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2016.10.25

中四国小学校体育研究大会

先週末に、島根県松江市で第54回中四国小学校体育研究大会が開催され、【ken】も指導・助言者として参加してきました。この研究大会は、中四国地域の小学校の先生方が体育科の授業の質的向上を目指して年1回の研究大会を中四国の各県持ち回りで開催を担当しているもので、昭和31年より続き、今年で61回目を迎えるという歴史のある大会です。今年は500名を超える参加者があったとのことで、体育の授業の改善に向けた先生方の日々の努力の結果が伺え、充実した大会となりました。

今回の大会テーマは、「動いて気づく できていかす しまねっ子 ー動きを高め、運動の醍醐味を味わう体育学習ー」ということで、動きの特性にふれることで得られる、基礎的感覚、基本的技能をなにより重要視するとともに、それらを活かした活動を行うために児童同士が積極的な言語活動を促進させたり、まなびを振り返ったりすることを追求するものでした。
どの県の発表も、こうしたテーマを踏まえてしっかりと練られた提案授業ばかりで、小学校教育現場の先生方は、さっそくご自分の担任学級で試してみたいという積極的な意見がだされていました。


会場となった小学校の校舎内には体力アップのためのメニューがいたるところに掲示されていました。


【ken】が指導・助言に入った、岡山県小学校体育連盟の発表では、以前にこのブログでも紹介しましたが、体つくり運動領域の「多様な動きをつくる運動」の「力試しの運動」についての提案授業が発表されました。提案授業の主たるテーマは、「ちから」のあり方に着目するというもので、最大下の力発揮から、的を狙った力のコントロール、物から人を対象とした力発揮の違い、そして相撲の形式による相手に対応した戦術と力発揮というように、指導内容が系統的に構成されたもので、「ちから」の世界がもつ豊かな世界へと児童の学びを誘うことに成功していました。提案発表後の協議でも多くの質問が出て、先生方の関心の高さが伺えました。
こうした成果をもとに、岡山の先生方は、さらに体つくり運動領域に限らずそのほかの領域も含めた体育授業の向上に取り組まれるとのことで、大変うれしく思いました。

また、参加者のなかに私が小学生の時に担任をいただいた先生が役員としてご出席されており、30数年ぶりに再会し、お話させていただくことができました。いまでは教員を引退され、晴耕雨読の生活をされているとのことでしたが、大変嬉しいことにいまでも小学生時の私のことを覚えていただいており、昔話に花が咲きました。その先生に担任をいただいたときに、大きな体育の研究大会の研究授業をしていただいたことがあり、それがいまの私の原点ともいえる体験ともなっていることを改めて思い出すことができた貴重な時間となりました。




※追記
大会開催中に鳥取県中部を中心とする地震が発生しました。松江市は震源の隣県といえども大分揺れ、大会に参加されていた先生方の学校でも、児童が緊急避難している等の連絡が随時入るなど、会場は緊迫した空気となりました。そうした中で大会を続行することができないと大会組織本部は判断され、以降の予定がすべてキャンセルとなりました。
被災された地域の方々の1日も早い復興をお祈りいたします。




【ken】

2016.10.18

専門演習〜プロジェクト企画

夜は肌寒さすら感じるようになり、コウロギなどの秋の虫が鳴き始めております。

【ken】のゼミでは、後期に入りプロジェクト企画の立案が始まっています。
このプロジェクト企画は、各自が興味のあるテーマを持ち寄り、そのテーマをカテゴリーに分けて、いつくかのグループで1つのテーマを決めて、それに取り組むというものです。

この間、いつくかの企画案が出され、その具体的計画が練られています。
例えば、
・「子供の遊びの重要性について(体力・活動量への影響)」
・「教師と生徒の相互作用について(自律した選手育成の指導法)」
・「アクティブラーニングについて(環境設定の視点から)」
・「地域社会の健康を支えるボランティアの成功事例」
・「定常的なパフォーマンス発揮に資するメンタルトレーニング」

