[ Fri ] の記事一覧

2016.03.18

養生訓

貝原益軒著「養生訓」を読みました。もともとは1713年に書かれたものだそうで、帯には「健康に長生きするための指南書」と謳われています。原文は所謂古文なのですが、現代語訳が多くの出版社から出されています。今回私は蓮村誠氏の訳書を読みました。

表紙には「日本人が伝えてきた予防健康法」とあります。健康状態を保つためにどんな事をすれば良いか、というのがその内容です。読んでみて面白いなと思ったのは、全体的な心構えに関する事項から、非常に詳細な事項まで丁寧に記述されていることです。まず心構えとしては「人のからだは貴い」という見方からはじまります。また「人のからだは弱い」という事も述べ、だから養生をするべきである、養生をしないのは自分自身に刃を突き立てる様なものだ、と続きます。

こういった心構えに引き続き、朝起きたら何をするべきであるとか、この野菜はどのくらいの大きさに切って調理するべきであるとか、寝る時はどちらを向いて寝るのが良いとか、生活全般の詳細な指南が述べられています。それぞれに根拠があり、それは現代でいう科学的なものとは限らないのですが、読んでいてなるほどなあと考えさせられました。

「養生訓」、私が中・高生のころは日本史の教科書でも取り扱われていました。現在はどうなのでしょうか?スポーツ健康科学に携わる者として非常に面白く読みました。皆さんも是非手にとってみてください。


2016.03.11

あれから5年

2011年3月11日の震災の日から5年が経ちました。

当時私は神戸大学に勤務していて、地震の瞬間は居室でオフィスワークをしていました。少し揺れたかな?と感じたような気もしましたが、特に意識することもなく仕事を続けていたところ、家でニュースを見た妻から電話があり、東日本で大きな地震があったとの事。親族が東京にいるため急いで電話して、一応皆の安全を確認しました。そしてその後すぐ、電話は通じなくなりました。

その後ニュースを通じて地震、津波、そして原子力発電所の事故と、非常に厳しい状況が伝わって来ます。当時は被害の規模も範囲も不明瞭で、毎日東京の親族の事を心配していました。神戸市内の賃貸マンションを確保したり物資を集めたりして万が一に供えていたのを思い出します。

震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈り致します。また現在も復興がなかなか進まない地域があり、避難中の方が大勢いらっしゃることに心が痛みます。

以前私が勤務していた神戸大学では、1995年の阪神淡路大震災の際に亡くなった生徒・教職員の方がいらっしゃいました。その方々の慰霊碑が六高台のキャンパスに建立されています。また写真のハーバーランドには、震災の跡の生々しい姿が残されています。冬の風物詩となっているルミナリエは震災の犠牲者の方への鎮魂の思いを込めて開催されています。

不自由なく暮らせている自らの状況を有難く思うと共に、少しでも世の中に良い貢献を出来る様に励もう、という思いを新たに致します。

2016.03.04

アメリカ&日本バイオメカニクス学会

今年8月にノースカロライナ州で開催される American Society of Biomechanics に申し込みました。当研究室では私と学生さん4名が申込み、そしていつもご助力下さっている fjmt 先生も申込をされていました。この学会、毎年アメリカ(またはカナダ)で開催されており、学会名も "American Society" と冠しているのですが、毎回世界中からの参加があります。我々の分野では北米にビッグネームの研究者が多いこと、学生やポスドク等何らかの形で北米の大学で時を過ごした人が世界中に多数いることがその要因でしょう。私自身も過去に何度か参加していて、当時留学中の fjmt 先生と始めてお目に掛かったのはこの学会の際でした。写真は2005年大会の時のものです。

今回も、私も含め全員が口頭発表で申し込んでいます。プログラムの編成上どうなるかは解りませんが、かなりの率で希望通りになるのではないでしょうか。学生さん達はあと5ヶ月、きっちり英語のプレゼンと質疑応答の練習をして欲しいと思います。練習したからすぐできるというものではありませんが、練習しなければ立ち往生する事は確実です。一日必ず一つはレベルアップする、というつもりで励んでください。

また、9月には日本バイオメカニクス学会を BKC で開催します。実行委員会は2014年の9月に立ち上げ、これまで多くの先生方から多大なご助力を頂きながら形を作って来ました。先生方、今後も何かとお手数をお掛けするかと存じますがよろしくお願い致します。是非ともこの大会を大成功させましょう。

特別講演ではバイオメカニクス分野の大家である Herzog 博士もお越しくださいます。また Herzog 博士がいらっしゃる日に合わせて、全て英語で実施する「国際セッション」も設けています。世界一流の研究者に確実に自分のプレゼンを聞いて頂ける良い機会です。学生の皆さんは是非トライしてみて下さい。


