようにしているそうです。

海老先生の栄養学で料理に興味を持ち、タラコスパゲッティ-は自慢のレシピだと。
さらに野菜不足を補う、特性野菜炒めなどなど~。
「実践に生かされる授業」が一杯のスポ健と言ってくれたのがうれしいですね。

 

榊原君もオリタ-として1回生をサポ-トしています。
仲良く、楽しくというクラス運営ばかりでなく、時には(ゼミナ-ル大会や課題研究など)真剣に取り組む運営をしていくべきだと。
スポ-ツばかりの勉強ばかりでなく、幅広い勉強にも取り組みたいと熱く語ってくれました。


最近、「ツイッタ-社会論」という本を読んだそうで、今後コミュニケ-ション分野に関連した本を読みたいそうです。
スポ-ツ健康科学部のわれわれは、経済学部、経営学部、理工学部、情報理工学部や生命・薬学部などの仲間も大切にし、スポ-ツ以外の知識も沢山増やしていくべきかなと思ったインタビュ-でした。
私も沢山の刺激をくれた榊原君に感謝します。

 

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スポ-ツ健康科学部のトレ-ニングル-ムでの撮影です。

 

 

 

 

 

 

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気合じゃ~

根性じゃ~

ではなく、科学的に!

 

 

 

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かっこよく、決めていただきました。

 

 

 

 

 

【shine】

 

 

 

2011.04.29

生憎の雨

断続した雨が続いた1週間でした。

先週の新歓祭も、生憎の雨。。。(雨を呼び込む?忠先生は出張中だったはずなのですが)
価格設定や役割分担など、色々と協議を重ねていたようですが、
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結局唐揚げを揚げること無く終わってしまいました。

しかし、その後の打ち上げでは、有り余ったエネルギーを発散させ、大いに盛り上がったようでした。クラスの結束がまた固くなったようです。

また、私のネームと似顔絵入りのTシャツを作ってくれて非常に嬉しいです。ありがとう!
T shirts.jpg


さて、昨年度のMoto先生のブログにもございましたが、
/shs/blog/archive/detail/?date=2011-01-07
スポーツ指導実習がスタートしています。

この授業では、自分たちが教える立場となって、実際に授業を展開していくことが要求されます。そのため、各グループごとに協議し、どういった授業展開がよいかを考え、実践して行く、そうした指導スキルを学習していく非常によい機会となります。

バスケットボールでの実技スキルで重要な課題のひとつであるレイアップシュートですが、早くも各グループ、色々な工夫がでてきています。
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まずはステップからのジャンプとボールを
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置いてくるイメージをつかむために、
ステップの開始位置、リングとの距離など、
工夫されているのがわかります。



皆、キャプテンの説明に熱心に耳を傾けています。
今後次々と出てくるであろう工夫が今から楽しみです。
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2011.04.28

Think Positive!


 先日、大阪体育 大学大学院で大変お世話になった金子公宥先生が、ご自身の「古希」の記念として作成された冊子が届きました。既に一部の卒業生にはお送りくださっていたのですが、今回の震災後、再度、たくさんの卒業生に送ったと手紙が沿えられていました。その冊子の中には、金子先生が若い頃、貨物船に乗って渡米された時のお写真や、イタリア、フィンランドでの研究生活、そして大阪体育大学での講義や実験風景などがたくさん掲載されていました。

 ある1ページがとても印象に残りました。

「隣に坐っていた同僚が "Think Positive!"(前向きに考えよ)と言ってくれた。その一言で私は目が覚めて立ち直り、研究の発想を転換して論文を1つ完成した。このアドバイスをくれた同僚は、その後、宇宙飛行士となり、スペースシャトルで6回も宇宙に飛んだ。」と書かれてありました。

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金子先生の「古希」の1ページ。
自作された測定装置を用いてのユニークな実験のお話を思い出します。

金子研究室だった同級生は、自分で設計図を書き、自作した装置を使って高齢者の脚伸展パワーを測定し、修士論文にしました。
実験の進みは遅いですが、原始的な手法は、測定された値の仕組みを理解する上で、とても勉強になります。



(宇宙飛行士:Story・Musgrave)
http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/kaihatu_astronauts_musgrave.html

 震災後、新入生の皆さんを迎えながらも、私自身が落ち着かない心境で過ごしていたのですが、光を与えてくださったような気がしました。そして、研究したい!と一途に思いはじめた私の原点である大学3年生からのいろいろな出来事を思い出しました
「研究は、かっぱえびせんとおなじなんですよ。」

 私が大学院に入学する前、修士2年生の方の発表を拝聴した後、当時、研究科長をなさっていらっしゃった金子先生のお言葉です。先輩らが2年間の集大成である発表と、戦いのような質疑応答を終えられ、緊迫した雰囲気の中で、突然何をおっしゃるのかと、全員が耳を傾けました。
さらに話は続きます。「ちょっとかじったらね、どんどんどんどん食べたくなっちゃう、知りたくなっちゃうんですよ。研究も同じで、やめられなくなっていくんですよ。」とうつむき加減で話された後、ニコッと微笑みかけられました。当時の私には、まだその意味が理解できませんでした。
 しかし、今は、その言葉がよく理解できます。本当に研究は少しかじってしまったらエンドレス。どんどん次の疑問があふれてきて、謎解きの魔法にかかって行きます。探究心をストップすることができなくなってしまいます。研究が進むにつれて、恩師から受け継いだ研究が、いつしか少しずつ形を変え、方向性を変え、そして自身のオリジナリティが生まれて行くのかもしれません。