などの多様なテーマが出されています。
まだテーマとしては漠然としているところもあるのですが、関連する文献や先進的な取り組み事例等を調査し、問題の所在を徐々に明らかにしているところです。
なかには、実際に取材に出かけることを計画しているところもあるようで、机上ではない実社会での体験・経験をもとにした調査内容とすることで、来年度に取り組むことになる卒業論文の緒言として位置付けられることができるのではないかと考えているグループもあるようです。

このプロジェクト企画が、学生の豊かな発想力と、知りたいと思う探究心を最大限伸長させる大学生活の後半へ向けての「学びのマイルストーン」となるべく、取り組んで欲しいと思います。






さらに、時事問題への興味関心を高めるとともに、自分の意見をコンパクトにまとめ、印象的な文章を書く能力を向上させようと、新聞への投書欄への投稿にチャレンジにしてみることになりました。現在、Twitter や、Instagram などの短文や写真をコンテンツとするSNSの利用者が増えてきていますが、これらのSNSで書かれる文は若者だけに通用する言葉遣いや、省略語などが用いられ、かつ非常に短い文あるいは、単語のみで思いや考えが示されることが多いです。これに引きかえ、新聞の投書欄に掲載される原稿はあらゆる世代が読むことができるように、しっかりと、それでいて読む人の共感を得ることができる文章力が必要とされます。
まずは、執筆をしてきたものを、相互に推敲しあって、他人の客観的視点から文の完成度を高めて、投稿までもっていきたいと思います。

果たして、どんな文がでてくるのか?そして、掲載されるのか? を楽しみにしたいと思います。


追記:正門から続くフロンティアアベニューの街灯に掲げられている立命館のRのコミュニケーションマークのフラッグの片方が、見慣れぬ黄色に掛け代わっています。どうやら、学生演劇サークルの宣伝のようです。



【ken】

2016.10.11

Treffpunkt

実りの秋を迎え、空が一段と高く感じられるようになってきました。
週に一度、OIC(大阪茨木キャンパス)で授業を担当していますが、OICキャンパスに併設されている市民公園では学生や近隣市民の方が、ウォーキングやストレッチなど、それぞれが運動に取り組んでいる様子をよく見かけます。
(撮影した日は早朝だった為まだ誰もいませんでしたが・・・)


OICには、経営学部、政策科学部、総合心理学部などが設置されていますが、他のキャンパスと違って、大学構内への入構についての関門などがなく、市民の方々が気軽に大学構内に入ることができます。そこで、小さなお子様を連れてこられ、市民公園で遊んでいる様子を見かけることも少なくありません。地域社会に広く開かれたキャンパスづくりをコンセプトとして「地域とつながる、地域と育つ」を推進してきたことによるキャンパスの雰囲気が醸成されていることがよくわかります。



また、公園の外周路には、スタートからの距離が記されており、ジョギングやウォーキングをする際の目安とすることができるようになっています。これらを用いて、学生対象にスポーツ方法実習として、ウォーキングの授業も開講されています。



さらに、公園横には、コーヒーショップやレストランも設置されており、運動後に食事や休憩ができるようになっています。OICのフロントゾーンは、いつも(学生だけではなく地域などの)多様な人がいる「Treffpunkt:たまり場」となっています。こうしたたまり場からいろいろなアイディアや連携が生み出されているのだと思います。
前回のエントリーで紹介したBKCスポーツ健康コモンズも、OICの併設市民公園のような Treffpunkt となり、地域と大学を結ぶ役割を果たすことができるように大きく期待したいと思います。



【ken】

2016.10.04

BKCスポーツ健康コモンズを下見してきました。

10月とはいえ、接近中の台風のせいか、蒸し暑い日が続いております。
今回は、先月に竣工し、運用を始めたBKCスポーツ健康コモンズに遅ればせながら教場の下見にいってきたので、簡単に施設の紹介をしたいと思います。学生さんからも、どんな施設があって、どのように使えるのかについて、よく知らない方もいるとも聞いていますので、少しでも概要が伝わればと思います。