2016.02.26

TIME

年明けから TIME 誌を購読しています。定期購読するのは2度目で、最初は大学院生の頃でした。留学を志していた修士課程の頃に、英語の勉強と国際情勢の情報収集のために1年間購読しました。

この度また購読を始めたのも矢張り国際情勢の情報収集のためです。新聞と違い週刊ですし、そもそも海外から送られてくるため即時性は高くありません。ですので日々の最新ニュースというよりは、精査・分析された情報が盛り込まれている雑誌です。ページ数は50ページ前後です。書店でも販売されており、その価格は各号 980円。定期購読するとこれが一号あたり 300円程度になります。このクオリティでこの価格、お買い得としか言い様がありません。

以前定期購読した際には知らない単語が多く、読むのに非常に時間が掛かりました。そのころは片道90分掛けて通学していたのですが、電車の中でほぼずっと読んでいたのを記憶しています。読解に求められる文法知識としてはは大学受験レベルで十分です。「誰が読んでも容易に正確に意味を取れる文章」というのが良い文章の必要条件だと思います。TIME 誌の文章はこの要件を満たしているので基本的に読み易いのです。ただボキャブラリーはそれなりに増やさないとスラスラ読むことは難しいでしょう。ボキャブラリー強化のためには以前紹介した Word Smart 等がお勧めです。

この頃良く掲載されている記事はアメリカ大統領選挙、ジカ熱、中東情勢、東アジア情勢、アカデミー賞、等です。それぞれ写真も美しく、深い記事ばかりです。皆さんも一度手にとって見てください。



2016.02.19

Ubuntu

数年前から使っているPCに Linux のオペレーティングシステムを入れました。以前は Windows XP が入れてあり、サポートも終わっているのでセキュリティ上何かに入れ替えなくてはならなかったためです。Linux には幾つかの種類(ディストリビューションと呼びます)がありますが、シェア的に最大手の一つである Ubuntu を選びました。解らないことがあったとき、Web 上で情報を探して解決する際にシェアが大きいと情報が集まりやすい事が多いためです(例えばこのサイト)。導入した際も的確な情報が多く、非常にスムーズに進められました。

Linux は Windows とか Mac OS と同じ「オペレーティングシステム」です。多くのディストリビューションが無料で配付されています。現在 Windows でも Mac でも本質的にそれほど使い勝手が変わらない様に、Ubuntu は見た目上 Windows に非常によく似ています。オフィス系のソフトウェアも元々無料で付いているのでインストールしたらすぐ一通りの作業が可能です。学生さんがレポートを書いたり日々の用事をする際には全くストレスなく使えるでしょう。

Linux の長所として、分かり易いものでは
・本格的なプログラミングをする際に便利なコマンドが沢山ある
・多くのファイルを一括処理する際に便利なコマンドが沢山ある
・自分用のカスタマイズがしやすい
・キーボードだけで(マウスを使わないで)多くの処理ができる
・無料なことが多い

といった点が挙げられると思います。特定の文字列を含むファイルを手軽に検索するとか、名前の一部分が共通している複数のファイルを一括処理するとか、そういった作業が一瞬で実行可能です。またマウスを触らないで多くの処理ができ、自分用のカスタマイズもできるので、慣れによっては劇的に作業効率が上がります。

使い方は全く難しく無いので一度触って見ることをお勧めします。Windows と Ubuntu を一台の PC にインストールする事も簡単にできます。


2016.02.12

身体活動量計

この頃身体活動量計を使っています。オムロン社の研究用高精度活動量計 Active Style Pro HJA-750C です。

高精度、というのはセンサの精度の事です。一般的に活動量計の中には加速度センサが入っていて、そこでセンシングするデータに基づいて身体活動量の推定計算を行います。いわゆる「万歩計」は脚部が地面に接地した瞬間の信号から歩数を数えてくれます。それに対して活動量計では加速度信号に基づいてどんな動作を行っているかを推定計算し、単なる歩数ではない身体活動量を計算してくれます。このセンサの精度が従来型よりも大きく改善されているそうです。

HJA-750C では身体活動量の計算を10秒単位で行って、それぞれの時点で何 METs であるかを算出しています。これは中々便利そうだということで購入してみました。

「研究用」というのはどういう意味かな?と思っていたのですが、製品が届いてその意味が分かりました。まずこの活動量計は Windows のパソコンとセットで使う事が前提になっています。電池を入れると電源が ON になるのですが、その後初期設定をしなくてはなりません。その初期設定に Windows のパソコンと無線通信用の USB トレイが必須なのです。私は普段から Windows ユーザーなので全く問題ありませんでしたが、確かにこの点は一般ユーザー向け、とは言い難いかなと思いました。