 当時、分からない事だらけの私に「くだらない質問はないから自信を持って発言しなさい」と教えてくださったのも金子先生です。バイオメカニクスの授業の内容もとても分かりやすく、おもしろかったのですが、私には金子先生の研究人生の失敗や成功、これらの余談が大変魅力的でした。退官された現在でも、週に2回は大学の図書館に足をはこび、本を執筆していらっしゃるそうです。研究そのものだけではなく、研究者・教育者として生きて行く上で、大切なことを教わったと心から感謝しています。香


注)もしかしたら、今の学生さんはご存知ないかもしれませんが、戦後からしばらく、「やめられない、とまらない」というフレーズで
「かっぱえびせん」はとても有名になりました。



2011.04.27

垣間見る「境界」?!

 今回の東日本大震災では、多くの「境界」をみてきた気がする。例えば、壊滅的な被害をうけた宮城県東松島市に隣接する、日本三景や瑞巌寺で有名な松島町は、さしたる被害を受けていない。それは、仙台湾から大きく内陸部に食い込んだ形の松島湾とそこに点在する島々の存在があったればこそである。こうした地形的な差異による被害の「境界」は、郷里石巻市においてもみることができる。壊滅的な被害を受けているのは、市町村合併で広域となった三陸沿岸や仙台湾に面した沿岸部とその周辺である。また石巻市街地でも、壊滅的な被害をうけているのは、湊、渡波、門脇など、旧北上川の河口付近に広がる仙台湾に面した地域である。避難所においては、物資が早い段階でそして比較的潤沢に届けられたところと食べ物も水もかつかつの状態のところとの差が生じた。情報伝達もままならず、孤立した場所では本当に悲惨な状況だったようだし、依然としてその状態を引きずっているところもあるはずだ。

 ところで、「境界」という意味では、今私たちは途轍もないほどの「安全文化」崩壊の瀬戸際にいる。他でもない、福島原発事故とその後の深刻な事態である。時恰も、4月26日は、あのチェルノブイリでの原発事故から25年目の日だった。1986年4月26日午前1時23分(日本時間)チェルノブイリで、スリーマイル島原発事故をはるかに上回る史上最悪の原発事故が起こったその時、日本の原子力関係者は異口同音に「日本では絶対に起こりえない事故だ」(七沢 潔『原発事故を問うーチェルノブイリから、もんじゅへー』岩波新書、1996年、p.12)と言ったようだ。しかしそれから10年を経た1995年12月8日、福井県敦賀市にある動燃(動力炉・核燃料サイクル開発機構)高速増殖炉もんじゅのナトリウム漏洩事故が起こった。さらに1997年3月には同じく動燃の東海再処理工場のアスファルト固化処理施設における火災爆発事故に続き、1999年9月30日には、茨城県東海村のJCO社のウラン加工施設の再転換工程において臨界事故が起こっている。福島での事故は、そうした流れの中で起こったものだ。

 核連鎖反応を制御しないがゆえに巨大な爆発を起こす「原爆」と原子炉内で核連鎖反応を制御することでエネルギーを持続的に生産する「原発」との「境界」を崩壊させてしまった「チェルノブイリ」はまだ終わっていないということを感じさせられる。もちろん、既に「風評被害」が十分すぎるほど起こっているが、福島県と県民の方々に対して、「差別と偏見」と言う名の「境界」を引くことがあってはならない。  m m生

2011.04.26

続ける力。

<RecOだより55>
 ReSMILEの「O結び」チャリティ、日程の2/3が終了しました。
 今のところ全ての日程で完売。一個100円以上、ということで義援金を集めていますが、それ以上の募金をいただいたり、物資(昨日は【mm生】先生から、お米をいただきました!)をいただいたり、様々な形で、色々な方々からの支援をいただいています。

 一週間経って、メンバー達の動きもスムーズになってきました。

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先週の実績を元に、今週は一度に作る種類を増やしたり、人気に応じて数を調節したり、という工夫もみられました。









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 ReSMILEの「O結び」は、お結びとしても極上です。
 農家の方から直接いただいたお米を、昨年講師として来ていただいた土井善晴先生から直接ご教授いただいた「お米と仲良くなる方法」で炊きあげて一つ一つていねいにお結びにしています。




 今週、29日まで、気を抜かず、さらに工夫を重ねながら、想いを結び続けようね。

 BKC内で、まだ召し上がってない方、今日を含めあと4日の限定です。
 ぜひ一度、お昼休み、ラルカディア前の広場にお越し下さい(11時半〜完売まで)。【abc.】