まずは正面エントランスの様子。大屋根を支える柱が印象的な外観です。
エントランス正面は芝生広場を整備中とのことで、こちらも楽しみです。


エントランスを入ると、受付があり、利用する場合はまずはこちらで手続きをすることになります。基本的には授業等で共用できない時限以外のオープン時間帯は、自由に利用できるとのことです(施設によっては事前に使用ガイダンスを受ける必要がある場合もあります)。この日の受付担当は、東大阪スタジアム(HOS)の山本浩二さん(ミスター赤ヘルと同姓同名のため、一度聞くと忘れられることはないそうです)。
業務準備中のところでしたが、素敵な笑顔で出迎えていただきました。



1階フロアの体育施設は、バスケットボールコート2面がとれるアリーナと、屋内プール(25M:7コース)、そして屋外プール(50M:4コース)があります。さらに、リハビリルーム、クリニック・カウンセリングルームも設置されています。この日は、まだ利用可能時間前でしたので、誰もいませんでしたが、オープン以来、すこしづつ利用者も増えつつあるようです。


アリーナ


屋内プール


屋外プール

2階フロアには、アクティブスペース、多目的スペース、トレーニングルームなどの体育施設と、ミーティングルーム、コーチ室、クラブ室などがあります。
アクティブスペース、多目的スペースでは、柔らかい床材が使われているとともに、鏡が設置されており、ヨガ、ストレッチ、エアロビスク等ができるようになっています。また、トレーニングルームもあり、おもに有酸素トレーニングができるように整備されています。

アクティブスペース&多目的スペース


トレーニングルーム

さらにBKCスポーツ健康コモンズには、体育施設だけではなく、1階に利用者がくつろげるスペースとして「リラックスコモンズ」が設置されています。このリラックスコモンズでは、畳張りのスペースや、テーブルと椅子が並べられており、自由に話をしながら、アリーナの様子を見たり、プロジェクターで映像を見たりできる場となっています。
学生、教職員、校友、さらには地域の方々が自由に交流できる拠点としてさまざまな活用がなされることと思います。




立命館大学は、スポーツの文化的意義・価値を重視し、スポーツをとおした全人教育を実践することを「立命館スポーツ宣言」として定めています。BKCスポーツ健康コモンズが、こうした宣言を推進するフラッグシップとして、船出をはじめています。学内の方々まずは、足を運んでみていただき、スポーツのある大学生活をスタートしてみてはいかがでしょうか?
また、学外の方々にも今後ご利用いただけるように検討中とのことですので、こちらも楽しみにしたいと思います。


BKCスポーツ健康コモンズ
営業時間
月〜土 8:40~21:10
日・祝 8:40~19:10



【ken】

2016.09.27

スポーツタレントの発掘・育成

後期が始まり、キャンパス内は再び学生さんたちのにぎやかな声が響き、私の研究室にもつぎつぎに学生さんが訪問してくれています。

先日、宮崎県のワールドアスリート発掘・育成プロジェクト(WAP)の講師としてお手伝いをしてきました。この宮崎ワールドアスリート発掘・育成プロジェクトは、「宮崎県内の優れたスポーツの素質を有する子ども達を早期に見出し、オリンピック競技大会や国際大会、宮崎県開催予定(平成38年)の国民体育大会で活躍できる選手の育成を目指すとともに、将来のリーダーとしてスポーツ界で活躍できる人材育成も目指している」(プロジェクトの趣旨より)とのことで、今年度よりスタートしています。

スポーツタレントの発掘・育成といえば、フェンシングとカヌーの2種目の種目に特化したプログラムとする京都府の「京の子どもダイヤモンドプロジェクト」に代表される「種目選抜型」(こちらは、スポ健から【jin】先生、【ippo】先生が関わっておられます)と、福岡県が先進的に取り組んできた、基礎的基本的な運動能力全体をバランスよく向上させるとともに、あらゆる競技を経験した上で適性競技へと導く「種目適性型」の大きく2つ、さらにはある種目のアスリートが自身の特性を活かすことができる別のスポーツに変更する「種目最適型」に分かれますが、宮崎県は「種目適性型」を採用しています。