ですが一旦セッティングを済ませると非常に便利に使えるのに感心しました。活動量計で計測・計算したデータは、USB トレイに載せればワンクリックでパソコンに取り込む事が出来ます。無線を使っているのでケーブルを抜き差しする必要も無く、非常に手軽です。取り込んだデータは幾つかの表の形にまとめられています。もちろん表計算ソフトを使って開くことができます。

・全体のサマリー
・10秒刻みの METs を24時間分並べたもの
・エネルギー消費量(1時間毎)
・運動強度(1時間毎)
・歩数(1時間毎)

推定計算も多用している筈ですので精度・信頼度は確認が必要ですが、非常に便利なツールだと思いました。もう暫く使ってから自分のデータも分析してみようと思っています。


2016.02.05

地球ゴマ

ある方から「ボールを指の上で上手く回すにはどうすれば良いか?」という問い合わせを受けました。詳細はまた後日報告できれば、と思います。この問い合わせをきっかけに「コマ」の事を少し調べ直したので、今日はその事について。

回っているコマは何故倒れないのか、説明できるでしょうか?また回転速度が落ちてくるとコマは首を振る様な動きをしますが、それは何故でしょうか?説明には「角運動量」の概念を使います。物体には慣性モーメントがあり、それに回転速度を掛けたものが角運動量です。まず Newton の第1法則(慣性の法則)と同様に、回転しているものは回転し続ける=角運動量は保存される、という性質があります。これがまず一つ。

それから、角運動量を持っている物体の軸の向きを変えようとすると、それと直角な方向にトルクが発生します。コマが傾いている時、重力はさらにその軸を倒す方向に作用します。コマが回っていないときはこのまま倒れてしまうのですが、回っている(角運動量を持っている)時は軸の向きを首振りさせる様なトルクが発生するのです。そのためコマは倒れるのではなく、首振り運動をする様になります。

写真は地球ゴマと呼ばれる製品です。これはフレームの中にコマが入っているため、回っている状態で手に取る事が出来ます。上記の「角運動量を持っている物体の軸の向きを変えようとすると、それと直角な方向にトルクが発生します」という現象を文字通り手にとって体感することが出来ます。

この地球ゴマ、私が子供の頃はポピュラーな遊び道具でした。この度また購入したのですが、どうやら丁度製造終了になるタイミングらしく、サイズにより数千円~2万円という値段がついていました。フレームとコマの軸・軸受けの部分に精密な加工が必要で、他のメーカーでは類似品を作っていない模様です。懐かしいアイテムでもあり、もう少ししたら手に入らなくなるのかな?と思うと残念です。今回手に入れたこのコマはずっと大事にしようと思います。


2016.01.29

階段を上ろう

この頃基本的に階段を使うようにしています。運動のため、と特に考えている訳ではないのですが、何となくエレベーターを使わない様にしてみました。一度習慣化するとそれが当たり前になって来ます。この習慣は引き続き続けてみようと思います。ちなみに1月エレベーターを使った回数は3回程でした。

階段を使うことでどの程度の運動になるのか?を計算してみました。

インテグレーションコア南東側の階段は、ワンフロアにつき22段あります。そして一段が約18センチメートルです。そのためワンフロアにつき 22×18=396 で、3.96m 上ることになります。1階から6階までだとこの5倍の 19.8m です。

体重が 80kg だと、身体に作用する重力は 80×9.8=784N です。この重力に抗して先程計算した高さを上るには、784×19.8=15523J の仕事が必要です。

この仕事量をカロリーの単位に換算します。1cal=4.19J の関係から、15523J=3705calと求まります。よく使われるキロカロリーで言うと約 3.7kcal ですね。炭水化物のエネルギー価を 4kcal/g と考えると、3.7kcal という量が炭水化物 1g 弱に相当することが解ります。脂質なら 0.5g 以下です。

もちろん身体運動のエネルギー効率(車で言うところの燃費)は 100% ではありませんので、実際のエネルギー消費は上記よりも大きくなるでしょう。それにしても絶対量としては、1階から6階まで上るだけではそれ程の運動量にはならない、と考えて良いと思います。

とはいえ一事が万事、生活の中で活動量を増やす工夫をしてみようと思っています。良いアイディアがあったら教えてください。

(写真はインテグレーションコア南東側の階段です。)