県下の小学5年生と中学1年生の応募者約500名より、2回のオーディションを経ておよそ50名程度が選抜され、普段ではなかなか体験できないあらゆるスポーツ競技・種目を体験するとともに、多くの競技・種目に共通する体力・運動能力を身につけること、さらには将来世界を舞台に活躍できるアスリートになるためのコミュニケーションスキル向上プログラムや保護者への栄養指導など、多岐にわたるプログラムが準備されています。

そのうち私は、あらゆるスポーツ種目の基礎的基本的な運動能力を支える動きづくりについて、動作コオーディネーション能力の考え方を中心においた、「コオーディネーショントレーニング」を担当しています。ジュニア期〜ジュニアユース期においては、神経系の運動能力の発達の最感受期とされています。よって、ある1つの種目のスキルの鋳型へと子供達の動作を当てはめていくのではなく、どれだけ身体のもつ自由度を適宜動作課題に応じて適応変換させていくことができるかという点に特に焦点を当てて、トレーニングの内容を工夫して実施しています。今年はあと数回、宮崎に行かせていただけることになっており、こうしたプログラムが将来世界で活躍するアスリートの育成に少しでも寄与できればと思っています。





当日は、私のゼミに所属する学生で、宮崎県出身の【Hane】くんが、偶然帰郷しており、トレーニングの補助を務めてくれました。候補者の子どもたちは、同郷の大学生の補助に雰囲気が和らいだのか、いつもにも増して一生懸命そして楽しくプログラムに取り組んでくれました。



【ken】

2016.09.20

高大連携プログラム〜大学院生による授業協力

立命館大学スポーツ健康科学部は、キャンパスが位置する滋賀県とさまざまな連携をしておりますが、高等学校とも連携をしております。なかでも滋賀県で唯一の体育科を有する草津東高等学校様とは、以前にも紹介しましたが教員、院生、学生間でもさまざまな交流が行われています。

この日は、高等学校の保健体育科の授業「体つくり運動」の授業単元に、スポーツ健康科学研究科所属の大学院生が補助として入る「授業協力」が行なわれ、その担当は、佐久間先生の研究室所属の大学院1年日比さんと、海老先生の研究室所属の大学院2年村上さんの2人でした。このうち、この日の指導を中心に行った日比さんは、昨年度スポーツ健康科学部を卒業され、スポーツ心理学を学びながら、将来保健体育科の教員を目指されています。すでに近隣の他の高等学校でも非常勤講師として活躍されており、授業の導入から落ち着いて指導をされていました。


この日の対象者は、草津東高等学校体育科に所属する1年生および2年生総勢80名で、2学年合同で行いました。
授業では、ペアストレッチングからはじまり、様々な体ほぐしの運動が実施されたあと、グループに分かれて、目隠しをした状態でロープを引っ張り、互いに声をかけあったり、ロープの引きの強さ等を感じながら、正方形などを作るというエクササイズが行われました。
これにより、普段あまり話をしない異学年や異性間で、積極的に声を掛け合って、運動を行う様子がみられ、運動がもつ「心と体の調整」の効果について、楽しく体を動かしながら学習が進められていました。
授業の最後には、今回の実施内容でねらいとした「運動とこころの関係」について、しっかりと説明をすることで、高校生の生徒のみなさんも運動の大切さについてさらに理解ができたようで、大きく頷いている人も複数みられるいい授業でした。




この「授業協力」は、このあともスポーツ健康科学研究科に所属する大学院生らの専門とする研究領域に応じた多様な授業内容(実技・講義)が準備され、実施される予定となっております。
また、このほかにも地域のなかで、スポーツ健康科学部・研究科が育成する人財がリーダーシップを発揮している様子も積極的に紹介したいと思います。



【ken】

2016.09.13

教育委員会との共同研究

これまでのエントリーにおいても、児童の体力あるいは運動能力の向上についての取り組みを紹介してまいりましたが、立命館大学スポーツ健康科学部の【智】先生を中心としたスポーツ教育学研究室では、BKCの地元草津市以外にも多くの教育委員会様と共同で児童の体力・運動能力の向上にむけたプロジェクトに取り組んでいます。

今回紹介するのでは、福岡県北九州市における共同研究の事例です。
北九州市は、人口95万人を抱える政令指定都市で、18歳未満の子ども人口は15万人を超えます(北九州市のHPより)。こうした北九州市の子どもたちの体力の現状については、全国平均を下回っているとのことで、これをなんとか向上させようというところから北九州市教育委員会様より、【智】先生にお声かけがあり、これにスポーツ教育学研究室のメンバーとともに取り組んでいます。

依頼を受けて我々はまず、文科省により全国悉皆で調査・集計されている「体力・運動能力、運動習慣等調査結果」を分析することより始め、向上に向けた強化の柱を決め、それらを推進していくための具体的な手続きについてアイディアを出し合い教育委員会様へ提案いたしました。
教育委員会様ではこれらの提案をさらにブラッシュアップした上で、今年度の開始早々にこれらの施策を徐々にスタートされております。まずは、全市の小・中学校の体育科および保健体育科の担当の先生がたへの連絡とその具体的方法の伝達、また先生方ご自身にもプロジェクトに携わってもらうことで、全市的な取り組みの気運を高めていくことから始められております。先般も小・中の先生方が各グループに分かれて、体力を向上させられることのできる運動プログラムの開発に非常に積極的に取り組まれていらっしゃったとのご報告もいただいております。


このほかにも、体力向上に資する効果的な多様な取り組みが、教育現場の先生方の実感をもとにした意見と、研究者による協力が有機的に連携しながら、進められています。先日、こうしたものを網羅的にまとめた「体力向上プログラム(第2版)」(下図)を作成されたとの連絡をいただきました。
このプログラムにより、今後北九州市の児童の体力がどのように変容していくのかについて大いに気になるところですが、それとともに、1つの大きな市の教育的施策をどう隅々まで行き渡らせ、その効果を確実なものにするのかについての教育委員会の方々の進め方についても、大いに勉強させていただいているところです。

また、これらの研究成果についても、ある程度まとまりましたら、学会誌等へ随時発表していきたいと思います。


(北九州市教育委員会様より表紙掲載の許可を得ています)



※追記
先般、スポーツ健康科学部では、FD(Faculty Development: 大学教員の資質改善・開発)研修会が行なわれました。カリキュラムに関する議論、入試等の教育制度に関する議論、さらには、学部の広報活動に関する議論等、多様な視点から、グループワーク、ブレインストーミング、ディスカッションにより、日々の教学についての点検と改革可能性についての議論が非常に積極的に行なわれました。このような教学についての熱い議論もまた、スポーツ健康科学部を強くする、いわば【Fの力】になるのだと改めて感じました。



【ken】

2016.09.06

市民体育大会

季節は、秋らしさが感じられるようになってまいりました。秋といえば、運動会!最近では春に行われることも多くなってきておりますが、やはり秋空のもと体を動かす気持ちよさは不変のものであります。
先週末より大津市民体育大会が皇子山総合運動公園など(計13施設)にて開催されており、これに参加してきました。

本市民体育大会は、昭和41年に第1回大会が行われ、今年で51回を数える歴史ある大会で、大運動会、卓球、バドミントン、ソフトボール、バレーボール、ソフトテニス、弓道、乗馬、スポーツ拳法、水泳、なぎなた、グラウンドゴルフ、テニスと、実に多様な競技種目に、市内の36の学区からの代表選手らが出場し、日頃の親しんでいるスポーツの集大成として、また、スポーツの生活化の機会とするため、さらに、地域コミュニティの活性化を図ることなどを目的に行われています。さながら、全市を上げたミニ国体といったところです。

この日は、台風の接近による天候悪化が心配されましたが、幸いにも好天に恵まれ、多くの市民のみなさんが各学区に分かれて、参加されていました。

開会式では、オリンピックの聖火を彷彿とさせる炬火の入場と炬火台への点火がなされました。(最終ランナーとして炬火台へ点火しているのは、越大津市長)