2016.01.22

卒論口頭試問

我々のゼミでは今週火曜日に卒業論文の口頭試問を行いました。副査をしてくださった hsmt 先生、質問をしてくれた hsmt ゼミの学生さん達、ご参加くださった皆さん、有難う御座いました。

口頭試問の最後にも話しましたが、私は口頭試問はある意味卒業式よりも重要なイベントだと考えています。卒業式は卒業式で4年間の締めくくりの大切な行事ですが、基本的には学生さんは参加者(というか主役)の立場であって、準備や手配は教職員が主体となって行います。ですので過去を振り返り、将来への期待に胸を膨らませ、記念すべき日を十分に楽しんでくれたら良いと思います。

それに対して口頭試問は自力で乗り越えなくてはいけません。卒業論文を仕上げ、プレゼンの準備をし、練習をし、当日までに出来る限りの準備をする必要があります。ですので4年間の最後に自力で乗り越える高い山として、ある意味最も重要なイベントだと考える訳です。

今回当ゼミの学生さん達は、研究を始めた時期や仕事の密度はそれぞれですが最終的には皆必死で形にしてくれたと思います。早い時期から着々と進めた学生さんも、最後の最後に泊まり込みで仕上げた学生さんもいました。反省するべき点は素直に反省し、良かった点は成功体験として今後の糧にしてください。

akgm君:kdu君と共に最も早くから研究に着手していました。これまで4回の学会発表をこなして来ており、その中にはスコットランドでの口頭発表もあります。大学院での活躍にも大いに期待します。

udnさん:部活動と同時進行でコツコツ進めてくれたと思います。学生日本一おめでとう御座いました。4月からの社会人としての生活でも粘り強く頑張ってください。

oosgさん:膨大な量のデータを取ってまとめてくれました。大変な作業だったと思います。考察も良く練れており、長い間努力を継続した事が一目でわかります。ご苦労様でした。

okzk君:最後の追い込みには感心しました。もう少し早めに始めていれば・・・、と説教したい所ですが既に身にしみて解っていると思います。助けてくれた皆への感謝を忘れずに。

kts君:研究が軌道に乗り始めてから高いパフォーマンスを見せてくれました。ポテンシャルは高いと思うので新たな進路でも頑張ってください。また迷うことがあったらいつでも相談に乗ります。

kdu君:2年間を通じてゼミ長として素晴らしい仕事をしてくれました。卒論に関しても、内容も進め方も申し分ありません。今後にも大いに期待しています。まずは英語で論文化していきましょう。

ngo君:自ら設定したテーマについて、よく調べ、理解し、考えて研究を進めてくれたと思います。ほぼ自力でまとめ上げた事に感心します。新たな進路でも活躍してください。

nkmr君:面白いテーマに取り組んでくれました。スケジュールの都合等で学会発表する機会が持てなかったのは残念ですね。キャリアについて基礎演習の授業で話して貰い、私も感心しました。将来が楽しみです。

ymmt君:アメフト部の主務として学生日本一に大きな貢献をしながら卒論を書き上げました。立派な内容に仕上がっています。学会発表にもすぐ出せる内容だと思います。ご苦労様。

君達の指導教員であることを嬉しく思います。I am proud of you all.

(写真は畏れ多くも 敦 先生が撮影してくださいました。有難う御座いました。)


2016.01.15

近江富士

先日三上山(近江富士)に登山しました。草津市内からもかなりよく見える山ですし、琵琶湖線や新幹線からもよく見える山なのでピンと来る方は多いのではないでしょうか。山の麓は公園になっており、そちらにはこれまでに何度か行っていましたが登山したのは今回が初めてでした。

事前に調べたところ山の高さは432メートル。40分位で登れる、と紹介されています。冬にしては暖かい日だったこともあり、家族で気軽に出掛けました。

麓の近江富士花緑公園から登山道が延びているのでそのルートを行きました。最初は公園内なので道も整備されています。ですが途中、傾斜がきつくなり始めた途端にがらっと変わり、道と言うよりは木の根っこを上手く踏み分けて登っていく様な状態になりました。この辺から子供が転ばないように手助けするのに非常に苦労しました。進むと道は更に険しくなり、大人でもよじ登っていくような坂道、さらには岩場へと変わって行きます。家族連れで来るには少し(かなり)厳しい山だったなと思いつつ、距離・標高そのものはそれ程でもないので一歩一歩細心の注意を払って登っていきました。

最終的には1時間半程掛けて登頂。写真は頂上付近の展望台から撮ったものです。頂上には神社があり、缶コーヒーや日本酒が供えられているのを微笑ましく思いました。

子供の重さもあり大汗かいた登山で、ナカナカ良い運動になりました。皆さんも是非一度登ってみてください