開会式の終了後の準備体操につづいて、いよいよ、今年度より大会プログラムに復活した大運動会の始まりです。
大運動会の競技内容は、「玉入れ、ジャンボボールリレー、800mリレー、1000mウォーク」です。どの種目も、体力・運動能力の多様な方が安全に楽しめる内容となるように工夫されていました。
このうち私は、玉入れとジャンボボールリレーに出場しました。
ジャンボボールリレーでは、学区の第1走者を仰せつかり、日頃全力で走る機会がないなか怪我などをしないように留意しながら割り当てられた50mを全力で走りました。ジャンボボールの受け渡しに苦戦し(次走者の方をジャンボボールで突き飛ばしてしまうという失態!)、結果は芳しいものではありませんでしたが、出場メンバーのみなさんと互いに健闘を讃えあいました。また、競技後学区のテントに帰ると、学区の皆さんより「よくがんばった!」と暖かい言葉と拍手をいただき、清々しい気持ちになり、出場してよかったなという気持ちになりました。
本大会を企画・準備・運営いただいた教育委員会、各自治連合会、体育協会のみなさまに感謝申し上げたいと思います。



かつての東京オリンピックが行われた昭和39年(1964年)のすぐあとに始まったこのような市民体育大会は、全国津々浦々で春や秋に開催されております。また、企業も一度は廃止になった社員大運動会を復活させているところもあるようです。さらには、運動会を企画・運営する会社も出てきているとも聞いています。

今後、2019年ラグビーワールドカップ、2020年オリ・パラ、2021年関西ワールドマスターズゲームといった世界規模のスポーツイベントが控えており、こうした体育大会や運動会は、ますます盛り上がり、市民の運動への興味・取り組みは拡大することになりそうです。

スポーツ健康科学部・研究科は、こうした地域社会を活性化することを目的としたスポーツイベント、スポーツクラブを企画・運営することができる人材も育成しております。卒業生・修了生がこうした領域でもさらに大きく活躍してくれることを期待したいと思います。



【ken】

2016.08.30

ダリ展

秋が近づき、台風が矢継ぎ早に列島に襲来し、地域によっては警戒が必要となっております。
当該地域の方々は是非ともお気をつけてください。

先般、京都市美術館で開催中の「ダリ展」に行ってきました。
ダリは、スペインを代表する芸術家であり、「溶ける時計」などの有名なモティーフで、よく知られています(特徴的なダリのヒゲもまた有名です)。これ以外にも多くの作品を残しており、今回の展覧会では、およそ200点の作品が、ダリの生涯をたどる形で展示されています。




ダリといえば、「シュールレアリスム」が思い起こされ、本展もこうした作品を期待していったのですが、これはダリの生涯のなかのある特定の時期の表現法であり、初期や晩年はまた違った表現法をとっていたことがわかりました。また、その表現法も、フェルメールに影響を受けた光の解釈表現や、ピカソらのキュビズム、科学技術の発達(なかでも原子物理学)に影響された抽象的表現に傾倒したりと、その作風は、めまぐるしく変化しているように見受けられました。また戦後に、オブジェ、ジュエリー、映像作品にも挑戦した多才ぶりにも圧倒されました。


こうした生涯を通じたダリの作品をみて、これまで私が持っていた「みずからの表現法を追求して奇抜な「シュールレアリスム」の表現法を世に問うた奇才」というイメージは一面的なもので、ダリ自身は、常に世の中の動きを敏感にとらえ、それに刺激を受けて愚直に自らの表現法を刷新していき、そして故郷で愛するものを思慕しながら、生涯を閉じるという極めて人間臭い存在であったことがわかり、どこか親しみのようなものを感じました。


会場には、親子連れからご年配の方々など、非常に幅広い世代の方がいらっしゃっており、みな熱心に鑑賞されており、作品がもつ魅力に入り込んでおられるようでした。
これだけの作品群が一堂に会すことは珍しいようです。たまにはこうした芸術作品に触れて、いろいろな刺激を受けることもよいかもしれません。


※追記
いよいよ多くの学校で夏休みが終わる時期となり、児童らの早起きの習慣を取り戻すため、一度中断していた朝のラジオ体操が復活しているようで、朝早くからラジオ体操の音が聞こえてきます。首から下げたカードにスタンプを押してもらうのを楽しみにしていた子供の頃を思い出しました。



【ken】

2016.08.23

書を携えて・・・。その3処暑編

暦の上では「処暑」となり、朝夕はすこしづつ涼しい空気が感じられるようになってきております。
とはいえ、昼間はまだまだ猛暑が続いておりますので体調管理には気を付けたいものです。

ここ数週間世界が夢中になったオリンピックが閉幕し、来月のパラリンピック開幕までの間隙、
やっとスクリーンから身を離すことができるようになり、滞っていた読書を再開しております。
さて、本日紹介したい本は、オリンピック開幕に合わせて手に取った、
「古代オリンピック」桜井万里子・橋場弦編、岩波新書です。



今回のリオ・デ・ジャネイロ大会で第31回を数える「近代オリンピック」は、1894年のパリ国際スポーツ会議にて、クーベルタン男爵の提唱により誕生したものです。クーベルタン男爵は、この近代オリンピックの復興により、「古代オリンピック」の精神を近代によみがえらそうとしたこともよく知られています。

本書は、その「古代オリンピック」は、どういった成立の経過があったと考えられているかや、実際にはどのようなことが行われていたかが、宗教的意味、競技会の実際、政治的変遷、優勝者の利益など最新の考古学や歴史学の視点から述べられています。また、これらが平易な文体で簡潔に書かれているため非常に読み易く、古代オリンピックについてある程度詳しく知ることができます。たとえば、古代オリンピックは紀元前8世紀ごろより、実に1,200年近く続けられていた(近代オリンピックは、まだ120年の歴史しかない)が、その間、古代オリンピック開催期間内は、国家間の争いの絶えなかったギリシアでは「休戦協定」が結ばれていたなどのよく知られた例や、また、ギリシアのポリス間で行われていた頃の優勝者には金銭的な授与はなかった(豊かな収穫を示すオリーブの冠のみであったとされる)という例が紹介され、近代オリンピックにおいても重視されている「フェアプレイやアマチュアリズム」はこうした史実に根ざしていることがわかります。

こうした本書のなかで特に興味深く読んだのは、通説では、古代ローマ帝政のもとでフェアプレーやアマチュアリズムが失われ、オリンピックは頽廃したとされるが、本書の著者は、ローマ帝国のもとでもその後600年も続いたこと、周辺諸国も巻き込み巨大化したことなどから、こうした通説に疑問をなげかけ、ギリシア時代にも増して人々の熱狂を得ていたと主張しているところです。こうした現状は、近代のオリンピックにも共通しているといえるのではないでしょうか?プロフェッショナルの選手へのオリンピック競技への参加は大きく開かれ、勝利者への直接的・間接的利益は増大、これに関連するように国を挙げてのドーピングについての問題が生じるなど負の側面が生じオリンピックへの批判が高まる一方で、オリンピックへの人々の傾注・熱狂はますます高まるばかりです。これはまるで古代ローマ帝国のもとでの古代オリンピックと同じ状況にあるのではないでしょうか?

古代オリンピックは、392年のテオドシウス帝による異郷祭祀(古代オリンピックはギリシャ神話のゼウス神を祀る祭典)の全面禁止、つまり宗教的対立によって中止に追い込まれ、大地震による神殿の破壊により残念ながら滅んでしまいました。我々の近代オリンピックをさらに大きく発展させるため、古代オリンピックの歴史を改めて知ることは、2020年の東京オリンピックで何をレガシーとして後世に伝えるのかを考えることに役立つかもしれません。



※追記
BKCの正門すぐに建築中のスポーツ健康コモンズが、完成間近となってきました。
真っ白の建屋の前面には、これまた真っ白の柱がならび、さながらアクロポリスに立つパルテノン神殿のようです。毎日前を通りながら、まさに首を長くして、中を覗き込んでいます。


【ken】